*

『とと姉ちゃん』心豊かな暮らしを

公開日: : テレビ, ドラマ, メディア,

ja.wikipedia.org

ja.wikipedia.org

NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』が面白い。なんでも視聴率も記録更新しているらしい。たしかにここのところの展開はエキサイティングだ。

ドラマのモデルになっているのは、雑誌『暮らしの手帖』の創始者・大橋鎭子さん。この雑誌は、自分も幼少の頃祖母が愛読していた。当時、幼心に「なんだか昔っぽい雑誌だな〜」と思っていた。いまとなっては、時代が一周りして新しいデザインにみえる。

ホワイトスペースを贅沢にあしらった紙面レイアウトは、雑誌のコンセプトである「心豊かな生活」をそのまま表している。昔も今もまったくブレていない。しかしそれは頑固とは違う。人の本質は永遠に変わらないということ。むしろブレてコロコロ変わっているのは時代の流行の方だ。

ドラマの主人公・とと姉ちゃんは、どんなに悪環境に置かれても、前向きに乗り越えていき、周囲の人たちを味方にしてしまう。

とと姉ちゃんが最初に就職した先は、今で言うブラック企業。男女雇用均等法もない戦前、女性が働くだけで生意気とか言われてしまう。とても原始的な感じもするが、実情のブラック具合は現代とそれほど変わらない。

戦争を迎え、戦後の物資のない世の中。生きていくのもやっとの頃。そのまっただ中で、豊かな生活をイメージしていくのは至難の技。そんなの夢物語だと諦めてしまえばそれきりだが、その夢を大切にしていけば、それはいつか実現していく。目指しているのは、人間らしい生き方。

『暮らしの手帖』が示している生活は、お金をかけた豊かさではない。いかに心が豊かに生きてゆけるかの提示。とてもクリエイティブだ。

バブル時代は、金をいかにかけるかが豊かかと思われていた。とても下品な考えだ。いまでもお金さえかければいいと考えている人も多いのも事実。

オシャレと話題のカフェへ出向いてみたら、混んでて落ちつかず、ただただ高いお茶代を払っただけなんてよくある。むしろ近所の公園のベンチで、水筒に入れてきたお茶を飲んだ方が幸せを感じたりもする。

この不景気な現代、経済ばかりを追いかけるのはとてもダサい。これは人を蹴落としてでも自分だけは金持ちになりたいという利己的な思想。これからのオシャレさんは、いかにお金をかけずに、自分らしく心豊かに生きられるかにかかっている。そうなると物資がない戦後間もなくと現代は近い状況。

ドラマでも描かれていたが、オシャレと話題になると、それを模倣したニセモノが必ず登場してくる。技術的にマネをするのはいくらでもできる。いまさら手垢のついた内容を、いままでと同じ視点でコラージュして記事にしている雑誌なんて数多にある。

ホンモノは、もう次のステップに進んでいるはずだ。仮に同じ素材をあつかっていたとしても、切り口が新たになっている。もちろんそれで読者がついてゆけず失敗してしまうこともあるけれど。

情報を発信する者は、常にどんな人に届けたいか相手の姿をイメージしていなければならない。それは価値観の押し付けではなく、私の好きなものはあなたも好きかしら?と投げかける気持ち。発信者は会ったこともない誰かへ、常にラブレターを送っている。

その真摯な声に気づける自分でもありたいものだ。ニセモノに騙されたらつまらないからね。

関連記事

『ニンフォマニアック』それは障害か、才能か?

人通りの多い通りにあるファーストフード店でお茶をしていた時のこと。通りを一望できるその店から

記事を読む

戦時中の市井の人々の生活を描く『火垂るの墓』

昨日、集団的自衛権の行使が容認されたとのこと。 これから日本がどうなっていくのか見当も

記事を読む

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』ブラックって?

ネット上の電子掲示板『2ちゃんねる』に たてられたスレッドを書籍化した 『ブラック会社に

記事を読む

『あの頃ペニー・レインと』実は女性の方がおっかけにハマりやすい

名匠キャメロン・クロウ監督の『あの頃ペニー・レインと』。この映画は監督自身が15歳で音楽ライ

記事を読む

アーティストは「神」じゃない。あなたと同じ「人間」。

ちょっとした現代の「偶像崇拝」について。 と言っても宗教の話ではありません。 先日妻

記事を読む

マンガ原作でも世界中の大人が評価した『アデル、ブルーは熱い色』

日本とフランスの文化は似てる。 カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞した『

記事を読む

社会風刺が効いてる『グエムル ー漢江の怪物ー』

韓国でまたMERSが猛威を振るっていると日々の報道で伝わってきます。このMERSを含めて自国

記事を読む

『ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム』人のふり見て我がふり笑え

なにこれ、おもしろい! NHK Eテレで放送しているテレビシリーズ『ひつじのショーン』

記事を読む

『野火』人が人でなくなるところ

http://www.tsukamotoshinya.net/[/caption] 塚本晋也

記事を読む

『スターウォーズ展』新作公開というお祭り

いよいよ『スターウォーズ』の新作公開まで一週間! 街に出れば、どこもかしこもスターウォーズの

記事を読む

『バーフバリ』エンタメは国力の証

http://baahubali-movie.com/[/capti

『スイス・アーミー・マン』笑うに笑えぬトンデモ・コメディ

http://sam-movie.jp/[/caption]

『IT(2017年)』それが見えても終わらないために

http://wwws.warnerbros.co.jp/itthe

『ドリーム』あれもこれも反知性主義?

近年、洋画の日本公開での邦題の劣悪なセンスが話題になっている。

『赤毛のアン』アーティストの弊害

アニメ監督の高畑勲監督が先日亡くなられた。紹介されるフィルモグ

→もっと見る

PAGE TOP ↑