岡本太郎の四半世紀前の言葉、現在の予言書『自分の中に毒を持て』
公開日:
:
最終更新日:2019/06/15
本
ずっと以前から人に勧められて
先延ばしにしていた本書をやっと読めました。
エキセントリックな芸術家というのは
いたって常識人が多い。
岡本太郎氏もその中の一人と言って良い。
本書でも「常識を破れ」、
「安全な道を選ぶな」と言っている。
ものすごくまっとう。
これは生きて行く上での覚悟の問題。
充実した人生をおくりたいならば、
都度この覚悟を決めて生きるのは当然のこと。
命をかけて生きることの重要性。
前半は若者向けに語っているように感じた。
読み進めているうちに、
世の中全般に対してのメッセージとなっていく。
太郎氏曰く、
世の中は政治と経済、芸術で成り立っている。
人は政治と経済ばかりに夢中になって、
生きる神髄を見失ってしまう。
豊かさは幸せではないということ。
幸せとは彼の言葉では「歓喜」。
ここで芸術が不可欠だと気づけと言う。
芸術とは絵を描いたり、
音楽を奏でることばかりを言わないらしい。
彼の示す芸術とは「人間性」。
人間性を磨かなければ、
どんなに政治や経済に力を入れても、
本当の歓喜には到底届かない。
四半世紀前に書かれたこの文章。
まったくもって今の日本の姿。
発表当時はきっと早すぎた内容だったでしょう。
芸術家は常に時代に先見の明がある。
文明が豊かになった日本で、
満たされない人のなんと多いことか!
太郎氏は人類滅亡に対しても肯定的。
滅ぶなら滅んでしまえ! という勢い。
覚悟が決まれば、人生ブレることはない!
恐れることなかれ!!
関連記事
-
『死ぬってどういうことですか?』 寂聴さんとホリエモンの対談 水と油と思いきや
尊敬する瀬戸内寂聴さんと、 自分はちょっとニガテな ホリエモンこと堀江貴文さんの対談集
-
『わたしを離さないで』 自分だけ良ければいい世界
今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ原作の映画『わたしを離さないで』。ラブストーリ
-
『MEGザ・モンスター』 映画ビジネスなら世界は協調できるか
現在パート2が公開されている『MEGザ・モンスター』。このシリーズ第1弾を観てみた。それとい
-
『リング』呪いのフォーマットは変われども
『リング』や『呪怨』を作った映画制作会社オズが破産したそうです。 そういえば幼稚園頃の娘が「さ
-
『ワンダーウーマン1984』 あの時代を知っている
ガル・ガドット主演、パティ・ジェンキンス監督のコンビでシリーズ第2作目になる『ワンダーウーマ
-
『精霊の守り人』メディアが混ざり合う未来
『NHK放送90年 大河ファンタジー』と冠がついたドラマ『精霊の守り人』。原作は
-
『野火』人が人でなくなるところ
塚本晋也監督の『野火』。自分の周りではとても評判が良く、自分も観たいと思いながらなかなか観れずにいた
-
『花束みたいな恋をした』 恋愛映画と思っていたら社会派だった件
菅田将暉さんと有村架純さん主演の恋愛映画『花束みたいな恋をした』。普段なら自分は絶対観ないよ
-
『SAND LAND』 自分がやりたいことと世が求めるもの
漫画家の鳥山明さんが亡くなった。この数年、自分が子どものころに影響を受けた表現者たちが、相次
-
『ゴールデンカムイ』 集え、奇人たちの宴ッ‼︎
『ゴールデンカムイ』の記事を書く前に大きな問題があった。作中でアイヌ文化を紹介している『ゴー
- PREV
- 『るろうに剣心』マンガ原作というより、大河ドラマの続編
- NEXT
- ファンとクリエーターの境目とは?