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戦争は嫌い。でも戦争ごっこは好き!! 『THE NEXT GENERATION パトレイバー』

公開日: : 最終更新日:2019/06/13 アニメ, 映画:ハ行

 

1980年代にマンガを始めOVA、
テレビシリーズ、劇場版と
メディアミックスで連続した世界観を描いた
『機動警察パトレーバー』シリーズ。

近年になって実写版が作られ、
相変わらずマンガアニメの実写化特有の
地雷臭プンプンの怪しい感じ漂う。

ただ総監督に本家の押井守監督が就いており、
設定もアニメ版と時系列は同じらしい。
メンバーは一新されつつも、
個々のキャラクターのパーソナリティは
アニメシリーズと同じ。
別人のはずなのに名前も似てる。
そしてアニメ時代の登場人物も
チラホラ出てきたりもする。

完結版は完全オリジナル長編映画で、
押井守監督自身がメガホンをとるらしい。
でも地雷臭香ばしいのは、
押井守監督はアニメ作品では面白いけれど、
どうも実写には向いていないみたいだから。

押井アニメ作品の面白いところは、
アニメなのにあえて実写っぽい演出を
してみたりするところ。
それがそのまま実写に持ってくると、
その効果が生きてこない。

『パトレイバー』を実写でやったらどうなるか
というのは『踊る大走査線』ですでにやっている。
どう考えても新鮮味はない。

自分は『野良犬たちの午後』という作品を観た。
印象としては『パトレイバー』というより
『仮面ライダー』や『ウルトラマン』、
戦隊ものといったところ。

ドタバタコメディーなので、ユルい作りの作風。
悪役のテロリストも、
凶暴性より気のいい兄ちゃんといったところ。

自分は『パトレイバー』は劇場版ばかりみていたので、
シリアスな作風を想像していたので、
このユルい感覚にとまどってしまった。

なんとなく学生がつくる映画っぽい。

本エピソードは、
激しいガンアクションが評判だったので、
それを期待して観ていたのだが、
基本がコメディなので、人が死んだりする事はない。
銃撃場面を観ても、ここで生き死にが起こるはずがないと、
どこか緊張感のないまま、アクションは進んで行く。

銃器の描写は日本の作品にしては細やか。
ガンオタクはきっと喜ぶのだろう。

そう、ここでは生死のかけひきと言う
シビアな問題はさておいて、
ガンアクションがカッコいいという
単純な男の子心理の表れなのかもしれない。

人と人が殺し合う戦争は嫌い。
でも、銃器や戦争ごっこは好き!!

この矛盾が、ユルいスピリットの
アクション映画へと結実していくのでしょう。
そうなると、ある意味
新ジャンル誕生なのかも知れません。

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