*

『村上さんのところ』村上春樹の人間力

公開日: : 最終更新日:2019/06/13

 

人気小説家の村上春樹さんと
読者の交流サイト『村上さんのところ』が
話題になっている。

なんでも5月13日までの期間限定公開で、
後は書籍化するとのことらしい。

自分は正直、村上春樹さんの小説はニガテ。
登場人物はみんな精神的疾患を患ってるし、
歯の浮くセリフがこれでもかと連発するし、
性的倒錯に走る変態を正当化してる。
なによりみんな経済的に裕福なのが
気に食わない。

オシャレとかよく言われるけれど
自分からすれば、
かなり時代遅れなダサい雰囲気を感じて、
長編作は途中で挫折して
そのままということが多い。

『ハルキスト』と呼ばれる
熱狂的なファンも肌に合わない。
このサイトで村上さん自身も、
そんな妄信的なファンは
好きではないと言っている。
せめて『村上主義者』と変名して欲しいと
言っているが、呼び方なんて関係ない。
作品と適切な距離関係を保てないというのは
観客としてセンスが悪いということ。

で、はっきり言って万人受けするとは思えない
村上春樹作品がなぜ評価されるのか、
いつも不思議に思っていた。

新刊が発表されると、本屋で売り切れ続出。
しかも内容が発売まで
秘密にしているにもかかわらずだ。

要するに『村上春樹』というブランドに
みんな群がっているだけで、
本当に作品を面白いと思っている人は
ほとんどいないという事だろう。

これは事前の宣伝に力が入って、
メディアをコントロールしているからに過ぎない。

なんでこんなことになるか?
この読者交流サイトを読んで理解できた。
村上春樹さんの人間性に魅力があるのです。

サイト内では、読者のくだらない質問にも
村上春樹さんは丁寧かつ適切、
しかも道理にあう、スジの通った回答をしてくれます。
作家なので、回答の文章もとてもキレイ。

こんな意見がどんどん出てくる人物なら、
実際に会ったらみんな好きになって
尊敬してしまうだろう。

この村上春樹さんの人間力で、
周囲は彼を応援したくなり、
どんどん宣伝にお金を
かけてくれるのかも知れません。

売れる本は必ずしも面白いとは限らない。
魅力はその本自体ではなかったりもする。
その本が作られていく過程が
魅力的だったりする場合もある。
結果よりもプロセス。

そんな村上春樹作品の持つ
表にでてこない魅力のカラクリが
見えたような気がします。

関連記事

no image

『すーちゃん』女性の社会進出、それは良かったのだけれど……。

  益田ミリさん作の4コママンガ 『すーちゃん』シリーズ。 益田ミリさんとも

記事を読む

『わたしを離さないで』 自分だけ良ければいい世界

今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ原作の映画『わたしを離さないで』。ラブストーリ

記事を読む

no image

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』ブラックって?

  ネット上の電子掲示板『2ちゃんねる』に たてられたスレッドを書籍化した 『ブ

記事を読む

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 自分のことだけ考えてちゃダメですね

※このブログはネタバレを含みます。 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの四作目で完結

記事を読む

『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』 25年経っても続く近未来

何でも今年は『攻殻機動隊』の25周年記念だそうです。 この1995年発表の押井守監督作

記事を読む

『カラマーゾフの兄弟(1969年)』 みんな変でみんないい

いまTBSで放送中の連続ドラマ『俺の家の話』の元ネタが、ドストエフスキーの小説『カラマーゾフ

記事を読む

『アンという名の少女』 戦慄の赤毛のアン

NetflixとカナダCBCで制作されたドラマシリーズ『アンという名の少女』が、NHKで放送

記事を読む

『ダンジョン飯』 健康第一で虚構の彼方へ

『ダンジョン飯』というタイトルはインパクトがありすぎた。『ダンジョン飯』という、なんとも不味

記事を読む

『Ryuichi Sakamoto | Opus』 グリーフケア終章と芸術表現新章

坂本龍一さんが亡くなって、1年が過ぎた。自分は小学生の頃、YMOの散会ライブを、NHKの中継

記事を読む

no image

『ハリー・ポッター』シングルマザーの邂逅

  昨日USJの『ハリー・ポッター』のアトラクションが オープンしたと言う事で話題

記事を読む

『アドレセンス』 凶悪犯罪・ザ・ライド

Netflixの連続シリーズ『アドレセンス』の公開開始時、にわ

『HAPPYEND』 モヤモヤしながら生きていく

空音央監督の長編フィクション第1作『HAPPYEND』。空音央

『メダリスト』 障害と才能と

映像配信のサブスクで何度も勧めてくる萌えアニメの作品がある。自

『マルホランド・ドライブ』 整理整頓された悪夢

映画監督のデヴィッド・リンチが亡くなった。自分が小学生の頃、こ

『侍タイムスリッパー』 日本映画の未来はいずこへ

昨年2024年の夏、自分のSNSは映画『侍タイムスリッパー』の

→もっと見る

PAGE TOP ↑