『鉄道員』健さんなら身勝手な男でも許せちゃう?
高倉健さんが亡くなりました。
また一人、昭和の代表の役者さんが逝ってしまいました。
健さんというと、大スターのイメージ。
彼が出演しているだけで、何でも許されてしまうような、
どんな役を演じても「やっぱり健さん」というイメージ。
どう考えてもイヤなヤツだったり、
悪人だったりしても、健さんだとカッコ良く見えてしまう。
みんな寡黙に耐える不器用な男となってしまう。
健さんという名のステレオタイプ。
これって今で言うとキムタクも同じような系譜だと思います。
日本人は定着したイメージで役者を観る傾向が特に強い。
健さん自身もトップスターでありながら、
プライベートは質素で孤独だったと聞きます。
そんな健さん映画。
自分はそれほど得意ではないので、
やはり役者というよりは、監督や作品そのもので
映画を選んでみているみたい。
この浅田次郎氏原作の『鉄道員(ぽっぽや)』。
仕事中心で家庭を一切顧みず、
幼い娘や妻を病気で死なせてしまう、
どうしようもないダメ男の話。
仕事に逃げて、現実と向き合おうとしない
頑固なイヤな男なんだけど、
健さんが演じると許せてしまう。
昭和時代はこんな男ばかりだったのでしょう。
死に際、死なせた娘が成長する姿を見せ、
お迎えにくるという、おセンチな男の身勝手さ。
なにせ健さんなので、
周りの男たちはみんな健さんをたてる。
みんなホモに見えてしまう。
というか、自分の妻と本作を観ているときふと、
同僚の小林稔侍さんとのやりとりが
とてもホモっぽくて気持ち悪いと言い出したら、
映画がコメディにしか見えてこず、
ずっとゲラゲラ笑ってしまった。
とても不謹慎な鑑賞態度。
死んだ娘も広末涼子さんがやっているので、
当時トップアイドルだった彼女の起用に
ズルいあざとさばかり伝わってしまう。
どうも健さん映画を、自分はうがった目で見てしまうので、
相性的には最悪なのでしょうね。
ただ、お涙頂戴の映画としてみると、
自分にとっては不愉快な作品だったのにも関わらず、
女も子どももホントは嫌いな
ホモ老人がイチャついてるだけの映画だと受け止めると、
愛すべきコメディ映画になってしまう。
この映画。主題歌は坂本龍一さん親子だったので、
それにつられてみたところもある。
でも自分には曲ばかりが浮いて飛び込んできた。
きっとこの曲もミスマッチなんだろうね。
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