『機動戦士ガンダム』とホモソーシャル
『ガンダム』といえば、我々アラフォー世代男子には、
小学校の義務教育の一環といってもいいコンテンツ。
観ていないと友達と仲間になれないくらいでした。
そして世の中には「ガンダム芸人」と
言われる芸人さんも大勢います。
ガンダム未見の妻も『ガンダム』の存在は
かねてより気になっていたので、観てみたいとのご所望。
『ファーストガンダム』の劇場版第一作をかけてみると、
始まって20分もしないうちに「私、これダメだわ」とのこと。
妻は父親からのSF英才教育(?)を
幼いときから受けているので、
女性にしてはSFにはとても理解があります。
それがなぜ?
どうもこの『ガンダム』という作品は、
女人禁制のホモソーシャルの臭いしかしないと。
言うなれば、アムロとシャアの恋愛もの。
戦争を舞台としているが、「あいつに勝ちたい」という
完全なスポ根もののジャンルに近い。
登場する女性もほとんど同性には感情移入しにくいらしい。
アムロとシャアはシリーズを通して、
恋人を何人も代えていますが、
本質的には女性に興味が無いのが伺えます。
かすかに女性蔑視すら感じます。
確かに35年前のあの時代、
子どもだったからこそ面白く観れたのかもしれません。
現代のこの世の中で、初めて見るには、
ハテナ?な価値観の部分もたくさんあると思います。
そういえばこの『ガンダム』を熱く語るのは、
普段アニメや映画、読書をしそうもない
体育会系のおじさんが多いようにも思えます。
ホモソーシャルといえば体育会系。
どうしてこのタイプの人たちが、
『ガンダム』に夢中になるのか謎が解けました。
やはり『ファーストガンダム』は
今の時代性には合わないテーマなのかもしれません。
未だファンでいる自分たちは、
刷り込みによって面白いと錯覚しているだけなのです。
好きなものは好きでいいのですが、これはこれとして、
観客もシフトチェンジしていかなければなりません。
大人になるということです。
監督の富野由悠季さんをはじめ、
その世代のアニメ作家たちが口々に嘆いています。
「俺たちはダメな大人をつくってしまった」と。
そんな「ダメ大人」はもう卒業しなくてはいけませんね。
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