*

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』アメコミみたいなアイツ

公開日: : 最終更新日:2019/06/12 アニメ, 映画:マ行

トム・クルーズが好きだ! 自分が映画を観るときに、監督で選ぶことはあっても、役者で決めることはほとんどない。でもトムならばと観てしまうことはある。自分がトム・クルーズに注目し始めたのは『ザ・エージェント』を観てから。もちろん監督のキャメロン・クロウも大ファンになってしまった。その映画でトムが演じたジェリー・マクガイアに心底共感してしまった。トムのお騒がせセレブっぷりのゴシップさえも、エンターテイメントとして楽しませてもらっている。

5作目になる『ミッション:インポッシブル』シリーズ。トムが演じるイーサン・ハントは、第1作目のブライアン・デ・パルマ監督作品では若造っぽかったにも関わらず、ジョン・ウー監督の2作目では終止ニヤけてるキザなプレイボーイにキャラクターが変わる。とても同一人物にはみえない。プロデューサーも兼任しているトム曰く、イーサン・ハントは監督によってキャラクターをワザと変えているとのこと。日本で言うなら『ルパン三世』みたいなものかな?

『〜ローグ・ネイション』の監督はトム作品には常連のクリストファー・マッカリー。なんでもシリーズ次回作も続投するらしい。となるとイーサン・ハントのキャラクターもようやく定着したのかな。ある意味イーサン・ハントの精神乖離の終焉かも。

『ミッション:インポッシブル』もシリーズを重ねるごとにアクションがエスカレートしていく。前作『〜ゴースト・プロトコル』ではドバイの世界一の高層ビル・ブルジュハリアでのアクションがあったし、今回はポスタービジュアルにもなっている離陸する飛行機に生身でぶら下がってる。しかもこれ、冒頭の場面。お客さん、これからすっ飛ばしますよ、と制作者側から宣戦布告されたかのよう。そういえば前作の監督もピクサー作品の監督ブラッド・バードだし、リアリズムというよりはコミック的な面白さを狙っているのでしょう。

その狙いは正しいと思う。「トム・クルーズ=イーサン・ハント」は、変身したり特殊能力があるわけでもないのに、超人的なパワーをもっている。不可能を可能にする男。しかもそれに違和感を感じない。普通なら何回も死んでる状況で、ピンピンしているイーサン・ハントをみせられても、ツッこむのも野暮でしょって。もし仮に全く同じ演出で、トム以外の役者が演じたら、きっとシラケてしまうのかもしれない。これはひとえにトム・クルーズのマンガっぽい個性がそうさせている。トムってアメコミのヒーローみたいな顔してる。

もう観客は何にも考えずにキャアキャアいって喜んでいればいい。ポップコーンムービーとはまさにこのこと。

自分はスパイものの、政治的なやり取りってよく理解できなかったりしてる。難しい話はよくわからない。だから正直イーサン・ハントが今一体どんな状況に置かれているのかわかってなかったりする。でもおもしろい。いろいろ理屈をこねて、そのアクションシーンへと持っていくのだけれど、きっと作り手の発想の元はやっぱり先にアクションありき。ストーリーや政治的因果関係の辻褄合わせはそれほど重要ではない。

CIAの長官役をもとジャック・ライアンのアレック・ボールドウィンにしているのもジョークが効いてる。

とにかくアクションが明るい。よく他国映画でも、ハリウッド的なジェットコースタームービーを志している作品もあるけど、やっぱり暗い。このアクションシーンを撮るために、必死というか深刻というか、悲壮感すら伝わってしまう。これではこっちも肩こっちゃって、楽しむつもりで観た映画で落ち込んでしまうことになる。もちろんバジェットもハリウッド映画とは段違いだけど、スピリットは金銭的問題とは関係ない。

やっぱり娯楽作品は理屈ではなくノリ。明るく軽く、笑いながら観れるのがいちばんだとつくづく感じた。

関連記事

no image

『サマーウォーズ』ひとりぼっちにならないこと

  昨日15時頃、Facebookが一時的にダウンした。 なんでもハッカー集団によ

記事を読む

『ルパン三世 ルパンvs複製人間』カワイイものは好きですか?

先日『ルパン三世』の原作者であるモンキー・パンチさんが亡くなられた。平成が終わりに近づいて、

記事を読む

no image

アニメ『機動戦士ガンダムUC』が遂に完結!!

  2010年スタートで完結まで4年かかった。 福井晴敏氏の原作小説は、遡る事20

記事を読む

no image

戦争は嫌い。でも戦争ごっこは好き!! 『THE NEXT GENERATION パトレイバー』

  1980年代にマンガを始めOVA、 テレビシリーズ、劇場版と メディアミック

記事を読む

『SLAM DUNK』クリエイターもケンカに強くないと

うちの子どもたちがバスケットボールを始めた。自分はバスケ未経験なので、すっかり親のスキルを超

記事を読む

no image

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』物語みたいに割り切れないこと

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の評判は、劇場公開時からよく耳にしていた。ただ、どの感想を聞い

記事を読む

no image

なぜ日本劇場未公開?『ヒックとドラゴン2』

  とうとう日本では劇場公開はせず ビデオのみの発売となった 米ドリームワークス

記事を読む

『ゲゲゲの女房』本当に怖いマンガとは?

水木しげるさんの奥さんである武良布枝さんの自伝エッセイ『ゲゲゲの女房』。NHKの朝ドラでも有

記事を読む

no image

『リメンバー・ミー』生と死よりも大事なこと

春休み、ピクサーの最新作『リメンバー・ミー』が日本で劇場公開された。本国アメリカ公開から半年遅れだ。

記事を読む

no image

『バンカー・パレス・ホテル』フランス人と日本人の文化的嗜好は似てる

  ダメよ~、ダメダメ。 日本エレキテル連合という 女性二人の芸人さんがいます。

記事を読む

『アナと雪の女王2』百聞は一見にしかずの旅

コロナ禍で映画館は閉鎖され、映画ファンはストレスを抱えているこ

『斉木楠雄のΨ難』生きづらさと早口と

ネット広告でやたらと『斉木楠雄のΨ難』というアニメを推してくる

『コンテイジョン』映画は世界を救えるか?

知らないうちに引退宣言をしていて、いつの間に再び監督業に復帰し

『欲望の時代の哲学2020 マルクス・ガブリエル NY思索ドキュメント』流行に乗らない勇気

Eテレで放送していた哲学者マルクス・ガブリエルのドキュメンタリ

『ブラックパンサー』伝統文化とサブカルチャー、そしてハリウッドの限界?

♪ブラックパンサー、ブラックパンサー、ときどきピンクだよ〜♫

→もっと見る

PAGE TOP ↑