*

『名探偵ホームズ』ストーリー以外の魅力とは?

公開日: : 最終更新日:2019/06/12 アニメ, 映画:マ行, 映画館

 

最近、ジブリ作品が好きな自分の子どもと一緒に『名探偵ホームズ』を観た。

かつて『風の谷のナウシカ』の同時上映で公開された『名探偵ホームズ』。イタリアと共同制作のテレビシリーズで、お蔵入り寸前だったのを、『ナウシカ』と同じ宮崎駿監督作2本をピックアップして併映したらしい。

自分もこの作品を観るのは本当に久しぶり。小学生の頃、『風の谷のナウシカ』の初日に、新宿東急で一度だけ観たきり。えらく混んでいた。上映後、なかなか外にでれなかったっけ。あのときの観客の入れ替え整理は、パニック状態だったのではないだろうか。

『ナウシカ』の上映時間が2時間弱で、この『ホームズ』2話分が50分くらい。合計の上映時間は計3時間ほど。なんだかインド映画みたい。この長丁場がちっとも苦じゃなかったから、子どものころの集中力ってすごい。

いま観なおすと、音楽のセンスこそはやっつけだったけど、テレビシリーズにしてはよく絵が動く。日本のアニメはそもそも低予算前提で製作されており、いかに動かさずに時間をもたせるかに力点がおかれる。どうしても会話劇におちいり、理屈っぽくなる。アニメーションの語源のラテン語「アニマ」が、「不動のものに命を与え動かすこと」にもかかわらず、動かない。

『ホームズ』の絵が動くと言っても、もちろん動きを節約するところは極力おさえてる。演出の緩急が絶妙。カタルシスに達するところは、フルアニメーションになる気持ちよさ。ストーリーなんてあってないようなもの。やはりアクションが見せ場!

宮崎駿監督ののちの活躍を知って、若かりし日の作品をみると、後続する作品のエッセンスがチラホラ見受けられる。いちばん感じたのは声優さんの演技。本作で演じてる声優さんが、他の宮崎監督作品で、別のキャラクターで同じ芝居をしていたりする。

声優さんの芝居が面白かったのか、そのままを次回作で流用してる。別の作品で、違うキャラクターなのに、「またあの人でてきたよ」っていう既視感。昔のアニメにはよくあることだったらしい。

スタジオジブリが新作を作らなくなり、すっかりアニメといえばディズニーなどの海外のCG作品ばかり観るようになってしまった。日本は古典芸能のように、手描き2Dにこだわり続けている。2Dアニメは、今では海外でも珍しいので、これはこれでガラパゴスな文化。偏った客層なのもわからないでもない。

しかし、3DCGの滑らかなリアルな動きに慣れてしまうと、日本のアニメは紙芝居にも見えてしまう。

宮崎駿監督のジブリ作品は、わかりやすいエンタメ表現の中に、高尚なテーマをちょっぴり混じらせている。アニメ作品のワクを超えた理由だろう。それゆえ海外では、ジブリ作品は、一般作というよりは芸術作品として捉えられている。

ちなみに『ホームズ』はこの説教くささはまったくない。その脱力感が今となっては新鮮。

極端に言ってしまうと、日本のアニメがすごいというよりは、ジブリ作品がすごかっただけなのかも?と、最近は思えてしまう。きっと時代が変わったのだろう。

関連記事

no image

映画づくりの新しいカタチ『この世界の片隅に』

  クラウドファンディング。最近多くのクリエーター達がこのシステムを活用している。ネ

記事を読む

no image

『精霊の守り人』メディアが混ざり合う未来

  『NHK放送90年 大河ファンタジー』と冠がついたドラマ『精霊の守り人』。原作は

記事を読む

『シェイプ・オブ・ウォーター』懐古趣味は進むよどこまでも

今年2018年のアカデミー賞の主要部門を獲得したギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・

記事を読む

no image

『おおかみこどもの雨と雪』で人生に向き合おう

  『リア充』って良い言葉ではないと思います。 『おおかみこどもの雨と雪』が

記事を読む

no image

『天使のたまご』アート映画をアニメでやった押井守監督の意欲作

  最新作の実写版『パトレイバー』も話題の世界的評価の高い押井守監督の異色作『天使の

記事を読む

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』子どもとオトナコドモ

小学二年生の息子が「キング・オブ・モンスターズが観たい」と、劇場公開時からずっと言っていた。

記事を読む

no image

『ワンダーウーマン』女が腕力を身につけたら、男も戦争も不要となる?

ガル・ギャドットが演じるワンダーウーマンの立ち姿がとにかくカッコイイ! それを一見するだけでもこの映

記事を読む

『名探偵ピカチュウ』日本サブカル、これからどうなる?

日本のメディアミックス作品『ポケットモンスター』を原作に、ハリウッドで製作された実写映画『名

記事を読む

no image

おばさまに好評の『ハウルの動く城』

  スタジオジブリ作品『ハウルの動く城』。 公開当時、大勢から「わけがわからない」

記事を読む

『銀河鉄道の夜』デザインセンスは笑いのセンス

自分の子どもたちには、ある程度児童文学の常識的な知識は持っていて欲しい。マンガばかり読んでい

記事を読む

『天気の子』 祝福されない子どもたち

実は自分は晴れ男。大事な用事がある日は、たいてい晴れる。天気予

『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!』結束のチーム夫婦も前途多難⁉︎

2016年に人気だった『逃げるは恥だが役に立つ』、通称『逃げ恥

『JUNO ジュノ』ピンクじゃなくてオレンジな

ジェイソン・ライトマン監督の『JUNO ジュノ』は、エリオット

『トイストーリー4』人のお節介もほどほどに

大好きなピクサー映画の『トイストーリー』シリーズの最新作『トイ

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』言わぬが花というもので

大好きな映画『この世界の片隅に』の長尺版『この世界の(さらにい

→もっと見る

PAGE TOP ↑