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『ブラック・スワン』とキラーストレス

公開日: : テレビ, メディア, 映画:ハ行

ブラックスワン

以前、子どもの幼稚園で、バレエ『白鳥の湖』を原作にしたミュージカルのだしものがあった。もちろん園児にもわかるように簡略化されたリライト版。娘は迷わず、黒鳥ことオディール役を選んだ。

オリジナルの『白鳥の湖』は、白鳥のオディットと黒鳥のオディールは一人二役。このお遊戯版ではどちらも違う子が演じてる。しかも人数の関係上、一役につき何人も配役される。数人が同時に同じ役の演技をする。オディール役は娘を含めて5人。なにせ園児なので元気優先。絶叫芝居でセリフも聞きとれず、ストーリーは最後までさっぱり。しかし、まっさきに黒鳥役を志願する我が娘のセンスって……。

この映画『ブラック・スワン』の監督ダーレン・アノフスキーと、『ダークナイト』シリーズのクリストファー・ノーランが、自分はどうもごちゃ混ぜになってしまう。どちらも作風は暗いからだろう。ノーランがメジャー路線なら、このダーレン・アノフスキーはメジャーだけどアングラ(?)といったところか。

ナタリー・ポートマン主演だったからか、ホラータッチの映画だったからか、公開当時、女性の間で話題になっていた。

「役に殺される」とはまさにこのこと。大抜擢の配役のチャンスは得ても、重責やら、のめり込みすぎやらで精神を病んでしまう。真面目な人こそおちいりやすい。人が追い込まれていく過程を、幻覚描写などホラー映画のテクニックをふんだんに織り込んで描いている。幻覚アトラクションムービー! 病気になるとはこういうことか。疑似体験のシミュレーション。

主人公の女優は『白鳥の湖』の主役に抜擢される。品行方正な彼女のストレスは盛りだくさん。人がいいばかりに、周りの無責任な重圧に正直に受け応えてしまう。

主人公のストレスは、役に対する重圧だけではない。母親の過干渉や、それゆえ世間知らずの劣等感。言い寄ってくる女たらしの演出家。ライバル女優の存在。そして自身の性体験がないこと etc…

ひとつひとつのストレスこそは小さくても、あまりに重なってしまうと、死に至る病気の原因になるらしいことが、科学的にわかってきた。テレビでやっていたが『キラーストレス』というらしい。なんでも毎日満員電車に乗ることも、かなりの精神的負荷がかかっているとか。

この死に至るまでのストレス回避はどうしたらいいのか?番組では、自分がリラックスすることはどんなことか具体的に書き上げることを勧めていた。お茶を飲むとか、音楽を聴くとか。「100万円当たったことを想像する」という妄想もOKらしい。そうやって心の逃げ場所を自分で見つけていくのは、今の社会で生きていくのにかなり重要。

そして瞑想の習慣化が良いとも言っていた。瞑想というと抹香臭くなってしまうが、その宗教性を排除した、科学的根拠に基づいた習慣。人間の脳は進化しすぎて、予測や過去にとらわれやすい。だいたいの心配事は、まだ見ぬ未来の不安や、過ぎ去った過去の出来事。今悩んでもどうしようもない。そんなとらわれをリセットするために、今だけに集中する時間をつくる。

子どもたちがケンカをしても、一晩寝ればわすれてしまい、元気に仲直りしているのは、良い意味で脳が未熟だから。雑念が入らない。

例えば、自分は映画館で映画をじっくり観ると、ものすごいストレス解消になる。暗くて重い作品を観た後でもスッキリしてる。もちろん作品のヘビーさにバテることはあるけど、精神状態はすこぶる良好。これって映画鑑賞という「今」に集中しているからかも。でも疲れすぎちゃうと、映画を観る元気もなくなっちゃう。

「瞑想=宗教儀式」というイメージだったけど、本来宗教は人をリラックスさせるために生まれたもの。難しい教義がくっついて、ややこしくなっちゃっただけなのかも? なにごともシンプルがいちばんなのだろう。情報過多な現代人、意識してリラックスしなければ、病気になって命もおとしかねないようです。

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