*

猫も杓子も『タイタニック』

公開日: : 最終更新日:2019/06/13 映画:タ行, 音楽

ジェームズ・キャメロン監督で誰もが知っている『タイタニック』の音楽家ジェームズ・ホーナーが飛行機事故で亡くなったそうです。ジェームズ・ホーナーはこの映画の主題歌でセリーヌ・ディオンの歌う『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン』も、もちろん作曲している。流行っている当時は別段なんとも思わなかったこの曲も、今となっては聴いただけで笑えてしまうコミックソングの一種になってしまった。あんまり猫も杓子も『タイタニック』となってしまったので、ダサい曲の代名詞となってしまうのだから、時代の流れってコワイ。

この『タイタニック』が流行っていた頃、自分は英会話学校へ通っていたのだが、自己紹介の典型的な会話で「趣味は何ですか?」「映画鑑賞です」「どんな映画が好きですか?」という展開になります。講師が必ず「ノー・タイタニック!」って言うんですね。もう『タイタニック』には辟易といった感じでした。ジェームズ・キャメロン作品の特徴としては、普段映画を観ない人に限って夢中になるという現象が起こる。『アバター』なんかもそう。ジェームズ・キャメロンは観客の好みの要素(素材)をたくさん集めてきて、「これ好きでしょっ?」て料理してみるのが得意。この『タイタニック』だってシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』とディザスターもの、アクションものをイノベートしたもの。後続するアクション作品で恋愛要素が多くなったのは、この『タイタニック』のせいだ。でもね、本来のアクション映画ファンはアクションを観たいわけ。恋愛の要素なんて欲しくないの。作る側も恋愛なんて興味のない人だろうから、どれもこれも中途半端。恋愛要素が観たいなら、素直に恋愛映画観るわい!!

1990年代後半はアメリカではタイタニックブームが起こっていた。この映画だけではなく、ミュージカル版で全く別の物語があったりもする。ジェームズ・キャメロンは『ターミネーター1 & 2』や『エイリアン2』でヒットメーカーとなるのだけれど、集まるファンはヤローばかり。「ああ、もっと女の子にモテる映画つくらなきゃ」って、得意のアクションものとラブが融合できないかしらと悩んだんでしょう。『トゥルー・ライズ』なんかもその布石だろうし。SF海洋アクション映画『アビス』の資料集めで、世界の海難事故にすっかり詳しくなって、タイタニック事故の映画なら作れるとなったのでしょう。

もう今となっては誰一人として好きな映画に『タイタニック』をあげる人はいないでしょう。でもやっぱり恋愛ものとディザスターアクションもののイノベーションは本当に上手だった。ずるい鉄板要素を集めるのがうまい監督さんはたくさんいるけれど、大ヒットしてアカデミー賞まで獲っちゃうんだから、それはそれで突き抜けてる。

自分もこの映画を観に行く動機としては『ターミネーター』の監督の新作ということだったから。船が一隻沈没するのに3時間の超大作。どうやって時間配分するんだろうと思った。なんせ一瞬にして核爆発とか起こしちゃう監督だから。でもみたらキッパリ前半は恋愛もの、後半はディザスターものになっていた。前半でキャラクターに感情移入できたぶん、後半の悲劇要素がドラマチックになるという効果。本当にジェームズ・キャメロンってイヤな奴!! この大流行にも流されず、未だに『タイタニック』を観たことがないという映画ファンには尊敬すらしてしまう。ものすごく見る目があるか、ただのひねくれ者にちがいない。

ともあれジェームズ・ホーナーさんのご冥福をお祈りいたします。当時、サントラ買いましたよ!!

関連記事

no image

『クラフトワーク』テクノはドイツ発祥、日本が広めた?

  ドイツのテクノグループ『クラフトワーク』が 先日幕張で行われた『ソニックマニア

記事を読む

no image

『母と暮せば』Requiem to NAGASAKI

  残り少ない2015年は、戦後70年の節目の年。山田洋次監督はどうしても本年中にこ

記事を読む

no image

『汚れた血』カノジョをキレイに撮る。それだけで映画になる。

  『あの人は今?』的存在になってしまったレオス・カラックス監督。2年前に新作『ホーリー・モー

記事を読む

no image

『希望のかなた』すべては個々のモラルに

「ジャケ買い」ならぬ「ジャケ借り」というものもある。どんな映画かまったく知らないが、ジャケット写真に

記事を読む

no image

『アトミック・ブロンド』時代の転機をどう乗り越えるか

シャーリーズ・セロン主演のスパイ・アクション映画『アトミック・ブロンド』。映画の舞台は東西ベルリンの

記事を読む

no image

アーティストは「神」じゃない。あなたと同じ「人間」。

  ちょっとした現代の「偶像崇拝」について。 と言っても宗教の話ではありません。

記事を読む

no image

『銀河鉄道の夜』デザインセンスは笑いのセンス

  自分の子どもたちには、ある程度児童文学の常識的な知識は持っていて欲しい。マンガば

記事を読む

no image

『バッファロー’66』シネクイントに思いを寄せて

  渋谷パルコが立て替えとなることで、パルコパート3の中にあった映画館シネクイントも

記事を読む

no image

『トランスフォーマー/ロストエイジ』最新技術のお披露目の場

ドルビーアトモスのAVアンプを探していると、この『トランスフォーマー/ロストエイジ』の見せ場の映

記事を読む

no image

『ブレードランナー2049』映画への接し方の分岐点

日本のテレビドラマで『結婚できない男』という名作コメディがある。仕事ができてハンサムな建築家が主人公

記事を読む

no image
『まだ結婚できない男』おひとりさまエンジョイライフ!

今期のテレビドラマは、10年以上前の作品の続編が多い。この『結婚できな

no image
『キャプテン・マーベル』脱・女性搾取エンタメ時代へ

ディズニー・マーベル作品はリリース順に観ていくのが正しい。リンクネタが

no image
『海よりもまだ深く』足元からすり抜けていく大事なもの

ずっと気になっていた是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』。覚えずらいタイ

no image
『未来少年コナン』厄介な仕事の秘密

NHKのアニメ『未来少年コナン』は、自分がまだ小さい時リアルタイムで観

no image
『ジョーカー』時代が求めた自己憐憫ガス抜き映画

めちゃめちゃ話題になってる映画『ジョーカー』。ハリウッド映画のアメコミ

→もっと見る

PAGE TOP ↑