*

『太陽』 アートかコメディか? ロシア人が見た昭和天皇

公開日: : 最終更新日:2021/06/12 映画:タ行

今日は終戦記念日。

この作品はロシアの
アレクサンドル・ソクーロフ監督が描く、
第二次世界大戦終了前後の時期の昭和天皇。

ソクーロフ監督の20世紀の
指導者4部作の3作目にあたる。

日本では皇室の描写はタブー視されており、
日本国内ではまずこういった
映画の企画はでないだろうし、
海外作品の本作も日本公開は難しいのでは?
と思っておりました。

日本公開が決まっても、
劇場のまわりに街宣車が来たりするのでは?
上映中止されるのでは?
と動向が気になる映画でした。

何事もなく上映できて本当に良かったです。

昨年公開された『終戦のエンペラー』は、
普通に全国公開してたので、
ある意味表現の自由度が広がったのでしょう。

自分は公開当時、今年廃館になった
「吉祥寺バウスシアター」で鑑賞しました。
レイトショーにも関わらず満員御礼。

客層は若者ばかりでなく、
老人たちも多かった。
皇室ファンといったところかな?

ソクーロフの演出は芸術的で、ダークな趣。
日本大本営もGHQも魑魅魍魎。

その中でイッセー尾形氏が演じる裕仁天皇は
明るく、なんとなくコメディタッチ。
周囲が重苦しい分、飄々とした感。
暗い世の中を明るく生きている。

この作品出演をイッセー氏が決めたとき、
「もう日本に住めなくなるよ」とか
いろいろ脅かされたそうです。

イギリスでは王室を笑う
コメディー作品などあたりまえ。

不謹慎なものはよろしくないが、
様々な視点で、様々な解釈の作品が登場し、
観客が多角的にものごとを
観る力がつくのは好いこと。

政治的アジテーションは抵抗あるが、
気軽に様々な意見が交わせる
世の中になって行くことは大歓迎です。

関連記事

『チョコレートドーナツ』 ホントの幸せってなんだろう?

今話題のLGBT差別の具体例は、映画『チョコレートドーナツ』で分かりやすく描かれていると聞い

記事を読む

no image

『トロールズ』これって文化的鎖国の始まり?

  配信チャンネルの目玉コーナーから、うちの子どもたちが『トロールズ』を選んできた。

記事を読む

『チャレンジャーズ』 重要なのは結果よりプロセス!

ゼンデイヤ主演のテニス映画『チャレンジャーズ』が面白いとネットで話題になっていた。なんでも劇

記事を読む

『ツイン・ピークス』 あの現象はなんだったの?

アメリカのテレビドラマ『ツイン・ピークス』が 25年ぶりに続編がつくられるそうです。

記事を読む

『超時空要塞マクロス』 百年の恋も冷めた?

1980年代、自分が10代はじめの頃流行った 『超時空要塞マクロス』が ハリウッドで実写

記事を読む

『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』 映画監督がロボットになる日

やっとこさ子ども達と今年の映画『ドラえもん』を観た。毎年春になると、映画の『ドラえもん』が公

記事を読む

『007 スペクター』シリアスとギャグの狭間で

評判の良かった『007 スペクター』をやっと観た。 前作『スカイフォール』から監督は続

記事を読む

『東京オリンピック(1964年)』 壮大なお祭りと貧しさと

コロナ禍拡大の中、2020東京オリンピックが始まってしまった。自分としては、オリンピック自体

記事を読む

『トイ・ストーリー・オブ・テラー』 続々発表の新作短編、実は大人向け?

BSのDlifeで『トイストーリー』の 新作短編が放送された。 なんでも本邦初公開とのこ

記事を読む

『トニー滝谷』 坂本龍一の即興演奏が光る

先日、自身のがんを公表し、 演奏活動はしばらく休止すると 発表した坂本龍一氏。 反

記事を読む

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』 戦場のセンチメンタル

アメリカの独立系映画スタジオ・A24の作品で、同社ではかつてな

『1987、ある闘いの真実』 関係ないなんて言えないよ

2024年12月3日の夜、韓国で戒厳令が発令され、すぐさま野党

『三体(Netflix)』 神様はいるの?

Netflix版の『三体』をやっと観た。このドラマが放送開始された

『T・Pぼん』 マンスプレイニングはほどほどに

Netflixで藤子・F・不二雄原作の『T・Pぼん』がアニメ化

『ならず者(1964年)』 無国籍ギリギリ浪漫

話題のアニメ『ダンダダン』で、俳優の高倉健さんについて語ってい

→もっと見る

PAGE TOP ↑