『ビバリーヒルズ・コップ』映画が商品になるとき
今年は娘が小学校にあがり、初めての運動会を迎えた。自分は以前少しだけ小中高の学校のカメラマンをやったことがある。遠足や体育祭、文化祭などの学校行事に同行して、その様子をカメラに収め販売するのが仕事。毎年初夏と秋に集中する運動会。このスキルが、我が子を撮影するにも案外役立った。
この運動会というイベント。いつも気になるのが、使用しているBGM。ふざけてウケを狙っているのか、ただ単にセンスがないのかよくわからない。とくにいちばん盛り上がるリレーの時の音楽は気になってしょうがない。リンダ・ヤマモトの『狙いうち』なんかかかってしまうと、自分の小学生時代でも古いわけだから、どうなっているのだ? ヴァンゲリスのFIFA World Cupの『anthem』での入場はカッコ良かった。AIの『STORY(ベイマックスバージョン)』が高学年の組体操にかかった時は泣きそうになった。で、我が子ので出番の時の整列のBGM、これが超ドA級のYAVAIものに!! まさかそこで『ビバリーヒルズ・コップ』の音楽が聴けるなんて!! そこに食いついた父兄はきっとこの会場、数百人いる中、ウチだけではなかっただろうか!? なぜ『ビバリーヒルズ・コップ』!!??
映画『ビバリーヒルズ・コップ』といえばエディ・マーフィーの人気を不動のもにした刑事物映画。分かりやすいストーリーと設定、当時10代だった自分も何回も観た記憶がある。あの頃一気にレンタルビデオが普及して、映画は映画館で観るよりも、家でレンタルして観る方がいいと思われてしまった時代。CICビデオのロゴマークが懐かしい。その頃、映画館がガラガラになってしまった。シネコンが流行る前まで映画館の不況は続くことになる。
この『ビバリーヒルズ・コップ』くらいからブロックバスター映画なる言葉が生まれた。フィルムを大量生産コピーして、一時期一気に多くの上映館にのせるというスタイル。今の映画公開の布石といっていい。それまでは少ないフィルムを映画館を巡回していく公開方法だったのだが、この一気に公開するという方法で、話題性も生みやすくなったのだろう。ただこのブロックバスター方式、コピーされまくったフィルムを観客は観せられるので、画質がもの凄く悪い。正直VHSの方が画質がいいのではと思うくらい。だから『ブロックバスター』という言葉にはなんとなく「安物」というイメージが自分にはある。そりゃ映画館にも行きたくなくなるかも知れない。
映画は映画館で観るものと自分は考えるタイプだが、粗悪品のフィルムで観るくらいならと、一時期はレンタルビデオで映画を観ることが多くなってしまったような気がする。ただ儲かれば良い、客へ上質のサービスを怠って欲をはると、かえって客が逃げてしまうという、ビジネスに陥りやすい反面教師例だろう。
『ビバリーヒルズ・コップ』の安っぽい音楽が、そんなことを思い出させてくれた。
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