オカルト? カルト?『オーメン』
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最終更新日:2019/06/13
映画:ア行
6月6日はダミアンの誕生日だ!! と最近言わなくなった。もう『オーメン』の話をしても誰も分からないだろう。1970年代に低予算で面白い映画ができないかと、ホラータッチの映画がたくさん出てきた。『エクスシスト』や『オーメン』は脚本を駆使して、反キリスト的な悪魔の存在を描いた。クリスチャンの多い欧米では、宗教的な目に見えないものの怖さを表現した作品は相当怖かったらしく、いちだいブームとなった。目に見えないものの怖さ伝えるのに、芸術的な表現が駆使された。恐がりな自分はホラーは観たくないのだけれど、このなんとなく芸術的な情緒ある怖さ表現にハマり、テレビで放送するたびよく観ていたものです。
この『オーメン』は三部作になり、そのあと『オーメン4』なる作品も生まれたらしい。6月6日に生まれた悪魔の化身の子ども・ダミアンにまつわる話だ。この第一作ではダミアンの周りで人が死んだり、奇妙な出来事が起こるので、この子は悪魔なんじゃないか? いまのうちに殺しておかないと人類に災いをもたらすんじゃないか? と疑心暗鬼になっていく親の姿が描かれている。実際にダミアンが人を殺したりしているわけではないが、ダミアンに関わった人がどんどん変死していく。
不吉なことを流布して回る人はいつの世も多い。そういった悲観的思想に振り回されたり、そんなものばかり気にする人というのは、ちょっと困ったものです。そんなデマに真っ先に飛びつくのはいたってハッピーじゃない人だろう。ネットが普及した今、こういった悲観的な情報ホラーポルノをいちいち気にしても仕方ない。いい大人がそんなことばかり言っているのでは、そんな人に関わらない方がいい。
先月大地震が起こるというデマがネットを始め多くのメディアで伝えられた。で、その予言をした人の動画を観る機会があったのだが、その大地震の予告日の前日に困惑のコメントだった。なんでも「あまり地震の災害等を予言するのは良くないと思ったが、みんなが意識して欲しいと思って発した。日本では毎日地震が起きているので、今更予言してもどれかに当てはまってしまう。ただポジティブに運んでいく心構えで災害はまのがれる可能性は高くなるからそのことを伝えたかった」という類いのことを言っていた。自分は基本的にスピリチュアルなものは信じない。運命は流動的なものだと感じるからだ。笑う門には福来る、悲観的な人は更に悲劇的な状況になるのは世の常。自分の心がけ次第で状況はいくらでも変化する。
最初の『オーメン』では、本当にダミアンが悪魔の子なのかはハッキリ描いていない。もしかしたら父親がパラノイアになっているだけなのかも知れない。そんな余韻を残すからこそこの映画の恐怖はじんわりくるのだ。だから二作目以降の悪魔然たるダミアンの姿は蛇足もいいところ。少なくともサム・ニールのダミアンなんか観たくなかった。
悪魔はよそからやってくるのではなく、自分自身の中から現れてくるものなのだろう。
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