映画化までの長い道のり『のぼうの城』
鳥取市のマスコットキャラクター
『かつ江(渇え)さん』が批判を受けて非公開になった。
今年の大河ドラマ『黒田官兵衛』にちなんで、
秀吉の「鳥取の渇え殺し」を
生き延びた娘のイメージらしい。
キワドいキャラクターゆえ、
企画の段階でクレームは想定できたろうに。
その批判を逆利用するくらいのコンセプトを、
しっかり構築しておいて欲しかったものです。
すぐクレームを放つのも問題だが、
ブレブレの行政側の態度もしかり。
で、本題。
同じく秀吉の城攻めが題材の日本映画『のぼうの城』。
現代に通じるリーダー論の作品で、サラリーマン必見。
(でく)のぼうと言われた殿様が主人公。
いばらない、ばかだけど人たらしの殿様が、
人望だけで、多勢に無勢の豊臣勢と闘うという痛快巨編。
そもそも脚本が面白い。
この脚本は新人ライターの登竜門・城戸賞での受賞作品。
本作を映像化するには制作費がかかる。
リスクを恐れる多くの協賛企業は、なかなかゴーを出さない。
今、日本での映像作品は、
原作のないオリジナル企画はほぼ作られない。
出来上がりと、客層と、確実な動員が予想できない限り
映画の制作資金は集められない。
「ならば映画化を見込んで原作を作ってしまえ!」
というのがこの「のぼうの城」プロジェクト。
そもそもオリジナルが脚本形式なのを、
小説にリライトしなおし、書き下ろし小説としてまず世に出す。
面白いストーリーだったので、ベストセラーになりました。
そこで初めて映画化へのゴーサインが出るのです。
映画が完成しても作品にでてくる水攻めの場面が、
3.11の津波を連想させるということで、公開が延期となったり、
多難続きの作品だったのですが、結果的に大ヒット。
これでヒットしなかったらどうなるの?というくらい
映画化までの長い道のり。
世の中にはこういった
「面白いけど、日の目を見ない」作品企画が、
山ほど埋もれている訳です。
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