*

『ダメなときほど運はたまる』欽ちゃん流自己啓発

公開日: : 最終更新日:2019/06/13 , 音楽

 

欽ちゃんこと萩本欽一さん。自分が小さい頃は欽ちゃんのテレビ番組全盛期で、なんでも30%は視聴率をとっていたとか。自分にとって欽ちゃんといえば、若手に対するダメ出しもそのまま笑いにしてしまう、コントでもなかなか話が先に進まなくてじれったい笑いの印象がある。でも自分もそのころまだ小学生、笑わせてくれる人が嫌いなわけがない。欽ちゃん番組はほとんど観ていたような気がする。

欽ちゃんがテレビから姿をみせなくなって、もうしばらく経つ。今年74歳をむかえる欽ちゃんが今年の春には駒沢大学に合格して、晴れて大学生になったりと、元気すぎるくらいの印象を受ける。この本『ダメなときほど運はたまる』は、欽ちゃん流の自己啓発本。最近の日本は不安になるようなことばかり。「自分は運が悪い」と落ち込んで腐る人も多いだろうからこのタイトルなのか、あざといな〜と思って、発売した頃は読む気もなかったのですが、最近の大学入学のニュースで、自分の中で欽ちゃんブームが再燃しはじめました。

この本を読むと欽ちゃんは若いころものすごく苦労したのがわかります。家が貧乏で、お母さんに家を建ててあげたい一心で、儲かりそうな職業は何かを研究します。プロ野球の選手やら役者やら。野球の選手は無理だから役者? で鏡を見て自分のタレ目にあきらめかけたところ、映画で観た脇役の役者さんに魅力を感じて、この方向ならばと喜劇会にすすんでも才能がない。欽ちゃんといえば、自分には「大将」と呼ばれた大御所のイメージしかないのだけれど、どこへ行っても先輩に好かれ、素直な青年だったのがこの本からわかります。

下手だからアドリブでごまかした司会が「新しい」と評価されたり、欽ちゃんはこの本では「運」という言葉でくくっています。ようはポジティブシンキング。どんな状況下に置かれても腐らない。それを糧にして踏ん張ること。欽ちゃん流に言えば「そこで運がつく」ということ。

欽ちゃんの若い頃は、とにかく目上の人を敬っていたのがわかります。そして自分に地位がついたとき、若い才能を見抜く目があるというのはよても有名。欽ちゃんは「運の貯まってそうな人を選んだだけ」というけれど、そんなの凡人には見分けがつかない。欽ちゃんの言葉に迷いがないので法則があるのだろう。本書を読んでもその法則は理解できない。ようするに直感力がものすごく良いのでしょう。そういった不思議な才能を持つ人には自然と人が集まってくる。

欽ちゃんはずるいことや意地悪なことは絶対に、してはダメだと言ってます。欽ちゃんのネームバリューで出した番組のアイドルグループ『わらべ』の『めだかの兄妹』(坂本龍一編曲!)の大ヒットで、欽ちゃんにボーナスが入った時、全額突き返したそうです。「自分が汗水たらしたわけではないのでもらえない」努力しない収入は運をなくすとのこと。いま世の中が悪くなってきているのは、ずるいことや意地悪な人が増えているからではないかと言ってます。

先日子どものために『妖怪ウォッチ』の『妖怪メダル』なるもののガシャポンを買って帰ろうとしたら、ハンドルまわしても出て来ない。何度かチャレンジしたら2個出て来ちゃった。もっとハンドルまわしたらたくさん出てきそうだったけどやめました。こういったズルをすると運が逃げちゃうんだろうな。もう1個余計にメダル貰っちゃったから、運がだいぶ減ったかも。そうなると怖くなっちゃいます。

 

関連記事

no image

90年代再燃か!?『ONE OK ROCK』

  若い子に人気の『ONE OK ROCK』。 映画『るろうに剣心』実写版三部作の

記事を読む

no image

原作への愛を感じる『ドラえもん のび太の恐竜2006』

  今年は『ドラえもん』映画化の 35周年だそうです。 3歳になる息子のお気

記事を読む

no image

『リップヴァンウィンクルの花嫁』カワイくて陰惨、もしかしたら幸福も?

  岩井俊二監督の新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』。なんともややこしいタイトル。

記事を読む

no image

『おやすみなさいダース・ヴェイダー』SWファンもすっかりパパさ

  ジェフリー・ブラウン著『おやすみなさいダース・ヴェイダー』。 スターウォーズの

記事を読む

no image

『ドリーム』あれもこれも反知性主義?

  近年、洋画の日本公開での邦題の劣悪なセンスが話題になっている。このアメリカ映画『

記事を読む

『ベルサイユのばら(1979年)』 歴史はくり返す?

『ベルサイユのばら』のアニメ版がリブートされるとのこと。どうしていまさらこんな古い作品をリメ

記事を読む

『真田丸』 歴史の隙間にある笑い

NHK大河ドラマは近年不評で、視聴率も低迷と言われていた。自分も日曜の夜は大河ドラマを観ると

記事を読む

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』 特殊能力と脳障害

いま中年に差し掛かる年代の男性なら、小学生時代ほとんどが触れていた『機動戦士ガンダム』。いま

記事を読む

no image

高田純次さんに学ぶ処世術『適当教典』

  日本人は「きまじめ」だけど「ふまじめ」。 決められたことや、過酷な仕事でも

記事を読む

no image

『幕が上がる』覚悟の先にある楽しさ

  自分はアイドル文化や萌えとかよくわからない。だから『ももいろクローバーZ』の存在

記事を読む

『新幹線大爆破(Netflix)』 企業がつくる虚構と現実

公開前から話題になっていたNetflixの『新幹線大爆破』。自

『ラストエンペラー オリジナル全長版」 渡る世間はカネ次第

『ラストエンペラー』の長尺版が配信されていた。この映画は坂本龍

『アドレセンス』 凶悪犯罪・ザ・ライド

Netflixの連続シリーズ『アドレセンス』の公開開始時、にわ

『HAPPYEND』 モヤモヤしながら生きていく

空音央監督の長編フィクション第1作『HAPPYEND』。空音央

『メダリスト』 障害と才能と

映像配信のサブスクで何度も勧めてくる萌えアニメの作品がある。自

→もっと見る

PAGE TOP ↑