この映画『ジョゼと虎と魚たち』。
公開当時、ミニシアター渋谷シネクイントに
長蛇の列に並んで観た記憶がある。

当時単館作品で、しかも日本映画で
ここまで人気があるのは珍しい。

そもそも原作は田辺聖子さんの短編。
監督は女性的な描写がうまい犬童一心さん。

犬童監督の恋愛ものの特徴として、
とにかくキスシーンが長いんですね。
で、この作品も生々しいラブシーンが
大きな効果を出しているんです。

夢物語のラブラブだけではすまされない。
現実世界のドロドロも既視感として伝わってくる。

若者向けの恋愛もので、
きちんと男のズルさを描いているんですね。
主人公の足の不自由な若い女性は、
そんなズルさも受け止め、彼が去った後も
この思い出を抱えて、この後の人生を
独りで生きて行く覚悟の映画なんですね。

ラストシーンでの彼女の後ろ姿が力強い。
それを言葉でなく、映像で観せた演出は見事です。

若者向けの映画だけど、
大人になっても心を動かされるのです。

この作品で脚本を書かれたのは
本作でデビューの渡辺あやさん。

主婦の合間、自分も応募したことがある
岩井俊二監督の素人作家の発掘サイトから
頭角を現した方です。

彗星のごとく表れた渡辺さやさん。
どんな方なのかと興味津々でしたが、
インタビューをみると、
自分がシナリオライター養成所で
出会った方々と同じタイプでした。

とくにスペシャルな感じはしませんでした。
ちょっとがっかりしたくらい。

デビューする、しないの境目は、
それほど大きくはないのかも知れませんね。

重要なのは、デビュー後のパワーの継続かな?