『あさが来た』 はるがきた⁉︎
公開日:
:
最終更新日:2019/06/13
ドラマ
NHK『連続テレビ小説』の『あさが来た』に遅ればせながらハマってしまった。
放送当初より自分の周囲では評判が良く、「主演の波瑠さんがかわいい」と、同性の方から人気が高い。若い頃「お嫁さんにするなら、同性に好かれている人を選びなさい」と言われたのを思い出した。自分が年末ふと観た『となりのシムラ』というコント番組に波瑠さんが出演していました。波瑠さん、コメディセンス高いのね! お笑いの大御所・志村けんさんとの掛け合いでも引けを取ってない。自分はコメディセンスの高い役者さんはすぐ尊敬してしまいます。山田洋次監督も言ってましたが、「観客を泣かすのは、実はそれほど難しいことではなく、本当に難しいのは人を笑わすこと」だと思います。勢いだけの笑いではなく、コントや落語のような綿密な計算の上の笑いで、観客を自然に笑わすことができるのは、そうとうのセンスが必要だと。そんな波瑠さんの人気作『あさが来た』を観ないわけにはいかない。年末年始にいままでの放送分の総集編を放送していたので、イッキに観てしまった!
波瑠さん演じる主人公・白岡あさのモデルは、男尊女卑が色濃い100年前の日本の女実業家・広岡浅子。実在する本人の写真をみると、やっぱりガッチい。男顔負けどころか、男を従える女漢といった、たくましい印象。これをかわいらしい波瑠さんが演じることに意味がある。波瑠さんの見た目が華奢でも、芯の強い貫禄のある存在感が、次々とのしかかる困難を乗り越え、女だからとなめてかかる男どもを次々と仲間にしていく主人公・あさの姿に説得力をあたえる。朝の連続テレビ小説はこうでなくちゃ!
最近のエンターテイメント作品は、世界的に女性が活躍するものが増えてきた。日本では、ドラマや映画など、文化的なものに興味を持つのはほとんど女性。最近まで世の男どもは、仕事ばかりの人生だった。なので男を主人公にはせず、女性を活躍させるのは、客層を意識すれば当然のこと。スタジオジブリなんかは、早いうちから男性客はターゲットから外して、女性のために映画を作っていた。昨年の海外のヒット作品の多くは、女性が主人公。『マッドマックス』やら『スターウォーズ』ですら、女性が主人公になっている。女性が悪漢を叩きのめす姿に、最高のカタルシスを感じるようになってしまった。
ヒットする物語が内包しているテーマは、やがて現実となっていく。そうなると男の活躍する場は、本当になくなっちゃう。せいぜい、頑張る女性のジャマにならないようにするだけ? 玉木宏さん演じるあさのダンナのように、優しく見守って、理解してあげるのがベストな立ち位置なのかもしれない。『あさが来た』をはじめ、最近のヒロイン像というのは、ただ強いだけではなく、女性らしさがある。女性が目指す世界は、生活に密着したもの。美味しいものが食べられ、質素でも綺麗なものが揃い、子どもたちが育てやすい世界。だから男社会の古い考えは通用しない。男を乗り越える力はあれど、彼女たちの目的は「みんなが幸せになること」。けっしてカネや名誉のために働くのではない。それが結果的に力となっていく。本来、人が闘う理由はそこにある。人生には闘わなければならない困難は、ほっといてもやってくる。ものごとの本質から逃げずに闘う強さ。戦いのための戦いではないのだ。
エンターテイメントが優しく強いヒロインを求めている!
さて、『あさが来た』の後半戦の放送が始まるゾ。あえてこの作品のモデルの伝記は調べずに、主人公・あさとともに冒険の旅に出よう!
関連記事
-
-
『アンという名の少女』 戦慄の赤毛のアン
NetflixとカナダCBCで制作されたドラマシリーズ『アンという名の少女』が、NHKで放送
-
-
『ツイン・ピークス』 あの現象はなんだったの?
アメリカのテレビドラマ『ツイン・ピークス』が 25年ぶりに続編がつくられるそうです。
-
-
『アオイホノオ』 懐かしの学生時代
自分は早寝早起き派なので 深夜12時過ぎまで起きていることは 殆どないのだけれど、 た
-
-
『ブラッシュアップライフ』 人生やり直すのめんどくさい
2025年1月から始まったバカリズムさん脚本のドラマ『ホットスポット』がめちゃくちゃ面白い。
-
-
『チェルノブイリ』 あれ、みんな英語しゃべってる?
先日、福島で震度6強の地震があった。311の東北震災から、もうすぐ10年が経とうとする矢先の
-
-
『逃げるは恥だが役に立つ』 シアワセはめんどくさい?
「恋愛なんてめんどくさい」とは、最近よく聞く言葉。 日本は少子化が進むだけでなく、生涯
-
-
『マーベルズ』 エンタメ映画のこれから
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最新作『マーベルズ』が不振というニュースが流
-
-
『三体(Netflix)』 神様はいるの?
Netflix版の『三体』をやっと観た。このドラマが放送開始されたころ、かなり話題になっていたし
-
-
『マッサン』女性が主役の朝ドラに、男の名前がタイトルの理由
NHKの朝の連続テレビ小説。 ここのところすべての作品が評判が良く、 毎朝日
-
-
『高い城の男』占いは当たらない?
映画『ブレードランナー』の原作者フィリップ・K・ディックの代表作『高い城の男』。