*

人を幸せにしたいなら、まず自分から『アメリ』

公開日: : 最終更新日:2019/06/14 映画:ア行

 

ジャン=ピエール・ジュネ監督の代表作『アメリ』。

ジュネ監督の今までの作風といえば
ウィットに富んだダークファンタジーや
SF作品が多かったにもかかわらず、
『アメリ』は女性から多く人気を得た。

オシャレな作風というのもある。
ハイテクのカメラワークを駆使した
魅力的な映像もある。
でもそれだけでは万人に受け入れられない。

そこにはそのハイテク映像にも
負けないくらいの魅力的な登場人物がいるからだ。

主人公アメリはカフェで働く女の子。
ふとした事から、他人の人生にちょっとした
イタズラを仕掛けて幸せにしてあげる。

「幸せにしてあげる」という
なんとも上から目線。

その冒険の途中、難病で家に閉じこもり
絵ばかり描いているおじいさんと知り合う。
おじいさんはアメリに言います。
「自分の人生を生きなさい。
私みたいになってはいけない」
アメリは次の瞬間、
自分の恋愛と本気で向き合います。

おじいさんがアメリに忠告するのは
彼女がみんなから愛される人物だったから。

よくボランティア活動に夢中になる人がいます。
世のため人のためとなることなので
善行と言っていいのでしょうが、
とかくそういった人たちは
不幸な人生をむかえていく。

ボランティアに入る時の動機が、
失恋やら事業の失敗やら、自分探しなど、
ネガティブなところから
スタートしているのが気になる。

自分の人生の困難にぶつかったとき、
その苦しみからすぐ他者へ
向かってしまうのが問題なのかも。

今の自分より不幸な人をみつけて
その人を幸せにすることで、
自分の価値を見いだしていく。
そう言ってしまうと、とても残酷。

幸せとは、人からもらうものではない。
人に与えられるものでもない。
自分自身から見いだしていくもの。

思うんです。
人を幸せにしたいなら、
先ず自分が幸せになることが大事だと。
自分の人生にキチンと向き合うこと。

そうして自分が少しずつ
幸せになっていく姿を見た誰かが、
共感してくれればいい。
幸せは他人から押し付けられるものじゃない。

自分自身を幸せにすることが
どんなに大変な仕事だろうか。
一生かかっても出来るかどうか分からない。
人生かけた一大仕事です。

アメリは「幸せ配達人ごっこ」に興じて
不幸な人生をむかえるすんでのところで、
おじいさんに救われたわけです。

関連記事

『映像研には手を出すな!』好きなことだけしてたい夢

NHKの深夜アニメ『映像研には手を出すな!』をなぜか観始めてしまった。 実のところなん

記事を読む

no image

『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』夢を現実にした最低で最高の男

芸能界は怖いところだよ。よく聞く言葉。 本書は『宇宙戦艦ヤマト』のプロデューサーで、実質的な生みの

記事を読む

『男はつらいよ お帰り 寅さん』 渡世ばかりが悪いのか

パンデミック直前の2019年12月に、シリーズ50周年50作目にあたる『男はつらいよ』の新作

記事を読む

no image

『オール・ユー・ニード・イズ・キル 』日本原作、萌え要素を捨てれば世界標準

  じつに面白いSF映画。 トム・クルーズのSF映画では 最高傑作でしょう。

記事を読む

『アリオン』 伝説になれない英雄

安彦良和監督のアニメ映画『アリオン』。ギリシャ神話をモチーフにした冒険活劇。いまアリオンとい

記事を読む

『エイリアン ロムルス』 続編というお祭り

自分はSFが大好き。『エイリアン』シリーズは、小学生のころからテレビの放送があるたびに観てい

記事を読む

『あしたのジョー2』 破滅を背負ってくれた…あいつ

Amazon primeでテレビアニメの『あしたのジョー』と『あしたのジョー2』が配信された

記事を読む

no image

『アメリカン・ビューティー』幸福か不幸か?

  アカデミー賞をとった本作。最近ではすっかり『007』監督となった映像派のサム・メ

記事を読む

『犬ヶ島』オシャレという煙に巻かれて

ウェス・アンダーソン監督の作品は、必ず興味を惹くのだけれど、鑑賞後は必ず疲労と倦怠感がのしか

記事を読む

『イカゲーム』 社会風刺と娯楽性

いま韓国サブカルチャーが世界を席巻している。ポン・ジュノ監督の『パラサイト』が韓国語で制作さ

記事を読む

『ブラッシュアップライフ』 人生やり直すのめんどくさい

2025年1月から始まったバカリズムさん脚本のドラマ『ホットス

『枯れ葉』 無表情で生きていく

アキ・カウリスマキ監督の『枯れ葉』。この映画は日本公開されてだ

『エイリアン ロムルス』 続編というお祭り

自分はSFが大好き。『エイリアン』シリーズは、小学生のころから

『憐れみの3章』 考察しない勇気

お正月休みでまとまった時間ができたので、長尺の映画でも観てみよ

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』 あらかじめ出会わない人たち

毎年年末になるとSNSでは、今年のマイ・ベスト10映画を多くの

→もっと見る

PAGE TOP ↑