*

『オール・ユー・ニード・イズ・キル 』日本原作、萌え要素を捨てれば世界標準

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 映画:ア行,

 

じつに面白いSF映画。
トム・クルーズのSF映画では
最高傑作でしょう。

死んだら同じ日をまた最初から
やり直すというタイムループもの。

死んだらやり直しという、
倫理観に悪影響を与えそうなテーマだが、
観ていると爽快感を感じる。

主人公が失敗して死ぬ、また最初からやり直す。
何度も何度も失敗してもやり直す……。
ど根性の映画。

しかも同じことを繰り返しているから、
どんどんスキルアップして強くなっていく。
継続は力なり!

似たような毎日の中で成長していく
サラリーマンの生活のよう。

この映画は日本のライトノベルが原作。
ライトノベルは一般的には、
アニメやマンガの小説版といたところなので、
偏った層のファンしか手に取ることはない。

原作は少年少女が主役らしいが、
映画はトムだからおじさんになるし、
相手役の女性もそれにそぐわなければならない。

少年少女のストーリーでは萌えや、
子ども向けにしかならない。

作品の根幹は残して、萌え要素を捨てれば、
世界標準の作品になるという好例。

日本のアニメの現状は、
深夜アニメというジャンルのごとく、
萌えやフェティズムが扱われている作品が多い。

この手の作品は、
海外ではポルノになってしまう。

萌えアニメを作るのを拒んだばかりに、
潰れてしまったアニメ制作会社のなんと多いことか。

萌え学園アニメを作らなければ
商売にならないということ。

ただ、世界に通用する作品は、
この萌え要素がないものでないと、
一般客は振り向かない。

純粋にSFならSF、
アクションならアクションを
みせるものでなければならない。

萌えを作らないと国内では売れないが、
萌えを捨てないと世界標準には乗れない。

どちらがビッグビジネスかは
考えなくても分かる。

トム・クルーズは親日家。
クールジャパンに率先して力を
貸してくれたのでしょう。

今後、日本発の
「健全なエンターテイメント作品」が
増えていくことが期待できるようになりました。

世界中に喜ばれる作品が
日本から誕生することは、
とても喜ばしいことです。

そういった意味でも、
本作は未来の映画なのです。


関連記事

『チ。 ー地球の運動についてー』 夢に殉ずる夢をみる

マンガの『チ。』の存在を知ったのは、電車の吊り広告だった。『チ。』というへんなタイトルがキャ

記事を読む

『わたしを離さないで』 自分だけ良ければいい世界

今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ原作の映画『わたしを離さないで』。ラブストーリ

記事を読む

『三体(Netflix)』 神様はいるの?

Netflix版の『三体』をやっと観た。このドラマが放送開始されたころ、かなり話題になっていたし

記事を読む

『1917 命をかけた伝令』 戦争映画は平和だからこそ観れる

コロナ禍の影響で『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開が当初の予定から約一年後の4月に一

記事を読む

no image

『オネアミスの翼』くいっっっぱぐれない!!

  先日終了したドラマ『アオイホノオ』の登場人物で ムロツヨシさんが演じる山賀博之

記事を読む

『ハンナ・アーレント』考える人考えない人

ブラック企業という悪い言葉も、すっかり世の中に浸透してきた。致死に至るような残業や休日出勤を

記事を読む

『男はつらいよ お帰り 寅さん』 渡世ばかりが悪いのか

パンデミック直前の2019年12月に、シリーズ50周年50作目にあたる『男はつらいよ』の新作

記事を読む

no image

『団地ともお』で戦争を考える

  小さなウチの子ども達も大好きな『団地ともお』。夏休み真っ最中の8月14日にNHK

記事を読む

『花束みたいな恋をした』 恋愛映画と思っていたら社会派だった件

菅田将暉さんと有村架純さん主演の恋愛映画『花束みたいな恋をした』。普段なら自分は絶対観ないよ

記事を読む

『メッセージ』 ひとりが幸せを感じることが宇宙を変える

ずっと気になっていた映画『メッセージ』をやっと観た。人類が宇宙人とファースト・コンタクトを取

記事を読む

『アン・シャーリー』 相手の話を聴けるようになると

『赤毛のアン』がアニメ化リブートが始まった。今度は『アン・シャ

『新幹線大爆破(Netflix)』 企業がつくる虚構と現実

公開前から話題になっていたNetflixの『新幹線大爆破』。自

『ラストエンペラー オリジナル全長版」 渡る世間はカネ次第

『ラストエンペラー』の長尺版が配信されていた。この映画は坂本龍

『アドレセンス』 凶悪犯罪・ザ・ライド

Netflixの連続シリーズ『アドレセンス』の公開開始時、にわ

『HAPPYEND』 モヤモヤしながら生きていく

空音央監督の長編フィクション第1作『HAPPYEND』。空音央

→もっと見る

PAGE TOP ↑