『アナと雪の女王』からみる未来のエンターテイメント
『アナと雪の女王』は老若男女に受け入れられる
大ヒット作となりました。
でもディズニーからしてみれば「当然でしょ?」
と言う声が聞こえてきそうです。
聞いた話によると、ディズニーでは
綿密にマーケットリサーチする部署があるらしいです。
要するに世界でどんなものが好まれ、
どうすればお客さんが喜ぶか、
それこそスパイ活動のようにリサーチして、
どうしたら表現につながるか研究している訳です。
作家がみなぎるエモーションで作るだけではなく、
研究に研究を重ね、人々の琴線に届くものを
技術的にカタチとしていく訳です。
本作が日本公開の前、
「Let it Go」のPVがあちこちで流れたとき、
日本のベテランアニメ作家たちは
肩を落としたと聞きます。
ファーストショットの雪山の遠景から、
山をトボトボ歩いているエルサに
近づいていく長回しの絵です。
あれを作るのに、どれだけの偉い人が会議をし、
どれだけの技術とお金がつぎ込まれたか、
と具体的な姿がみえたからです。
今の日本では、足下にも及ばない技術だと。
この映画を自分が初めてみたとき、
映画の冒頭、まだ物語が始まっていない、
登場人物の誰にも感情移入していない時点で、
涙が流れていたんですね。気がついたら。
これは演出技術に圧倒されたからに他ならないです。
観客を感動させようとする
クリエーターたちの高い技術によってもたらされる感動。
これは新しいエンターテイメントのスタイルです。
もちろんこれから来る、更なる高画質時代や、
派生するミュージカルや続編も念頭に入れているでしょう。
今の世代の孫の代が観ても楽しめる作品を
作ろうとしているのです。
いままでのディズニー作品がそうであったように。
日本でいま、日々作られているアニメとは
志もスケールも段違いです。
ディズニーは、アニメやミュージカルを越えた、
新しいジャンルのエンターテイメントを
作ってしまった訳です。
関連記事
-
-
『推しの子』 キレイな嘘と地獄な現実
アニメ『推しの子』が2023年の春期のアニメで話題になっいるのは知っていた。我が子たちの学校
-
-
『アメリカン・ビューティー』幸福か不幸か?
アカデミー賞をとった本作。最近ではすっかり『007』監督となった映像派のサム・メ
-
-
『ボス・ベイビー』新しい家族なんていらないよ!
近年のドリームワークス・アニメーションの作品が日本では劇場公開されなくなっていた。『ヒックと
-
-
『アナと雪の女王2』百聞は一見にしかずの旅
コロナ禍で映画館は閉鎖され、映画ファンはストレスを抱えていることだろう。 自分はどうか
-
-
現代のプリンセスはタイヘン!!『魔法にかけられて』
先日テレビで放送していた『魔法にかけられて』。 ディズニーが自社のプリンセスも
-
-
『アイ・イン・ザ・スカイ』 ザ・抑止力エンターテイメント
戦争映画はプロパガンダと紙一重。反戦を謳っている作品と、勇ましい好戦的な作品と一緒くた。そん
-
-
『ウェンズデー』 モノトーンの10代
気になっていたNetflixのドラマシリーズ『ウェンズデー』をやっと観た。ずっと気になってい
-
-
『うつヌケ』ゴーストの囁きに耳を傾けて
春まっさかり。日々暖かくなってきて、気持ちがいい。でもこの春先の時季になると、ひ
-
-
原作への愛を感じる『ドラえもん のび太の恐竜2006』
今年は『ドラえもん』映画化の 35周年だそうです。 3歳になる息子のお気
-
-
『レゴバットマン/ザ・ムービー』男のロマンという喜劇
映画『レゴバットマン』が面白いという噂はずっと聞いていた。でもやっぱり子ども向けなので後回し