*

『くまのプーさん』ハチミツジャンキーとピンクの象

公開日: : 最終更新日:2019/06/13 アニメ, 映画:カ行

 

8月3日はハチミツで、『ハチミツの日』。『くまのプーさん』がフィーチャーされるの日でもあります。でもこれ明らかに日本だけの記念日ですね。ディズニー映画の『くまのプーさん』は息子が2歳の時、めちゃくちゃハマって我が家で毎日ヘビーローテーションでした。自分が外出から帰ってくると、息子がタタタッと走ってきて「とーしゃんぷーしゃんみよ(お父さん、プーさん観よう)」と誘ってきます。正直もう飽きたんだけどな〜。

この映画『くまのプーさん』は1977年版のもの。短編を3本並べて長編映画に再編集したらしいのだが、とにかく完成度が高い。あえて原画の鉛筆書きのテイストを残してみたり、本から飛び出したプーさんの世界観を表現するため、きちんと本の文字まで動いて作画されてたりと、相当手間暇がかかっている。もぐらのキャラクターがでてきて「どうせ俺は原作には出てこないからな」とぼやいたりする自虐ギャグがあるんだけど、子ども達はボー然。

ウチの息子はディズニーランドに行った時、『くまのプーさん』のアトラクションに乗ってからのプーさんファン。ハチミツ好きのプーさんが、ハチミツがなくなり悪夢を見るの描写がとても怖かったらしいです。ハチミツが切れて幻覚を見るプーさんの姿は、もうヤク中の禁断症状そのもの。こんなの子ども向けでやっていいのかしら? ディズニーのラリった表現では、いつもなぜかピンクの象が踊ってるところから始まる。なぜピンクの象? それがどんどんカラフルな象になっていく。ものすごくシュールな世界。なんかのメタファー? でも思うと『ダンボ』で酔っ払ったダンボが見る幻覚がピンクの象たちが踊ってるから、ルーツはそこからなのかも。ダンボは子どもの象だから、同種族の象が踊ってる幻覚見てもなんらおかしなことはないんだけど、くまのプーさんがなぜ象の幻覚を見るのかはナゾ。きっと当時のスタッフたちはワルノリしてゲラゲラ笑いながらイマジネーションを膨らませたのでしょう。このワケのわからなさがプーさんの狂気となり、子どもたちになんとなく恐怖心を抱かせるのでしょう。もしかしたら当時のスタッフも、ヤクをしながらアニメをつくっていたのかもしれない。自分も子ども時代、好きなもの食べられないと、こんなふうになっちゃうんだ〜と恐怖を感じたけれど、どうしてもそこまでいく執着心に共感できなかった。このキワドさはなんだろう?

そういえば2011年に『くまのプーさん』の新作が発表されたけど、その時は全くヒットしなくて劇場はガラガラだったそうです。人気のキャラクターの映画だからといって、必ずしもお客が入るわけではないという難しい結果ですね。宣伝もあまり力を入れなかったのかも。

関連記事

『風立ちぬ』 憂いに沈んだ未来予想図

映画『風立ちぬ』、 Blu-rayになったので観直しました。 この映画、家族には不評

記事を読む

『RRR』 歴史的伝統芸能、爆誕!

ちょっと前に話題になったインド映画『RRR』をやっと観た。噂どおり凄かった。S・S・ラージャ

記事を読む

no image

『ひつじのショーン』おっと、子供騙しじゃないゾ!!

  ひつじ年を迎え『ひつじのショーン』を 無視する訳にはいかない。 今年はも

記事を読む

『関心領域』 怪物たちの宴、見ない聞かない絶対言わない

昨年のアカデミー賞の外国語映画部門で、国際長編映画優秀賞を獲った映画『関心領域』。日本が舞台

記事を読む

『レディ・プレイヤー1』やり残しの多い賢者

御歳71歳になるスティーブン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』は、日本公開時

記事を読む

『グレイテスト・ショーマン』 奴らは獣と共に迫り来る!

映画『グレイテスト・ショーマン』の予告編を初めて観たとき、自分は真っ先に「ケッ!」となった。

記事を読む

『枯れ葉』 無表情で生きていく

アキ・カウリスマキ監督の『枯れ葉』。この映画は日本公開されてだいぶ経つが、SNS上でもいまだ

記事を読む

『聲の形』頭の悪いフリをして生きるということ

自分は萌えアニメが苦手。萌えアニメはソフトポルノだという偏見はなかなか拭えない。最近の日本の

記事を読む

no image

『スター・トレック BEYOND』すっかりポップになったリブートシリーズ

オリジナルの『スター・トレック』映画版をやっていた頃、自分はまだ小学生。「なんだか単純そうな話なのに

記事を読む

『ケナは韓国が嫌いで』 幸せの青い鳥はどこ?

日本と韓国は似ているところが多い。反目しているような印象は、歴史とか政治とか、それに便乗した

記事を読む

『たかが世界の終わり』 さらに新しい恐るべき子ども

グザヴィエ・ドラン監督の名前は、よくクリエーターの中で名前が出

『動くな、死ね、甦れ!』 過去の自分と旅をする

ずっと知り合いから勧められていたロシア映画『動くな、死ね、甦れ

『チェンソーマン レゼ編』 いつしかマトモに惹かされて

〈本ブログはネタバレを含みます〉 アニメ版の『チ

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』 普通に生きるという特殊能力

リチャード・カーティス監督の『アバウト・タイム』は、ときどき話

『ヒックとドラゴン(2025年)』 自分の居場所をつくる方法

アメリカのアニメスタジオ・ドリームワークス制作の『ヒックとドラ

→もっと見る

PAGE TOP ↑