『耳をすませば』リア充映画?現実的な作品なのに
ジブリアニメ『耳をすませば』は
ネット民たちの間では「リア充映画」と
言われているらしい。
そもそも自分は「リア充」という言葉が苦手。
リアル(現実)が充実していると言う意味で、
夢があるとか恋人がいるとかいう人への妬みの言葉。
人を妬んでいるヒマがあったら、
自分の人生と向き合えばいいのに。
実はウチの小さな子どもたちには
この『耳をすませば』は
ジブリ映画ではかなり人気がある。
殆どのジブリ作品はちょっと怖いみたい。
この作品の原作は柊あおいさんによるもの。
少女マンガ雑誌『りぼん』に掲載されていたが
不人気で当時連載中止になっている。
少女マンガと言えば、ホレタハレタの世界。
恋人たちが見つめ合って、
ふたりだけの世界へ没入して行く
閉ざされて行く世界観のものが多い。
柊あおいさんはそれに違和感を感じ、
恋愛だけじゃない、もっと世界には
打ち込むべきものがたくさんあると、
本作の着想していった。
マンガ雑誌の担当者もいぶかり、
マンガファンたちも今までの
ホレタハレタが読みたいと不評だった。
だが宮崎駿監督はこの作品の精神を汲み取り、
映画にしたいと、柊さんにオファーした。
宮崎監督はこの地味だけれども
現実的なテーマに共感した。
主人公の住む家も団地暮らしという、
当時アニメにあったような憧れの家では決してない。
「リア充映画」などと言われるが、
映画自体は静かで、
ほとんど何も起こらないといってもいい。
10代の頃の将来への期待と不安。
思春期の気持ちを丁寧に描いている。
これがリア充映画?
ちょっと人生の忘れ物多すぎない?
いくつになっても青春は出来るはず。
他人のリア充を妬んでるヒマはホントはない筈。
まったく呆れてしまう。
二人だけの世界に埋没していくのではなく、
二人で広い世界をみていこうとする物語。
この映画が発表されたのは1995年。
主人公たちは中学三年生なので、
いま30代半ばになっている。
主人公たちの人生は、
いまどのようなものになっているのだろうか?
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