*

『銀河鉄道999』 永遠の命と拝金主義

公開日: : 最終更新日:2021/05/11 アニメ, 映画:カ行

『銀河鉄道999』は自分が小学生低学年の頃、
社会現象になるくらいの人気があった。

今の自分を作っている土台は
この作品にあると言っても良い。

松本零士さんの『宇宙戦艦ヤマト』のヒットで、
戦艦の次は列車で宇宙旅行モノということである。

とにかくこの『999』、派生作品が多すぎて、
今ではもう追いかけることも不可能に近いけれど、
自分は、りんたろう監督作品の
この映画版がいちばん好きです。

原作連載やテレビ版放送もまだ続いている中、
旅の終着駅まで観せてくれるのだから期待大でした。

自分が後に映画好きになっていったのは、
マンガは完結するまで長いのにも関わらず、
映画は大抵2時間くらいで物語が完結する。
そのあとくされなさが気に入ったのでしょう。

結局子どもの頃、100回は繰り返し観ていました。
未だにセリフを憶えているくらい。
完全に刷り込まれています。

主人公のデザインが
原作よりもハンサムになっているのも良かった。
やはり主人公はそれなりにカッコ良くないとね。

物語もものすごく教訓めいていて、
暴力描写や性描写もあるのだけれど、
なにか道徳や哲学がある。
物語として深いことをやろうとしてるんですね。

作品で描かれる世界では、格差社会が進み、
金持ちは自分の体を機械化して、
永遠の命を手に入れている。

主人公は貧しいスラム出身。
もちろん機械化などしていない。
金持ちから差別の対象とされ、
機械化人間に母親を殺されている。

銀河鉄道999の終着駅は、
タダで機械の体にしてくれる星ということで
主人公は999に乗って宇宙旅行へ旅立つ。

幼かった自分がはじめて出会った冒険活劇。

機械化人間は拝金主義社のメタファー。
拝金主義にのめり込むと、
人は他人の心に麻痺したサイコパスに陥る。
差別も生まれる。

主人公は旅の途中、様々な出会いのもと、
機械化(拝金)への空虚さを知る。
そして人は限りある命だからこそ
一生懸命生きるべきだと確信する訳です。

機械化が実は、人の心を悲しくさせる原因ならば
そんな世界を破壊してしまおうと言うところに、
物語としてのカタルシスがあるのです。

現代社会、機械化人間こそはいなくとも、
本作の示す社会情勢の未来予言は、
悲しいかな相当マトを得ているのです。

文明こそは行きつく所まできた現代社会。
人の心がなおざりになる閉塞感。

この作品は今観ても面白かった。

日本は今、目先の金のことや進みすぎたITの進化で
どんどん機械化人間への道をたどっていますね。

生身の体、心をもっと尊重しないとね。

関連記事

『希望のかなた』すべては個々のモラルに

「ジャケ買い」ならぬ「ジャケ借り」というものもある。どんな映画かまったく知らないが、ジャケッ

記事を読む

no image

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』アメコミみたいなアイツ

トム・クルーズが好きだ! 自分が映画を観るときに、監督で選ぶことはあっても、役者で決めることはほとん

記事を読む

no image

『鉄コン筋クリート』ヤンキーマインド+バンドデシネ

アニメ映画『鉄コン筋クリート』が公開されて今年が10周年だそうです。いろいろ記念イベントやら関連書籍

記事を読む

no image

『反社会学講座』萌えアニメも日本を救う!?

  まじめなことにユーモアをもって切り込んでいくのは大切なことだ。パオロ・マッツァリ

記事を読む

no image

『東京ゴッドファーザーズ』地味な題材のウェルメイドアニメ

  クリスマスも近いので、 ちなんだ映画をセレクト。 なんでもこの『東京ゴッ

記事を読む

『グーニーズ』 ヤツは敵か味方か?

自分が子どもの頃に夢中になっていた映画を、大人になった今、我が子と一緒に観直すのは楽しい。

記事を読む

『キングスマン』 威風堂々 大人のわるふざけ

作品選びに慎重なコリン・ファースがバイオレンス・アクションに主演。もうそのミスマッチ感だけで

記事を読む

『ヴァチカンのエクソシスト』 悪魔は陽キャがお嫌い

SNSで評判だった『ヴァチカンのエクソシスト』を観た。自分は怖がりなので、ホラー映画が大の苦

記事を読む

『ベルサイユのばら(1979年)』 歴史はくり返す?

『ベルサイユのばら』のアニメ版がリブートされるとのこと。どうしていまさらこんな古い作品をリメ

記事を読む

no image

『ローレライ』今なら右傾エンタメかな?

  今年の夏『進撃の巨人』の実写版のメガホンもとっている特撮畑出身の樋口真嗣監督の長

記事を読む

『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』 イベントムービーの心得

我が家では自分よりも家族の方が『呪術廻戦』が好き。その『呪術廻

『ウィキッド ふたりの魔女』 陰惨な世界を軽やかに歌い上げよう

観るべきかやめるべきか迷っていた映画『ウィキッド ふたりの魔女

『ひらやすみ』 とがって、たたかれ、まるくなり。

2025年の冬、自分のSNSのタイムラインでは『ひらやすみ』と

『プレデター バッドランド』 こんなかわいいSFアクション映画が観たかった

『プレデター』の最新作が公開される。近年日本では洋画が不人気。

『藤本タツキ 17-26』 変態宣言を強要する珠玉のアニメ短編集!

『チェンソーマン』は、期待してなかったにも関わらず意外とハマっ

→もっと見る

PAGE TOP ↑