『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』 25年経っても続く近未来
何でも今年は『攻殻機動隊』の25周年記念だそうです。
この1995年発表の押井守監督作品の
映画版『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』。
当時映画館で観た時、
最初の30分は内容が理解できずにいました。
当時はまだ携帯電話も普及しておらず、
パソコンと言えば会社にあるもので、
個人が所有するにはまだそれほど
一般化していなかったと思う。
ネット犯罪がテーマで、
プログラムが意思をもって犯罪を起こすなど、
想像を遥かに超えたSF作品でした。
先見性があり、何もかもがカッコ良かった。
キリスト教の宗教画をイメージした画面作り。
台詞はお経のように意味不明で、
意味深で難解な哲学を延々喋っている。
民謡をモチーフにした音楽。
アクションシーンでもヒーリング曲風BGM。
登場人物は汗一つかかないアンドロイド。
海外の映画監督にも多大に影響を与えた。
『タイタニック』や『アバター』の
ジェイムズ・キャメロンは大絶賛した。
ウォシャウスキー兄弟(現・姉弟)は
『マトリックス』の企画会議で
「これがやりたいんだ!」と本作のビデオを
プロデューサーにみせたと聞く。
ビデオの売上げも上々だったらしい。
ただ気をつけて欲しいのは、
この作品を評価したのはマニアックな人間で、
一般的な客層にはそれほど響いていないと言う事。
確かに人気はあったでしょう。
しかし、本作は日本国内でもヒットはしなかったし、
アメリカ人も本作の存在を知らない人の方が多い。
後々の海外での評価を伝える報道で、
凱旋的に評価されたといった感の方が強い。
SFとしては充分見応えのある作品ではある。
それゆえ難解で、一般客には敷居が高い。
いまだに新シリーズが発表される本作。
「姿なき敵と闘う」なんて発想、
当時はクールでカッコよく感じた。
制作会社のプロダクションIG作品は、
本作以降後続する作品がすべて
「姿なき敵」と戦う話ばかりの印象なので、
もういい加減辟易したといったところ。
やはり同じジャンルでの名作は
20年に一度くらいしか出てこないのかもしれませんね。
関連記事
-
-
『機動戦士ガンダム』 ブライト・ノアにみる大人のあり方
『機動戦士ガンダム』は派生作品があまりに多過ぎて、 TSUTAYAでは1コーナー出来てしま
-
-
『崖の上のポニョ』 子ども目線は逆境を超える
日中二歳の息子の子守りをすることになった。 『風立ちぬ』もBlu-rayになることだし
-
-
『ノマドランド』 求ム 深入りしない人間関係
アメリカ映画『ノマドランド』が、第93回アカデミー賞を受賞した。日本では3月からこの映画は公
-
-
『野火』人が人でなくなるところ
塚本晋也監督の『野火』。自分の周りではとても評判が良く、自分も観たいと思いながらなかなか観れずにいた
-
-
『ひつじのショーン』おっと、子供騙しじゃないゾ!!
ひつじ年を迎え『ひつじのショーン』を 無視する訳にはいかない。 今年はも
-
-
『のだめカンタービレ』 約束された道だけど
久しぶりにマンガの『のだめカンタービレ』が読みたくなった。昨年の2021年が連載開始20周年
-
-
『アイ・アム・サム』ハンディがある人と共に働ける社会
映画『アイ・アム・サム』は公開当時、びっくりするくらい女性客でいっぱいだった。満
-
-
『千と千尋の神隠し』子どもが主役だけど、実は大人向け
言わずもがなスタジオジブリの代表作。 フランスのカンヌ映画祭や アメリカのアカデミー賞も
-
-
古いセンスがカッコイイぜ!!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
パッチワークのイノベーション。そのセンスが抜群の娯楽映画。 マーベルコミッ
-
-
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 野心を燃やすは破滅への道
今年2023年の春、自分は『機動戦士ガンダム』シリーズの『水星の魔女』にハマっていた。そんな
- PREV
- 日本人が巨大ロボットや怪獣が好きなワケ
- NEXT
- 『AKIRA』 ジャパニメーション黎明期