『崖の上のポニョ』 子ども目線は逆境を超える
日中二歳の息子の子守りをすることになった。
『風立ちぬ』もBlu-rayになることだし、
宮崎駿監督の前作『崖の上のポニョ』を
息子と観ようと思い、再生してみた。
さっきまで騒いでいた息子は、
一瞬にして作品に魅入っておりました。
微動だにしないくらいの集中。
とくに息子が注目していたのは、
ラーメンや蜂蜜入りミルクなど、
食べ物が登場する場面。
嬉しそうに観ておりました。
津波の映画なので3.11以降は
テレビにかけにくくなった作品だと思います。
子ども目線で描かれているので、
津波もファンタジーのギミック。
水の下の町も、救助活動をしている大人達ですら
夢のような出来事となります。
子どもはどんな逆境でも
ポジティブにとらえられる生命力があります。
本作は「子どもが初めて観る映画を作る」と
宮崎監督が言っていた作品。
宮崎監督は、子どもの感受性のまま
大人になったような方だと聞きます。
この感性は子どもウケするツボを
確実にキャッチしているのです。
しかしながら、宮崎アニメはどの作品も、
暗く重いテーマが内包しています。
どんなにかわいいキャラクターが登場しても、
どこか憂いていてセンチメンタルな作りです。
この『ポニョ』はその暗さがなく、
まったくのノーテンキな作品に仕上がっています。
もちろん作中にちりばめられた
無数のメタファーを解読していったらキリがないのですが……。
ここで理屈抜きの子ども映画を描いたからこそ、
次作の『風立ちぬ』で、大人向けの
暗い警笛を鳴らすような映画を作れたのかも知れません。
ポニョは五歳。
上の娘と同じ歳。
まだ娘が妻のお腹の中にいるとき、
映画館で『ポニョ』を観ました。
子ども達が大活躍するこの映画。
子どもの声にお腹の娘はポコポコ反応していました。
明らかにお腹の中で映画を楽しんでいる様子。
「ここからでてきたら、またいっしょにみようね」
お腹の娘に声をかけました。
その二ヶ月後に娘は生まれました。
五歳になった今もジブリ映画は大好きです。
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