*

『ミニオンズ』 子ども向けでもオシャレじゃなくちゃ

公開日: : 最終更新日:2021/03/10 アニメ, 映画:マ行, 音楽

もうすぐ4歳になろうとしているウチの息子は、どうやら笑いの神様が宿っているようだ。いつも常に人を笑わそうとしている。それも決して深入りすることなく、空気を読みながら絶妙なタイミングでおちゃらけてみせる。自分が子どもだからこそウケる方法もわきまえている。おばあちゃんのハートをつかむのはお手の物。しかも、絶対子どもになんか興味のなさそうな、スマホ歩きしてる通りがかりのお兄さんにまでアピって、ちゃんと失笑させてしまう。お笑いに対してのレーダーも鋭い。テレビのお笑い番組も、勢いばかりの芸風には興味を示さないが、コント番組のような綿密な計算の笑いには、一瞬で食いつく。社会風刺ネタとかで、意味がわかっていないだろうけど、ちゃんと作り手が笑わせようとしているポイントで笑っている。そんな息子がずっと観たがっていた『ミニオンズ』。彼の笑いのレーダーに、ビビッときたのだろう。

ミニオンは『怪盗グルー』の部下で、一体何者なのかわからない集団。黄色くてちっちゃくて、メガネ(ゴーグル)をかけている。いつもみんなではしゃいでわるふざけばかりしている。幼稚園児くらいの精神年齢なんだけど、どうやら不死身のようなので、悪ノリのスケールがでかい。まったくもってうらやましい能力! この映画『ミニオンズ』は、『怪盗グルー』シリーズの前日談。ミニオンたちがまだグルーに出会う前の話。

ミニオンは、大悪党に憧れているのだけれど、ボスがいないとモチベーションがあがらない。自分たちでリーダーを選出すればいいのに、誰かにくっついて動くことを好む。これって日本人がモデルなのかな? アニメをつくる制作者たちは、当然日本のアニメは観ているだろうし、この映画は日本の企業も協賛している。日本にこびるような描写も多々。ミニオンは独自のミニオン語を喋る。何言ってるかわからないのに、何やってるのかわかる楽しさ。カタコトの英語や日本語がまじってる。「ヤキトリ〜!」とか叫んだりしてる。

幕末の開国時代、日本へ来た外国人が、日本人はいつもダジャレばかり言ってふざけていて、なんてユーモア好きで人懐っこい国民なんだと思ったらしい。確かに幕末の志士みたいな、血の気の多い連中もいただろうが、今も昔も日本人はそんなにかわらず、身内でちちくり合うのが好きな、素朴な人たちばかりなのだろう。

映画は1960年代が舞台。ここぞとばかり、その時代のサブカルチャーを再現してる。ミニオンが泥棒しようとしたら、警備員に囲まれる。ミニオンの秘密兵器・催眠帽子で、警備員に催眠をかけてみんなで踊りだす! 『フルモンティ』のパロディ。パンツいっちょでみんなで踊るなんて、子どもたち、大好物。うちの子も、ミニオンズと一緒に踊ってた! 映画の前半はアメリカで、後半はイギリス。エリザベス女王が若いときって、あんな笑い方、ホントにしてたのかな? サントラには60代ロックがふんだんに使われている。ヒッピー文化もおさえつつ、ストーンズやらジミヘンやらドアーズや、やたらカッコいい。イギリスに移動したのは、ビートルズやUKロックもおさえるためか! この映画での60年代ロックの使われ方は、あくまでBGMとして雰囲気づくり。音楽ファンには、ちと物足りない使われ方かもしれないけど、この映画を観た子どもたちが、古いロックに耳が慣れていくなんて、かなりステキ‼︎

今回、ミニオンズには3人がメインに冒険する。セリフが監督自ら演じるミニオン語なのに、三者三様の個性がちゃんと出ている。自分はいちばんちっちゃいボブが気にいった。いつもテディベアだいじに持ってるの。映画を観たらみんなボブが好きになるらしく、どこへ行ってもボブのキャラクター商品がなくなってる!

子どもをターゲットに作っている映画だけど、普通にただの子ども向けだと、どうしてもダサくなっちゃう。それを避けるための工夫が随所に感じる。おバカなのにオシャレ。親子で楽しめるエンターテイメントになっている。もちろん大人だけで観ても楽しい。制作のイルミネーションスタジオは、ライバルスタジオのピクサーに負けないスタイルを築いた。ピクサーが内容勝負なら、こちらは小ネタのオンパレード。ストーリーなんて、あってないようなもの。その潔さが気持ちいい。

なんだかこの時代で続編作って欲しくなった。そのときはぜひとも少年グルーとミニオンズの冒険話にして欲しい! おじさんじゃない怪盗グルー。かわいいんだか、憎たらしいんだかわからない絶妙な雰囲気になるんじゃないかな? 妄想は膨らむばかり。

関連記事

『ブラック・レイン』 松田優作と内田裕也の世界

今日は松田優作さんの命日。 高校生の頃、映画『ブラックレイン』を観た。 大好きな『ブ

記事を読む

no image

戦争は嫌い。でも戦争ごっこは好き!! 『THE NEXT GENERATION パトレイバー』

  1980年代にマンガを始めOVA、 テレビシリーズ、劇場版と メディアミック

記事を読む

no image

『CASSHERN』本心はしくじってないっしょ

  先日、テレビ朝日の『しくじり先生』とい番組に紀里谷和明監督が出演していた。演題は

記事を読む

no image

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』ある意味これもゾンビ映画

『スターウォーズ』の実写初のスピンオフ作品『ローグ・ワン』。自分は『スターウォーズ』の大ファンだけど

記事を読む

『機動戦士Zガンダム劇場版』 ガンダム再ブームはここから?

以前バスで小学3~4年生の子どもたちが 大声で話していた内容が気になった。 どうせ今

記事を読む

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』映画監督がアイドルになるとき

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの監督ジェームズ・ガンが、内定していたシリーズ

記事を読む

『RAW 少女のめざめ』それは有害か無害か? 抑圧の行方

映画鑑賞中に失神者がでたと、煽るキャッチコピーのホラー映画『RAW』。なんだか怖いけど興味を

記事を読む

『思い出のマーニー』 好きと伝える誇らしさと因縁

ジブリ映画の最新作である『思い出のマーニー』。 自分の周りでは、女性の評判はあまり良くなく

記事を読む

『サマーウォーズ』 ひとりぼっちにならないこと

昨日15時頃、Facebookが一時的にダウンした。 なんでもハッカー集団によるものだった

記事を読む

『めぐり逢えたら』男脳女脳ってあるの?

1993年のアメリカ映画『めぐり逢えたら』。実は自分は今まで観たことがなかった。うちの奥さん

記事を読む

『ブラッシュアップライフ』 人生やり直すのめんどくさい

2025年1月から始まったバカリズムさん脚本のドラマ『ホットス

『枯れ葉』 無表情で生きていく

アキ・カウリスマキ監督の『枯れ葉』。この映画は日本公開されてだ

『エイリアン ロムルス』 続編というお祭り

自分はSFが大好き。『エイリアン』シリーズは、小学生のころから

『憐れみの3章』 考察しない勇気

お正月休みでまとまった時間ができたので、長尺の映画でも観てみよ

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』 あらかじめ出会わない人たち

毎年年末になるとSNSでは、今年のマイ・ベスト10映画を多くの

→もっと見る

PAGE TOP ↑