*

『ミニオンズ』子ども向けでもオシャレじゃなくちゃ

公開日: : アニメ, 映画:マ行, 音楽

minions_still_2_h_15

もうすぐ4歳になろうとしているウチの息子は、どうやら笑いの神様が宿っているようだ。いつも常に人を笑わそうとしている。それも決して深入りすることなく、空気を読みながら絶妙なタイミングでおちゃらけてみせる。自分が子どもだからこそウケる方法もわきまえている。おばあちゃんのハートをつかむのはお手の物。しかも、絶対子どもになんか興味のなさそうな、スマホ歩きしてる通りがかりのお兄さんにまでアピって、ちゃんと失笑させてしまう。お笑いに対してのレーダーも鋭い。テレビのお笑い番組も、勢いばかりの芸風には興味を示さないが、コント番組のような綿密な計算の笑いには、一瞬で食いつく。社会風刺ネタとかで、意味がわかっていないだろうけど、ちゃんと作り手が笑わせようとしているポイントで笑っている。そんな息子がずっと観たがっていた『ミニオンズ』。彼の笑いのレーダーに、ビビッときたのだろう。

ミニオンは『怪盗グルー』の部下で、一体何者なのかわからない集団。黄色くてちっちゃくて、メガネ(ゴーグル)をかけている。いつもみんなではしゃいでわるふざけばかりしている。幼稚園児くらいの精神年齢なんだけど、どうやら不死身のようなので、悪ノリのスケールがでかい。まったくもってうらやましい能力! この映画『ミニオンズ』は、『怪盗グルー』シリーズの前日談。ミニオンたちがまだグルーに出会う前の話。

ミニオンは、大悪党に憧れているのだけれど、ボスがいないとモチベーションがあがらない。自分たちでリーダーを選出すればいいのに、誰かにくっついて動くことを好む。これって日本人がモデルなのかな? アニメをつくる制作者たちは、当然日本のアニメは観ているだろうし、この映画は日本の企業も協賛している。日本にこびるような描写も多々。ミニオンは独自のミニオン語を喋る。何言ってるかわからないのに、何やってるのかわかる楽しさ。カタコトの英語や日本語がまじってる。「ヤキトリ〜!」とか叫んだりしてる。

幕末の開国時代、日本へ来た外国人が、日本人はいつもダジャレばかり言ってふざけていて、なんてユーモア好きで人懐っこい国民なんだと思ったらしい。確かに幕末の志士みたいな、血の気の多い連中もいただろうが、今も昔も日本人はそんなにかわらず、身内でちちくり合うのが好きな、素朴な人たちばかりなのだろう。

映画は1960年代が舞台。ここぞとばかり、その時代のサブカルチャーを再現してる。ミニオンが泥棒しようとしたら、警備員に囲まれる。ミニオンの秘密兵器・催眠帽子で、警備員に催眠をかけてみんなで踊りだす! 『フルモンティ』のパロディ。パンツいっちょでみんなで踊るなんて、子どもたち、大好物。うちの子も、ミニオンズと一緒に踊ってた! 映画の前半はアメリカで、後半はイギリス。エリザベス女王が若いときって、あんな笑い方、ホントにしてたのかな? サントラには60代ロックがふんだんに使われている。ヒッピー文化もおさえつつ、ストーンズやらジミヘンやらドアーズや、やたらカッコいい。イギリスに移動したのは、ビートルズやUKロックもおさえるためか! この映画での60年代ロックの使われ方は、あくまでBGMとして雰囲気づくり。音楽ファンには、ちと物足りない使われ方かもしれないけど、この映画を観た子どもたちが、古いロックに耳が慣れていくなんて、かなりステキ‼︎

今回、ミニオンズには3人がメインに冒険する。セリフが監督自ら演じるミニオン語なのに、三者三様の個性がちゃんと出ている。自分はいちばんちっちゃいボブが気にいった。いつもテディベアだいじに持ってるの。映画を観たらみんなボブが好きになるらしく、どこへ行ってもボブのキャラクター商品がなくなってる!

子どもをターゲットに作っている映画だけど、普通にただの子ども向けだと、どうしてもダサくなっちゃう。それを避けるための工夫が随所に感じる。おバカなのにオシャレ。親子で楽しめるエンターテイメントになっている。もちろん大人だけで観ても楽しい。制作のイルミネーションスタジオは、ライバルスタジオのピクサーに負けないスタイルを築いた。ピクサーが内容勝負なら、こちらは小ネタのオンパレード。ストーリーなんて、あってないようなもの。その潔さが気持ちいい。

なんだかこの時代で続編作って欲しくなった。そのときはぜひとも少年グルーとミニオンズの冒険話にして欲しい! おじさんじゃない怪盗グルー。かわいいんだか、憎たらしいんだかわからない絶妙な雰囲気になるんじゃないかな? 妄想は膨らむばかり。

関連記事

『幕が上がる』覚悟の先にある楽しさ

自分はアイドル文化や萌えとかよくわからない。だから『ももいろクローバーZ』の存在こそは知れど

記事を読む

『はじまりのうた』音楽は人生の潤滑油、勇気をくれる映画。

この『はじまりのうた』は、自分の周りでも評判が良く、とても気になっていた。当初は「どうせオシ

記事を読む

自分の人生に責任をもつこと その1

自分に言い聞かせるつもりで記します。 ネットに拡散された『宮崎駿に人生を壊された女』という

記事を読む

ヒーローは妻子持ちはNGなの?『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

今年は『機動戦士ガンダム』の35周年。 富野由悠季監督による新作 『ガンダム Gのレコン

記事を読む

『ベイマックス』を起爆剤に日本も!! その1

エンタメ産業はアメリカが世界一。 あまり知られていないが、日本は第二位。 この冬休み

記事を読む

『ウォレスとグルミット』欽ちゃんはいずこ?

この『ウォレスとグルミット』は、現在大ヒット中の映画『ひつじのショーン』のアードマン・アニメ

記事を読む

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』映画監督がアイドルになるとき

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの監督ジェームズ・ガンが、内定していたシリーズ次回

記事を読む

『汚れた血』カノジョをキレイに撮る。それだけで映画になる。

『あの人は今?』的存在になってしまったレオス・カラックス監督。2年前に新作『ホーリー・モータ

記事を読む

『精霊の守り人』メディアが混ざり合う未来

『NHK放送90年 大河ファンタジー』と冠がついたドラマ『精霊の守り人』。原作は上橋菜穂子氏

記事を読む

『レクイエム・フォー・ドリーム』めくるめく幻覚の世界

「シェシェシェのシェー」と叫びながら隣人女性に危害を加えて捕まった男がいましたね。危険ドラッ

記事を読む

『アベンジャーズ/エンドゲーム』ネタバレは国家を揺るがす

https://marvel.disney.co.jp/movie/

『ボヘミアン・ラプソディ』共感性と流行と

昨年はロックバンド・クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ

『ルパン三世 ルパンvs複製人間』カワイイものは好きですか?

先日『ルパン三世』の原作者であるモンキー・パンチさんが亡くなら

『未来を花束にして』勝ち得たものの代償

イギリス映画の『未来を花束にして』。100年前のロンドンを舞台

『ブリグズビー・ベア』隔離されたハッピーな夢

http://www.brigsbybear.jp/[/captio

→もっと見る

PAGE TOP ↑