*

『マイレージ、マイライフ』失業、それもまた人生のチャンス。

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 映画:マ行

 

イケア・ジャパンが従業員全員を
正社員化することを発表した。

非正規社員の立場の悪さは社会問題として
多くとりあげられている。
しかしながら正社員雇用が夢の立場とも
あながち言えない。

果たして正社員で働くばかりが人生かと
誰もが問い始めているいまの世の中に対抗する
社運をかけた大いなる試みでしょう。

スターバックスも全員正社員化に取り組んでいる。
社員のモチベーションもあがるので、
当然サービスも向上されるでしょう。

今後上記の会社にどんな効果がでてくるのか
動向に期待します。

かつては正社員として大手に入社すれば
安泰神話があったが、いまはそんなこともない。
正社員になってもこの不景気、
いつ会社が潰れるかわからないし、
リストラでいつ職をなくすかも見当もつかない。

収入源を一カ所にするなとは、
最近よく言われている言葉だ。

この映画の主人公は大手企業の解雇宣告人。
リストラ対象者に、解雇の旨を伝える専門家。
世界中を旅して、方々でリストラを宣告する仕事。

そんな仕事があったのかとびっくり。

こんな仕事をしている主人公だから、
私生活でも人間関係はものすごくドライ。
楽な距離で付き合い、深入りしない。

人に深入りしないということは、
自分の人生にも誰も深く関わって来ないことです。

主人公は自分の孤独に徐々に気づいていきます。

本作の監督はジェイソン・ライトマン。
『ゴーストバスターズ』のアイバン・ライトマンの息子。
自分とも同年代。

父親の作風は娯楽中心だったにも関わらず、
息子のジェイソンは社会問題を多く扱う。
しかも世間で嫌われる立場や仕事を持った人物を
主人公に配置する。挑戦的だ。

社会派なテーマにも関わらず、演出はオシャレで、
ビジュアル的に魅入ってしまう。

本作も親しい友人がリストラで
落ち込んでいる姿を見て、
励ます意味も含めて浮かんだアイディアらしい。

リストラというとネガティブなイメージだし、
毎日働いていた会社から「あなたはいらない」と
言われるのは心に傷をつくる。

しかしながら視点を変えれば、
新しい人生のスタート。
むしろないがしろにしていた
自分の人生と向き合うチャンスでもある。

逆境をチャンスと捉える心の余裕があったなら、
人生は開けて行くのは確実。

一度きりの短い人生。
仕事の意味合いは一体なんなんか、
じっくり考えてみるのもいいのかもしれない。

泥臭くならず、この映画みたいにオシャレにね。

関連記事

『めがね』 デジタルデトックスのススメ

荻上直子監督の前作『かもめ食堂』のヒットを受け継いで、ほとんどキャストも同じのこの映画『めが

記事を読む

『もののけ姫』女性が創る社会、マッドマックスとアシタカの選択

先日、『マッドマックス/怒りのデスロード』が、地上波テレビ放送された。地上波放送用に、絶妙な

記事を読む

no image

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』物語みたいに割り切れないこと

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の評判は、劇場公開時からよく耳にしていた。ただ、どの感想を聞い

記事を読む

『名探偵ピカチュウ』日本サブカル、これからどうなる?

日本のメディアミックス作品『ポケットモンスター』を原作に、ハリウッドで製作された実写映画『名

記事を読む

no image

『マザー!』観客はそれほど高尚ではない?

ダーレン・アロノフスキー監督の『マザー!』が日本での劇場公開が中止になったのは、当時ちょっとした騒ぎ

記事を読む

『まだ結婚できない男』おひとりさまエンジョイライフ!

今期のテレビドラマは、10年以上前の作品の続編が多い。この『結婚できない男』や『時効警察』な

記事を読む

『万引き家族』親がなければ子は育たず

カンヌ国際映画祭でグランプリにあたるパルムドールを受賞した『万引き家族』。是枝裕和監督の作品

記事を読む

『マイマイ新子と千年の魔法』 真のインテリジェンスとは?

近年のお気に入り映画に『この世界の片隅に』はどうしも外せない。自分は最近の日本の作品はかなり

記事を読む

マッドネエチャン・ミーツ『マッドマックス/怒りのデス・ロード』

大事なのは理屈じゃない、勢いなんだよ!! この映画『マッドマックス/怒りのデス・ロード』はそ

記事を読む

『ミッドサマー』 共感する力を手に入れろ!

映画ファンの中で話題になった、アリ・アスター監督の『ミッドサマー』。この映画の日本公開は20

記事を読む

『PERFECT DAYS』 俗世は捨てたはずなのに

ドイツの監督ヴィム・ヴェンダースが日本で撮った『PERFECT

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー volume 3』 創造キャラクターの人権は?

ハリウッド映画のスーパーヒーロー疲れが語られ始めて久しい。マー

『ショーイング・アップ』 誰もが考えて生きている

アメリカ映画の「インディーズ映画の至宝」と言われているケリー・

『ゴールデンカムイ』 集え、奇人たちの宴ッ‼︎

『ゴールデンカムイ』の記事を書く前に大きな問題があった。作中で

『フェイブルマンズ』 映画は人生を狂わすか?

スティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的映画『フェイブルマンズ』

→もっと見る

PAGE TOP ↑