ベン・ステラー監督主演のコメディ映画『トロピック・サンダー』を観たら、無性に『ナイトミュージアム』が観たくなってしまった。『ナイトミュージアム』の予告編で、ベン・ステラーの驚く芝居が面白すぎて、ずっと気になっていた。

この映画が日本で公開された頃は、ちょうど自分も結婚やら第一子の誕生やらで、ゆっくり映画なんて観られる状況ではなかった。それにそんな映画が観れない時期に、『ナイトミュージアム』のような、ファミリー向け映画をわざわざ観るとも思えない。親となった今だからこそ、子どもたちと一緒に観られる作品だ。

当初は、ただ博物館の展示物が、夜な夜な動き出すだけの、CGアトラクション映画なんでしょ?って侮っていた。映画を観てみると意外や意外、知的なテーマを忍ばせた、楽しいファンタジーコメディだった。

確かに博物館の展示物って怖い。こんなところの夜警なんて、不気味すぎてイヤだな〜とは常々思っていた。だから展示物が人の目を盗んで動き出すなんて、子どもの想像力をくすぐって当然。でもそれだけじゃあ、映画としてはものたりない。『ナイトミュージアム』を観ると博物館の楽しみ方や、面白みが具体的に紹介されていく。映画鑑賞後には、博物館に行ってみたくなる。

博物館は体験型学習だ。歴史ある展示物や、それを模したオブジェが並んでいる。観覧者は必ずしも展示物に造詣があるわけではない。初めて出会うものばかりというのが正直なところ。

いろんなものを実際に目にして、感動したりショックを受けたりする。その体験はとても貴重。そしてその衝撃を受けたものの正体が一体何だったのだろうと考えてみる。考えても分からないから調べてみる。その時代や文化を想像してみること。それが学習となる。

夜な夜な博物館で大騒ぎする展示物たち。やっと掴んだ夜警の仕事を何とかしたいベン・ステラー扮する主人公ラリーは、展示物たちのことを調べ始める。おじさんが必死で勉強する姿は、観客の子どもたちには刺激になるはず。幾つになろうが、勉強することってカッコいいんだって。

大人になったら勉強しなくていいなんてことはない。むしろ人生死ぬまで勉強だ。学ぶことを楽しめなければ、人生は開拓できない。

ラリーは展示物たちについて詳しくなる。そうなると彼らが騒ぐ理由が理解できたりする。騒いでた展示物たちも、理解者が現れたことでびっくりするほどおとなしくなる。力でねじ伏せたりするのではなく、学んで理解することの方が、手早く社会をまとめることができる。

『ナイトミュージアム』は、映画に魔法がかかっているかのように楽しい。夢のような映画だ。観客にとって魔法のように感じることは、作り手からすると、工夫に工夫を重ねた技術の結集の成功だ。

『ナイトミュージアム』がこのあとシリーズ化されていくのも頷ける。でもやはり第1作目でやり尽くした感がある。これでもかとメッセージが込められている。闇雲に数を重ねると、ただ展示物が動くだけの軽いアトラクションムービーの道を歩んでいってしまうだろう。シリーズ化したからこそ、タイトルが有名になるのだけれど、オリジナルを超えるのはなかなか高いハードルだ。

なんと脇役に『アントマン』のポール・ラッドが出ていたり、昨年大ヒットした『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリー役をやったラミ・マレックが何気に出演していたりする。

このゴールデンウィークの映画の旅は『ボヘミアン・ラプソディー』から見初めて、『アベンジャーズ/エンドゲーム』を映画館で観た。その余韻でロバート・ダウニーjrが観たくなり、『トロピック・サンダー』を観た。そして監督主演のベン・ステラーに興味が湧いて『ナイトミュージアム』に至った。そしたら『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレックの登場で、すっかりこの映画の旅がひとつに繋がってしまった。もうお腹いっぱいだ。

『ナイトミュージアム』は、これからも子どもたちと何度も観ていきたい映画だ。ドタバタコメディの装いをまといながら、日常での勉強の大切さを伝えている。映画のラリーのように、一見ダメ男が学問に目覚めていくというところに最大のカタルシスがある。ダメ男でも何とかなる。この映画を観て、勉強は敷居の高いものではなく楽しいものだ。役に立つものだ。そんなことを子どもたちにも感じて欲しい。