*

『なつぞら』自分の人生とは関係ないドラマのはずだったのに……

公開日: : 最終更新日:2020/03/13 アニメ, ドラマ, 映画:ナ行

「アニメーターってなによ?」7歳になる息子が、NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』の番宣でのセリフ「あたし、アニメーターになりたい!」というものへの質問。「イヤだな〜、おじいちゃんのお仕事じゃない?」と教えたら、意外な顔をされてしまった。あれ? アニメのお仕事、ご存知ない?

アニメは誰かが一枚一枚絵を描いて、それを動いているように見せるもの。脚本やら製作準備は、普通の映画となんら変わらないが、映像が作られていくのは、スタジオやロケ現場ではなく、小さな机の上。

もともとアメリカのディズニーの影響で始まった日本のアニメ産業。忍耐強くコツコツと没頭することや、絵が動くという幼稚趣味が、日本人のフィーリングにピッタリきたのだろう。

現在日本のアニメといえば、メインターゲットは10代20代に絞られる。世界のアニメとは異なり、今の日本アニメは、我々中年世代には観るのに勇気が必要。隠れて観なければならないちょっと恥ずかしいジャンルだ。若い世代が、なんら違和感なくすんなり日本のアニメを観ている姿に、ジェネレーションギャップを感じてしまう。

そんな万人向けではない日本のアニメだが、世界に視野を広げれば、同じような趣味嗜好の人間は大勢いるものだ。ジャンルの細分化。世界中で行われているアニメフェスティバルが盛況の姿は嘘ではない。塵も積もればなんとやら。偏ったファン層でも、世界中に散らばったアニメファンが総動員されれば、ものすごい人数となる。

最近になってようやく報道されるようになった、アニメ製作現場のブラック事情もいまだ解決のメドは立っていない。低賃金で、ものすごい時間と労力を必要とされるこの仕事の現実は華やかさからは程遠い。

日本の芸能界は、入り込むのは比較的広き門だが、それを継続していくのは大変。お金を稼ぐというよりは、時間とお金、労力を捧げるといったところも否めない。ましてドラマ『なつぞら』の舞台となる戦後間もない時代では、男女雇用機会均等法がなかった。働く女性がいい思いをしたとは到底思えない。

広瀬すずさん演じる主人公・なつのモデルとなった奥山玲子さんも、仕事では相当苦労したらしい。当初はアニメーターとして働いていたが、仕事の悪環境をきっかけに、組合運動に参加して、活動家のようになっていったらしい。

たぶんドラマは、そんなダークなものは描かないだろう。日本のアニメは、世界に需要はあれど、なかなか伸び悩んでしまった斜陽の産業。告発モノではないので、テンションの下がる展開にはしないだろう。でも若者に誤解を招く夢を抱かせてしまったら罪作りだよな〜。

『なつぞら』放送開始第一話早々、我が家はぶっ飛んだ。それはアニメ業界云々が理由ではなかった。

毎回朝ドラの初回二週目くらいまでは、主人公の幼少期が描かれるのは周知のこと。そこにうちの子の友だちが出演してるじゃないか! しかもかなり重要な役。

『なつぞら』初回放送日は4月1日。この日は新しい元号の発表日でもあった。でもそれを遥かに凌ぐ驚異の大事件。

なんでも今回の朝ドラは、100作目記念作らしい。自分もものごころつく前から、毎朝テレビでは朝ドラはついていた。

大抵主人公は、二十歳前後の女優さんが演じてる。小さな頃の自分にとっては、お姉さんの主人公の人生を見せられる。やがて同年代に自分の年齢が追いつく。そして妹のような年齢差になり、いつしか主人公の親世代になってしまった。朝ドラは、比較的若い役者さんが主人公の親役になる。自分と同年代の役者さんが、親になってる姿はショックだった。しかし、とうとう自分の子どもと同級生が子役になってしまうなんて!

誰かが何かに出演したとか、製作に携わったなんて話はよく聞く。でも大抵は成人した人の活動だ。ついに自分の子ども世代が活躍し始めた。バトンタッチがいきなりやってきた。

そのせいもあってか『なつぞら』は、幼少期編がいちばん盛り上がった。主人公なつは美人で活発な人。演じる広瀬すずさんの魅力もあってか、こんな人を周りがほっとくわけがない。普通に考えて、どんどん表舞台に駆り出されていくだろう。野山を馬に乗って走り回り、自然とともに生きる人。

果たしてそんな活発な人が、一日中机にかじりついているアニメーターになりたがるだろうか? 違和感は否めない。

この『なつぞら』はフィクションだが、モデルになった人物や事件は存在する。身内のかつての同僚や先輩がモデルのドラマ。このドラマの元となった現実の過去に身内がいたという不思議。

自分は一視聴者で、『なつぞら』のドラマとはまったく関係のない人生を送っている。でも、ここまで自分の身の回りの人たちが、直接的間接的にと関わりのあるドラマも珍しい。とても不思議だ。生きていると、いろいろ変わったことが起こるものだ。

果たして世界は近いのか遠いのか?

関連記事

no image

『虹色のトロツキー』男社会だと戦が始まる

  アニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGINE』を観た後、作者安彦良和氏の作品

記事を読む

no image

『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』映画監督がロボットになる日

やっとこさ子ども達と今年の映画『ドラえもん』を観た。毎年春になると、映画の『ドラえもん』が公開される

記事を読む

no image

『メアリと魔女の花』制御できない力なんていらない

スタジオジブリのスタッフが独立して立ち上げたスタジオポノックの第一弾作品『メアリと魔女の花』。先に鑑

記事を読む

no image

うつ発生装置『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』

  90年代のテレビシリーズから 最近の『新劇場版』まで根強い人気が続く 『エヴ

記事を読む

no image

日本企業がハリウッドに参入!?『怪盗グルーのミニオン危機一発』

  『怪盗グルー』シリーズは子ども向けでありながら大人も充分に楽しめるアニメ映画。ア

記事を読む

no image

『リアリティのダンス』ホドロフスキーとトラウマ

アレハンドロ・ホドロフスキーの23年ぶりの新作『リアリティのダンス』。ホドロフスキーと言えば、70年

記事を読む

no image

『スノーマン』ファンタジーは死の匂いと共に

4歳になる息子が観たいと選んだのが、レイモンド・ブリッグスの絵本が原作の短編アニメーション『スノーマ

記事を読む

no image

女子が怒りだす草食系男子映画『イノセンス』

  押井守監督のアニメーション映画。 今も尚シリーズが続く『攻殻機動隊』の 続編

記事を読む

no image

ブライト・ノアにみる大人のあり方『機動戦士ガンダム』

  『機動戦士ガンダム』は派生作品があまりに多過ぎて、 TSUTAYAでは1コーナ

記事を読む

no image

『赤毛のアン』アーティストの弊害

  アニメ監督の高畑勲監督が先日亡くなられた。紹介されるフィルモグラフィは、スタジオ

記事を読む

『名探偵ピカチュウ』日本サブカル、これからどうなる?

日本のメディアミックス作品『ポケットモンスター』を原作に、ハリ

『グッド・ドクター』明るい未来は、多様性を受け入れること

コロナ禍において、あらゆる産業がストップした。エンターテイメン

『アナと雪の女王2』百聞は一見にしかずの旅

コロナ禍で映画館は閉鎖され、映画ファンはストレスを抱えているこ

『斉木楠雄のΨ難』生きづらさと早口と

ネット広告でやたらと『斉木楠雄のΨ難』というアニメを推してくる

『コンテイジョン』映画は世界を救えるか?

知らないうちに引退宣言をしていて、いつの間に再び監督業に復帰し

→もっと見る

PAGE TOP ↑