*

『ローレライ』今なら右傾エンタメかな?

公開日: : 最終更新日:2019/06/13 アニメ, 映画:ラ行,

 

今年の夏『進撃の巨人』の実写版のメガホンもとっている特撮畑出身の樋口真嗣監督の長編デビュー作品『ローレライ』。福井晴敏氏の原作『終戦のローレライ』の映像化。舞台は第二次世界大戦末期、広島に原爆が落とされ、劇中では長崎の日もむかえ、第三の原爆投下を阻止する任務に就いた潜水艦の話。もちろんフィクション。ただ舞台は現実にあった戦争だし、主人公の青年は海の特攻隊・回天の隊員。映画は2005年公開だが、もし2015年の今の公開だったら、戦争を美化していると右傾エンタメ扱いになるだろう。

物語はリアリティよりも、歴史物の体裁をしながら、有名アニメ作品のアイディアのパッチワークと言ったところ。樋口真嗣監督が特撮やアニメ出身の人というのもあるが、サンライズアニメ『装甲騎兵ボトムズ』や『機動戦士Zガンダム』にでてくる強化人間の少女がでてきたり、乗組員達が自己犠牲でバタバタ死んでいく姿、はたまた潜水艦ものは名作ぞろいなので様々な作品のパロディというかオマージュというかパクリのオンパレード。映画ファンならニヤニヤしっぱなし。

ただ2005年のこの頃、戦争を題材にした映画というのは、偏った思想のものでなければそこそこヒットした。観客が戦争について好奇心があった現れだと思う。でこの『ローレライ』も、役所広司さんはじめ豪華キャストなので、まじめな戦争映画と勘違いして来てしまったお客さんが多かったと思う。蓋を開けてみて「なんじゃこりゃ?」ってなった観客も多かっただろうに。自分はもうコスプレ的にきゃあきゃあ笑いながら観ていた。

実際に合った戦争を舞台に面白おかしく描いた作品を笑いながら観れたのはとても幸せなことだと思う。これは平和で豊かな世の中が前提で成り立つこと。さていま日本の作品で、戦争を扱った映画を観たいかといったら即答で「NO」。なんだかプロパガンダの臭いを感じずにはいられない。せいぜい10年前では気にならなかったことが、今の世ではうさんくささがしてしょうがない。

これは自分が色眼鏡でものを判断するようになってしまったからなのか? それとも日本の世の中が変わってしまったのか? よくわからないところだ。

関連記事

『平家物語(アニメ)』 世間は硬派を求めてる

テレビアニメ『平家物語』の放送が終わった。昨年の秋にFOD独占で先行公開されていたアニメシリ

記事を読む

『龍の歯医者』 坂の上のエヴァ

コロナ禍緊急事態宣言中、ゴールデンウィーク中の昼間、NHK総合でアニメ『龍の歯医者』が放送さ

記事を読む

no image

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』妄想を現実にする夢

  映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』は、女性向け官能映画として話題になった

記事を読む

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 自分のことだけ考えてちゃダメですね

※このブログはネタバレを含みます。 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの四作目で完結

記事を読む

『逃げるは恥だが役に立つ』 シアワセはめんどくさい?

「恋愛なんてめんどくさい」とは、最近よく聞く言葉。 日本は少子化が進むだけでなく、生涯

記事を読む

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』 野心を燃やすは破滅への道

今年2023年の春、自分は『機動戦士ガンダム』シリーズの『水星の魔女』にハマっていた。そんな

記事を読む

『夜明けのすべて』 嫌な奴の理由

三宅唱監督の『夜明けのすべて』が、自分のSNSのTLでよく話題に上がる。公開時はもちろんだが

記事を読む

no image

『ジャングル大帝』受け継がれる精神 〜冨田勲さんを偲んで

  作曲家の冨田勲さんが亡くなられた。今年は音楽関係の大御所が立て続けに亡くなってい

記事を読む

『ひとりでしにたい』 面倒なことに蓋をしない

カレー沢薫さん原作のマンガ『ひとりでしにたい』は、ネットでよく読んでいた。そもそもカレー沢薫

記事を読む

『サタンタンゴ』 観客もそそのかす商業芸術の実験

今年2025年のノーベル文化賞をクラスナホルカイ・ラースローが獲得した。クラスナホルカイ・ラ

記事を読む

『ナミビアの砂漠』 生きづらさ観察記

日曜日の朝にフジテレビで放送している番組『ボクらの時代』に俳優

『サタンタンゴ』 観客もそそのかす商業芸術の実験

今年2025年のノーベル文化賞をクラスナホルカイ・ラースローが

『教皇選挙』 わけがわからなくなってわかるもの

映画『教皇選挙』が日本でもヒットしていると、この映画が公開時に

『たかが世界の終わり』 さらに新しい恐るべき子ども

グザヴィエ・ドラン監督の名前は、よくクリエーターの中で名前が出

『動くな、死ね、甦れ!』 過去の自分と旅をする

ずっと知り合いから勧められていたロシア映画『動くな、死ね、甦れ

→もっと見る

PAGE TOP ↑