*

映画『誰も知らない』とネグレクト

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 映画:タ行

 

父親のネグレクト(育児放棄)で
5歳男児が餓死したという事件。
嫌なニュースです。考えちゃいます。

5歳というとウチの娘と同じ歳。
電気の止められた真っ暗な部屋で、
一人でお腹を空かせて死んでいくという
想像しただけでも恐ろしい。

自分も父親として思う事は、
ネグレクトや虐待は、
そんな特別な事ではないということ。
何かのはずみで簡単に転がってしまう。

だから一概に親ばかりを
責められない気がしてしまう。
明日は我が身。

問題なのは、相談できるところが
みつけられなかったということ。

加害者である父親は、自分の親にも頼れず、
行政に相談するのも怖かったらしいです。

とかく現代は育児がしにくい世の中。
ネットやマスコミはこぞって
加害者の父親を責めますが、
問題はそんな安易なことではないと思う。

父親も幼いときに虐待を受け、
心の病を抱えているようにしか思えない。
それをケアできない世の中に問題があるのでは?

世の中が体制的になっていると、
マイノリティや弱者を攻撃するところがあります。
ここぞとばかりに大勢で一人をいじめ殺すのは、
日本人のもっとも残酷な短所です。

心の問題を洞察していく想像力の欠如。

コンビニで「レシートはいらないです」
くらいのコミュニケーションも
面倒くさがる人が多い世の中なので、
他人を思いやる心など、生まれるはずもないですね。

心の闇に向き合わなければ、
これからもこんな事件は増えていくでしょう。

ふと、是枝裕和監督の『誰も知らない』を思い出す。
親に育児放棄された子どもたちの生活を描いて、
カンヌで当時子役だった柳楽優弥が最年少受賞した作品。

残された子ども達が、
生命力いっぱいに描かれていました。
この映画も実際に起こった事件がモチーフです。

映画ではYOU演じるネグレクトの母親を
悪役としては描いていない。
子どもたちにとっては「大好きなママ」。

子どもは親を無条件で慕ってきます。
親の方がそれにきちんと向き合えるかが
最大のポイントですね。

関連記事

no image

『TOMORROW 明日』忘れがちな長崎のこと

  本日8月9日は長崎の原爆の日。 とかく原爆といえば広島ばかりが とりざた

記事を読む

no image

『トイ・ストーリー・オブ・テラー』続々発表の新作短編、実は大人向け?

  BSのDlifeで『トイストーリー』の 新作短編が放送された。 なんでも本邦

記事を読む

no image

『チャーリーとチョコレート工場』歪んだ愛情とその傷

  映画が公開されてから時間が経って、その時の宣伝や熱狂が冷めたあと、あらためてその

記事を読む

no image

百年の恋も冷めた。映画版『超時空要塞マクロス』

  1980年代、自分が10代はじめの頃流行った 『超時空要塞マクロス』が ハリ

記事を読む

no image

『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 』 若手女流監督が人生の機微で原作を補完

  言わずもがな子ども達に人気の『ドラえもん』映画作品。 『ドラえもん 新・のび太

記事を読む

no image

『トゥモロー・ワールド』少子化未来の黙示録

  人類に子どもが一切生まれなくなった 近未来を描くSF作。 内線、テロ、人

記事を読む

no image

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は諸刃の刃

  ジェイムズ・キャメロン監督が放った愛すべきキャラクター『ターミネーター』。何度も

記事を読む

no image

『デッドプール2』おバカな振りした反骨精神

映画の続編は大抵つまらなくなってしまうもの。ヒット作でまた儲けたい企業の商魂が先に立つ。同じキャラク

記事を読む

no image

『ツレがうつになりまして。』鬱を身近に認知させた作品

  鬱病を特別な人がなる病気ではなく、 誰をもいつなりうるか分からな事を 世間に

記事を読む

no image

『ダイ・ハード』作品の格をあげちゃうアラン・リックマン

  去る1月14日に俳優のアラン・リックマンが亡くなった。今年に入って早々、訃報ばか

記事を読む

no image
『スター・ウォーズ/スカイ・ウォーカーの夜明け』映画の終焉と未来

『スターウォーズ』が終わってしまった! シリーズ第1作が公開され

no image
『スカーレット』慣例をくつがえす慣例

NHK朝の連続テレビ小説『スカーレット』がめちゃくちゃおもしろい!

no image
『スター・ウォーズ・アイデンティティーズ』パートナーがいることの失敗

寺田倉庫で開催されている『スターウォーズ・アイデンティティーズ・ザ・エ

no image
『レディ・バード』先生だって不器用なひとりの人間

アメリカの独立系制作会社A24の『レディ・バード』。近年、評判のいいイ

no image
『365日のシンプルライフ』幸せな人生を送るための「モノ」

Eテレの『ドキュランドへようこそ』番組枠で、『365日のシンプルライフ

→もっと見る

PAGE TOP ↑