*

『誰も知らない』とネグレクト

公開日: : 最終更新日:2021/04/29 映画:タ行

父親のネグレクト(育児放棄)で
5歳男児が餓死したという事件。
嫌なニュースです。考えちゃいます。

5歳というとウチの娘と同じ歳。
電気の止められた真っ暗な部屋で、
一人でお腹を空かせて死んでいくという
想像しただけでも恐ろしい。

自分も父親として思う事は、
ネグレクトや虐待は、
そんな特別な事ではないということ。
何かのはずみで簡単に転がってしまう。

だから一概に親ばかりを
責められない気がしてしまう。
明日は我が身。

問題なのは、相談できるところが
みつけられなかったということ。

加害者である父親は、自分の親にも頼れず、
行政に相談するのも怖かったらしいです。

とかく現代は育児がしにくい世の中。
ネットやマスコミはこぞって
加害者の父親を責めますが、
問題はそんな安易なことではないと思う。

父親も幼いときに虐待を受け、
心の病を抱えているようにしか思えない。
それをケアできない世の中に問題があるのでは?

世の中が体制的になっていると、
マイノリティや弱者を攻撃するところがあります。
ここぞとばかりに大勢で一人をいじめ殺すのは、
日本人のもっとも残酷な短所です。

心の問題を洞察していく想像力の欠如。

コンビニで「レシートはいらないです」
くらいのコミュニケーションも
面倒くさがる人が多い世の中なので、
他人を思いやる心など、生まれるはずもないですね。

心の闇に向き合わなければ、
これからもこんな事件は増えていくでしょう。

ふと、是枝裕和監督の『誰も知らない』を思い出す。
親に育児放棄された子どもたちの生活を描いて、
カンヌで当時子役だった柳楽優弥が最年少受賞した作品。

残された子ども達が、
生命力いっぱいに描かれていました。
この映画も実際に起こった事件がモチーフです。

映画ではYOU演じるネグレクトの母親を
悪役としては描いていない。
子どもたちにとっては「大好きなママ」。

子どもは親を無条件で慕ってきます。
親の方がそれにきちんと向き合えるかが
最大のポイントですね。

関連記事

『沈黙 -サイレンス-』 閉じている世界にて

「♪ひとつ山越しゃホンダラホダラダホ〜イホイ」とは、クレイジー・キャッツの『ホンダラ行進曲』

記事を読む

no image

『東京ゴッドファーザーズ』地味な題材のウェルメイドアニメ

  クリスマスも近いので、 ちなんだ映画をセレクト。 なんでもこの『東京ゴッ

記事を読む

『tick, tick… BOOM! 』 焦ってする仕事の出来栄えは?

毎年2月になると、アメリカのアカデミー賞の話が気になる。エンターテイメント大国のアメリカでは

記事を読む

no image

『鉄コン筋クリート』ヤンキーマインド+バンドデシネ

アニメ映画『鉄コン筋クリート』が公開されて今年が10周年だそうです。いろいろ記念イベントやら関連書籍

記事を読む

no image

『トロールズ』これって文化的鎖国の始まり?

  配信チャンネルの目玉コーナーから、うちの子どもたちが『トロールズ』を選んできた。

記事を読む

『トニー滝谷』 坂本龍一の即興演奏が光る

先日、自身のがんを公表し、 演奏活動はしばらく休止すると 発表した坂本龍一氏。 反

記事を読む

『タナカヒロシのすべて』 鳥肌実のアヤシい存在感とまっとうな人生観

昨日は8月15日。終戦記念日。 この日で自分がすぐ イメージするのは靖国神社。

記事を読む

『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 』  若手女流監督で人生の機微が!

言わずもがな子ども達に人気の『ドラえもん』映画作品。 『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団

記事を読む

『TAR ター』 天才やらかしあるある

賛否両論話題となっている映画『ター』。世界的な最高の地位を得た天才指揮者リディア・ターの目を

記事を読む

『ツイン・ピークス』 あの現象はなんだったの?

アメリカのテレビドラマ『ツイン・ピークス』が 25年ぶりに続編がつくられるそうです。

記事を読む

『Ryuichi Sakamoto | Opus』 グリーフケア終章と芸術表現新章

坂本龍一さんが亡くなって、1年が過ぎた。自分は小学生の頃、YM

『SAND LAND』 自分がやりたいことと世が求めるもの

漫画家の鳥山明さんが亡くなった。この数年、自分が子どものころに

『ハイキュー‼︎』 勝ち負けよりも大事なこと

アニメ『ハイキュー‼︎』の存在を初めて意識したのは、くら寿司で

『オッペンハイマー』 自己憐憫が世界を壊す

クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を、日本公開

『哀れなるものたち』 やってみてわかること、やらないでもいいこと

ヨルゴス・ランティモス監督の最新作『哀れなるものたち』が日本で

→もっと見る

PAGE TOP ↑