*

『乾き。』ヌルい日本のサブカル界にカウンターパンチ!!

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 映画:カ行,

 

賛否両論で話題になってる本作。
自分は迷わず「賛」に一票!!

最近の『ドラえもん』はジャイアンやスネ夫が
のび太をあまりいじめなくなった。
けれど作者の藤子F不二雄氏は、
このいじめの描写の中から、
どうくぐりぬけていくかの教訓も込めていたと思います。

物語上で主人公に何らかの葛藤が強いられただけで
「みたくない」「きらい」とネットの感想は氾濫する。

葛藤を乗り越えていく主人公の姿で、
観客は勇気を貰うはずなのに、
その前に観客側から弱音がでる。

観客が望まないので、「何も事件が起こらない作品」が
日々作られて、なぜかそれが人気があったりする。

そんな世の中の作風にまっこうから逆行した本作。

ここまでやるかとバイオレンス描写。
メンヘラな人しかでてこない狂気の世界。

時系列がバラバラなのも、狂人の頭の中をみせられている感覚。
終止酔っぱらっている感じ。ハイテンション。

中島哲也監督は、あらゆるサブカル的テクニックを駆使して
おもしろおかしいエンターテイメントに仕上げている。

このサイコパスで殺伐とした世界観。
ファンタジー感覚で描いてはいるものの、
人生の裏道にちょっと迷い込めば、
すぐ仲間入りできちゃうくらい、実は身近な世界。

エンタメポップカルチャーの王道をいきながら、
人生を踏み外した人々を徹底的に真っ正面から掘り下げる。
実はかなり道徳的で教訓的。

イヤなものをみせつづけられる観客は、観賞後どう思うか?
観客それぞれに受け止め方をゆだねている。

メチャクチャにみえて、
「実は作り手はものすごく真摯なのでは?」
と感じさせる、そんな作品。

関連記事

no image

『SING』万人に響く魂(ソウル)!

「あー楽しかった!」 イルミネーション・エンターテイメントの新作『SING』鑑賞後、ウチの子たちが

記事を読む

『マグノリアの花たち』芝居カボチャとかしましく

年末テレビの健康番組で、糖尿病の特集をしていた。糖尿病といえば、糖分の摂取を制限される病気だ

記事を読む

『デッド・ドント・ダイ』 思えば遠くへ来たもんだ

エンターテイメント作品でネタに困った時、とりあえずゾンビものを作れば、それなりにヒットする。

記事を読む

no image

『ジュブナイル』インスパイア・フロム・ドラえもん

  『ALWAYS』シリーズや『永遠の0』の 山崎貴監督の処女作『ジュブナイル』。

記事を読む

『かぐや姫の物語』 この不気味さはなぜ?

なんとも不気味な気分で劇場を後にした映画。 日本人なら、昔話で誰もが知っている 『

記事を読む

『ケイコ 目を澄ませて』 死を意識してこそ生きていける

『ケイコ 目を澄ませて』はちょっとすごい映画だった。 最新作『夜明けのすべて』が話題に

記事を読む

『かもめ食堂』 クオリティ・オブ・ライフがファンタジーにならないために

2006年の日本映画で荻上直子監督作品『かもめ食堂』は、一時閉館する前の恵比寿ガーデンシネマ

記事を読む

『鬼滅の刃 無限列車編』 映画が日本を変えた。世界はどうみてる?

『鬼滅の刃』の存在を初めて知ったのは仕事先。同年代のお子さんがいる方から、いま子どもたちの間

記事を読む

no image

『ムヒカ大統領』と『ダライ・ラマ14世』に聞く、経済よりも大事なこと。

最近SNSで拡散されているウルグアイのホセ・ムヒカ大統領のリオで行われた『環境の未来を決める会議』で

記事を読む

no image

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』虐待がつくりだす歪んだ社会

ウチの子どもたちも大好きな『ハリー・ポッター』シリーズ。こわいこわいと言いながらも、「エクスペクト・

記事を読む

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』 普通に生きるという特殊能力

リチャード・カーティス監督の『アバウト・タイム』は、ときどき話

『ヒックとドラゴン(2025年)』 自分の居場所をつくる方法

アメリカのアニメスタジオ・ドリームワークス制作の『ヒックとドラ

『世にも怪奇な物語』 怪奇現象と幻覚

『世にも怪奇な物語』と聞くと、フジテレビで不定期に放送している

『大長編 タローマン 万博大爆発』 脳がバグる本気の厨二病悪夢

『タローマン』の映画を観に行ってしまった。そもそも『タローマン

『cocoon』 くだらなくてかわいくてきれいなもの

自分は電子音楽が好き。最近では牛尾憲輔さんの音楽をよく聴いてい

→もっと見る

PAGE TOP ↑