『3S政策』というパラノイア
『3S政策』という言葉をご存知でしょうか? これはネットなどから誕生した陰謀説で都市伝説のようなもの。とても信憑性がなく出所もはっきりとせず、パラノイアになった人が被害妄想で発した狂言とも言える、ちょっとトンデモナイ話。だからこの話は鵜呑みにせず、あくまで参考として欲しいです。
『3S』とはスクリーン(映画)、スポーツ、セックス(性産業)のこと。映画やエンタメ、スポーツや恋愛ドラマ、要するにメディアを通して人々を興奮させてぼーっと腑抜けにさせて、政治に目を向けさせまいという、ホントかいなという政策。実在は明らかではないので、本気で受け止めてしまうとビョーキと思われてしまうので要注意。でもそんな発想が出てくるのも、日本の偏ったオタク文化をみるとあながちズレた妄想とは言えない。
エンターテイメントとは、観客を興奮させて夢中にさせることで商売が成り立っている。だからあんまりエンタメの世界にどっぷりハマってしまうとオタク化して人生を踏み外してしまうのは周知のこと。文学や古典、音楽や芸術作品は人の心を豊かにする反面、商業作品の悪質なものは人間性をダメにしてしまう。いまや情報過多な現代社会、清濁一緒くた玉石混合。良いものも悪いものも似たような顔をして目の前に現れてくる。もうかんたんに分別がつかない。本当にエンターテイメントとの適切な距離感が必要な世の中となってきた。
エンタメ大国アメリカは移民でできた国なので人種も文化も宗教も様々。十人十色の価値観が交錯するため、エンタメでガス抜きをさせているというのはまことしやかなウワサ。たとえばスピルバーグやフランク・ダラボンなんかは共産主義的な作品が多かったりするのも意味があるのかも知れない。政治的危機感を国民が感じたときに、そのうっぷんばらしをするような作品が生まれやすい。そして社会のバランスを保っていく。
日本のメジャーマスメディアは、ほとんど一社独占のようなものだから、そういったコントロールはしやすい。ただ独占業界なので、多種多様な作品がでてくることはない。むしろ情報統一化をめざしているようにも思える。似たような作品がはびこるのは、流行もあるだろうし、自主規制もあるだろうし、守りにはいってしまっているのはたしか。
昨今はテレビ離れの世の中。不安材料が多い今の日本社会では、エンターテイメントを観るような精神的余裕がみんなになくなってしまったような気がする。今テレビで炎上やらワイワイ騒いでるのは、若者かニートぐらいなのではないだろうか? それよりも生活に密着した情報の方がみんな欲しい。病気のことやら年金のこと、原発やら集団自衛権やら、そっちの方が興味深い。仕事も拘束時間が長く、エンタメを欲している人は少くなった。そもそも日本人事態がエンタメに興味がないので、コントロールの余地がなくなりつつある。それが良いことなのか悪いことなのか?
最近では著名人や芸能人も政治的発言をするようになってきた。日本のメディアでは政治発言はある意味タブーだったから、これはとてもいい動き。新国立競技場の件や、集団的自衛権賛成の人も反対の人も、対立ではなく意見を交わし合うのはとてもいい。最近の不安な日本の風潮は、メディアでぼーっとしてた日本人をハッとさせる荒療治になったのかもしれない。
関連記事
-
-
『ゲゲゲの女房』本当に怖いマンガとは?
水木しげるさんの奥さんである武良布枝さんの自伝エッセイ『ゲゲゲの女房』。NHKの朝ドラでも有
-
-
『とと姉ちゃん』心豊かな暮らしを
NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』が面白い。なんでも視聴率も記録更新しているらしい。たしかにこ
-
-
『チェンソーマン』 サブカル永劫回帰で見えたもの
マンガ『チェンソーマン』は、映画好きにはグッとくる内容だとは以前から聞いていた。絵柄からして
-
-
『沈黙 -サイレンス-』 閉じている世界にて
「♪ひとつ山越しゃホンダラホダラダホ〜イホイ」とは、クレイジー・キャッツの『ホンダラ行進曲』
-
-
『まだ結婚できない男』おひとりさまエンジョイライフ!
今期のテレビドラマは、10年以上前の作品の続編が多い。この『結婚できない男』や『時効警察』な
-
-
『ディファイアンス』他力本願ならカタルシス
事実は小説よりも奇なり。 第二次大戦中のナチスドイツのユダヤ人迫害を描いた
-
-
『イニシェリン島の精霊』 人間関係の適切な距離感とは?
『イニシェリン島の精霊』という映画が、自分のSNSで話題になっていた。中年男性の友人同士、突
-
-
『NHKニッポン戦後サブカルチャー史』90年代以降から日本文化は鎖国ガラパゴス化しはじめた!!
NHKで放送していた 『ニッポン戦後サブカルチャー史』の書籍版。 テレビ
-
-
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』これからのハリウッド映画は?
マーベル・ユニバース映画の現時点での最新作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をやっと
-
-
『スーパーサラリーマン佐江内氏』世界よりも家庭を救え‼︎
日テレの連続ドラマ『スーパーサラリーマン佐江内氏』の番宣予告をはじめて観たとき、スーパーマン姿の堤真
- PREV
- 『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は諸刃の刃
- NEXT
- 『バケモノの子』 意味は自分でみつけろ!