*

『ごめんね青春!』クドカンもああみえて天才なのよね

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 ドラマ

 

話題の新ドラマ『ごめんね青春!』。

脚本はクドカンこと宮藤官九郎さん。
昨年『あまちゃん』のヒットで、
普段のサブカル好きだけではなく、
おじいちゃんおばあちゃんまで
身方にしてしまった作家さん。

クドカンのドラマは、
実は『あまちゃん』以外の作品では
あまり視聴率がとれていない。
放送後、ビデオや再放送、口コミで人気がでる。

クドカンの作品はいつも、1話2話がつまらないのが常。
作品の設定説明やキャラクター紹介で時間を費やし、
なかなかストーリーが先へ進まない。

構想がしっかりしているがゆえ、
最初は説明的でつまらないので、
視聴者が飽きちゃうのかもしれません。

本作も1話2話は正直つまらなかった。

でもクドカンを信じて観て行こうと、
任せていって、やはり正解。

舞台設定や登場人物を理解しているからこそ、
ハジケタ事をしても観客はついて行ける。

ある記事で、これからシナリオを学びたい子が
クドカンに学校へ行くべきか否かを相談しているものがあった。

クドカンの答えは
「学校でそういったものを教わるべきではない。
書きたい事を書きなさい」というものでした。

それは正しい。
しかしこれを凡人が鵜呑みにしてはいけない。

クドカンは何が人にウケるかずっと考えているような人。
そのセンスはひとりよがりなものではない。
学校で教わるような事は、天性的に身に付いている天才。

天才は自分が出来る事は、
周りの人が全員出来ると勘違いしてしまう。
天才のアドバイスは天才にしか効果がない。

クドカンは本作で、
最近の学園モノにアンチテーゼを投げかけています。
校内暴力、妊娠、ドラッグ、いじめみたいな
センセーショナルをうたったものは描かないと言っています。

もう観客もそんなもの辟易してるしね。
センセーショナルはもうダサい!

今はきちんと足元を描いた作品が見たいかも。

自分もシナリオ養成学校へ通った事があります。
そこでドラマの意味を教わりました。

「ドラマ」とは本来、「劇的な出来事」や「葛藤」の意味。
なにかの事象にでくわして、変化して行く人間を描くもの。

その事象は、事件や物事ではなく、
人と人とぶつかり合うものが好ましい。
人が変化して行く様がもっとも面白いドラマなのだそうです。
人と人が出会うだけで、ドラマは始まるのです。

人生も然り。

『ごめんね青春!』も第3話目にしてやっと、
登場人物たちが変化し始めました!

今後に期待!!

 

関連記事

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 それは子どもの頃から決まってる

岩井俊二監督の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を久しぶりに観た。この映画のパロ

記事を読む

『SHOGUN 将軍』 アイデンティティを超えていけ

それとなしにチラッと観てしまったドラマ『将軍』。思いのほか面白くて困っている。ディズニープラ

記事を読む

no image

『まれ』劇伴作曲家の新しい才能・澤野弘之氏

  NHK朝の連続テレビ小説の 春の新番組『まれ』。 はやくも好評ですね。

記事を読む

no image

『ツレがうつになりまして。』鬱を身近に認知させた作品

  鬱病を特別な人がなる病気ではなく、 誰をもいつなりうるか分からな事を 世間に

記事を読む

『なつぞら』自分の人生とは関係ないドラマのはずだったのに……

「アニメーターってなによ?」7歳になる息子が、NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』の番宣での

記事を読む

『ゲゲゲの女房』本当に怖いマンガとは?

水木しげるさんの奥さんである武良布枝さんの自伝エッセイ『ゲゲゲの女房』。NHKの朝ドラでも有

記事を読む

『時効警察はじめました』むかし切れ者という生き方

『時効警察』が12年ぶりの新シリーズが始まった。今期の日本の連続ドラマは、10年以上前の続編

記事を読む

『ウェンズデー』  モノトーンの10代

気になっていたNetflixのドラマシリーズ『ウェンズデー』をやっと観た。ずっと気になってい

記事を読む

『いだてん』近代日本史エンタメ求む!

大河ドラマの『いだてん 〜東京オリムピック噺〜』の視聴率が伸び悩んでいるとよく聞く。こちらと

記事を読む

『ロード・オブ・ザ・リング』 ファンタージーがファンタジーのままならば

Amazonのオリジナル・ドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』が配信開始にな

記事を読む

『新幹線大爆破(Netflix)』 企業がつくる虚構と現実

公開前から話題になっていたNetflixの『新幹線大爆破』。自

『ラストエンペラー オリジナル全長版」 渡る世間はカネ次第

『ラストエンペラー』の長尺版が配信されていた。この映画は坂本龍

『アドレセンス』 凶悪犯罪・ザ・ライド

Netflixの連続シリーズ『アドレセンス』の公開開始時、にわ

『HAPPYEND』 モヤモヤしながら生きていく

空音央監督の長編フィクション第1作『HAPPYEND』。空音央

『メダリスト』 障害と才能と

映像配信のサブスクで何度も勧めてくる萌えアニメの作品がある。自

→もっと見る

PAGE TOP ↑