*

『E.T.』 母子家庭の不安のメタファー

公開日: : 最終更新日:2021/05/20 映画:ア行

今日はハロウィン。
自分はこの時期『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』より
『E.T.』を思い出してしまいます。

映画『E.T.』というと、自分の世代は
洋画デビューした人が多いのではないでしょうか。

自分も主演のヘンリー・トーマスとは同い年。
子どもの頃、社会現象になっていたのを憶えています。

実は自分はティーンエイジャーになってから
この作品を観ました。

ウチの両親は映画には
まったく興味のない人たちだったし、
当時はまだ洋画作品は吹き替え版は
なかったように記憶しています。
小学生の自分には洋画はかなり高い敷居でした。

『E.T.』は監督のスピルバーグにも特別のこだわりがあり、
なかなかビデオ化してくれなかったのと、
ここまで流行った映画なんか観れるかと言う
あまのじゃくな自分が、
なかなか鑑賞まで至らなかったと言えます。

実際映画を観ると、ホントに面白かった。
あまのじゃくはソンをすると感じましたね。

スピルバーグはきっとアメリカ政府から依頼され、
こういった宇宙人ものや戦争もの、
共産主義的なものを作っているような感があります。

主人公エリオットのウチはシングルマザー。
子どもが主人公の作品で、
きちんと大人の事情も描いているのが
作品の隠し味として、いきています。

とかく映画には母親が脚光を浴びる作品が少ない。
当時、シングルマザーの家庭が
描かれる映画も珍しかったのではないでしょうか?

当然、母親はいつも不安でイライラしている。
子どもたちも母の支えになりたいと
心の底では思っているが、どうしていいかわからない。

そんななか子どもたちはETと遭遇する。

ETの存在は、リアルな描き方こそしているが、
ファンタジー的メタファーととらえてもいい。

日々の生活でカツカツになっている母親には
ETの存在はみえない。外敵でしかない。

理解のない親だなと、10代の頃の自分は感じた。
大人になってみると、母親の不安な気持ちがわかる。

夢見がちな子どもたちに、救われもし、
気楽で妬ましくも感じてしまう。

20周年特別版ではじめて劇場で本作を観た。
英語がシンプルなので、
自分の語学力でも子どもたちの会話は理解できた。

拙い英語を喋るETとの交流。

言葉がダイレクトに伝わると、
感動が倍増します。気付くと泣いてましたね。

この作品で、言葉の大切さも感じました。

純粋な子どもたちが、
しがらみだらけの大人を黙らせる
小気味良い映画でもあります。

さて、自分も大人になってしまった。
エリオットに唯一理解を示す大人・Mr.Keysくらいに
自分はなれているだろうか?

関連記事

『あしたのジョー2』 破滅を背負ってくれた…あいつ

Amazon primeでテレビアニメの『あしたのジョー』と『あしたのジョー2』が配信された

記事を読む

『永遠の門 ゴッホの見た未来』 ギフテッドとインフルエンサー

東京都美術館で開催されている『ゴッホ展』に行った。収集家のヘレーネ・クレラー=ミュラーのコレ

記事を読む

no image

DT寅次郎がゆく『みうらじゅんのゆるゆる映画劇場 』

  雑誌『映画秘宝』に現在も連載中の記事を再編集されたもの。普通の映画評論に飽きたら

記事を読む

『アンという名の少女』 戦慄の赤毛のアン

NetflixとカナダCBCで制作されたドラマシリーズ『アンという名の少女』が、NHKで放送

記事を読む

no image

『海街diary』男性向け女性映画?

日本映画で人気の若い女優さんを4人も主役に揃えた作品。全然似てないキャスティングの4人姉妹の話を是枝

記事を読む

『イレイザーヘッド』 狂気は日常のすぐそばに

渋谷のシネマライズが閉館した。自分が10代の頃からあしげく通っていた映画館。そういえば最近、

記事を読む

『ヴァチカンのエクソシスト』 悪魔は陽キャがお嫌い

SNSで評判だった『ヴァチカンのエクソシスト』を観た。自分は怖がりなので、ホラー映画が大の苦

記事を読む

『イノセンス』 女子が怒りだす草食系男子映画

押井守監督のアニメーション映画。 今も尚シリーズが続く『攻殻機動隊』の 続編にも関わらず

記事を読む

『うる星やつら 完結編』 非モテ男のとほほな詭弁

2022年の元日に『うる星やつら』のアニメのリメイク版制作の発表があった。主人公のラムが鬼族

記事を読む

『アベンジャーズ/エンドゲーム』ネタバレは国家を揺るがす

世界中で歴代ヒットの観客数を更新しつつある『アベンジャーズ/エンドゲーム』。マーベル・シネマ

記事を読む

『Ryuichi Sakamoto | Opus』 グリーフケア終章と芸術表現新章

坂本龍一さんが亡くなって、1年が過ぎた。自分は小学生の頃、YM

『SAND LAND』 自分がやりたいことと世が求めるもの

漫画家の鳥山明さんが亡くなった。この数年、自分が子どものころに

『ハイキュー‼︎』 勝ち負けよりも大事なこと

アニメ『ハイキュー‼︎』の存在を初めて意識したのは、くら寿司で

『オッペンハイマー』 自己憐憫が世界を壊す

クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を、日本公開

『哀れなるものたち』 やってみてわかること、やらないでもいいこと

ヨルゴス・ランティモス監督の最新作『哀れなるものたち』が日本で

→もっと見る

PAGE TOP ↑