発信者がウソをついてたら?『告白』
中島哲也監督作品、湊かなえ著原作『告白』。この映画の演出のセンスの良さにシビレました。音楽の使い方、渇いた映像、役者の演技。日本映画では最高水準ではないか? あまりに夢中になって映画を観たので、鑑賞後、足がふらついたのを憶えています。そういえばハリウッドからリメイクのオファーがきたと公開当時言っていたけど、あれからどうなったのだろう? 作品はほとんど一人称で描かれている。タイトル通りの『告白』によって物語は進んで行く。パート別に別れ、告白をする主人公は何度も入れ替わる。時系列通りではないので、同じ事件も視点がかわって登場する。レディオヘッドの曲がテーマ曲なのだが、日本作品で洋楽を使うととんでもないことになるのが常。エンドロールでこれでもかと作品とマッチしないままかけるのかと思いきや、予想外の使い方をしていてカッコ良かった。センス良い。
中島監督は生徒役の子どもたちに事前に原作本を読ませたらしい。そこで中島監督が、それぞれの登場人物が自分の都合のいいようにウソをついていたらどうする?と、生徒達に問いかけたところ、全員がギョッとなったそうです。犯罪の作品なので、登場人物は保身の為に平気でウソはつくだろう。中島監督曰く、こんなにみんな素直に情報を鵜呑みにしてしまう方が驚きだと。
日本人は世界でも珍しいくらい報道をそのまま信じてしまう傾向がある。欧米の人はマスコミの情報など、参考にするだけで、それほど信じていない。マスコミやネットの情報なんていい加減なもの。誰かがなにがしかの利益の為に、自分の都合のいいように発信されているものも多い。そんな危うい情報を信じて、騙されたと怒るのはお門違い。ニュースを見すぎるのもうつ病になりやすい原因と聞きます。
情報はあまり過度にインプットしすぎると自分自身の判断力が弱り、直感力のような感性が衰えてしまう。情報過多な現代社会。瞑想とまではいわずとも、じっくり自分の考えを咀嚼する時間は意図的に作っていかなければ、気付けば後戻りが出来ないところにいた、なんてことにもなりかねないです。
危うい危うい。
関連記事
-
-
『デッドプール2』 おバカな振りした反骨精神
映画の続編は大抵つまらなくなってしまうもの。ヒット作でまた儲けたい企業の商魂が先に立つ。同じ
-
-
『間宮兄弟』とインテリア
江國香織さん原作の小説を、故・森田芳光監督で映画化された『間宮兄弟』。オタクの中
-
-
『かがみの孤城』 自分の世界から離れたら見えるもの
自分は原恵一監督の『河童のクゥと夏休み』が好きだ。児童文学を原作に待つこのアニメ映画は、子ど
-
-
『沈黙 -サイレンス-』 閉じている世界にて
「♪ひとつ山越しゃホンダラホダラダホ〜イホイ」とは、クレイジー・キャッツの『ホンダラ行進曲』
-
-
『おさるのジョージ』嗚呼、黄色い帽子のおじさん……。
もうすぐ3歳になろうとするウチの息子は イヤイヤ期真っ最中。 なにをするにも
-
-
『私をくいとめて』 繊細さんの人間関係
綿矢りささんの小説『私をくいとめて』は以前に読んでいた。この作品が大九明子監督によって映画化
-
-
『猿の惑星: 創世記』淘汰されるべきは人間
『猿の惑星:創世記』。 もうじき日本でも本作の続編にあたる 『猿の惑星:新世
-
-
『逃げるは恥だが役に立つ』 シアワセはめんどくさい?
「恋愛なんてめんどくさい」とは、最近よく聞く言葉。 日本は少子化が進むだけでなく、生涯
-
-
『風と共に去りぬ』 時代を凌駕した人生観
小学生の娘が突然、映画『風と共に去りぬ』が観たいと言い出した。なかなか渋い趣味。いいですよ観
-
-
『関心領域』 怪物たちの宴、見ない聞かない絶対言わない
昨年のアカデミー賞の外国語映画部門で、国際長編映画優秀賞を獲った映画『関心領域』。日本が舞台
