*

『Love Letter』 ヨーロッパ映画風日本映画

公開日: : 最終更新日:2021/09/13 ドラマ, 映画:ラ行

岩井俊二監督の『Love Letter』。
この映画をリアルタイムで観たときに
「やられた~」と思いました。

主演は当時トップアイドルとして
不動の座にいた中山美穂さん。

彼女を主役にすることで、
アイドル映画の要素も含みつつ、
ヨーロッパのアート映画に影響された
画面作りで、泥臭くないドライな映画になった。

言うなれば男が描く少女マンガの世界。

役者さんは、カワイイ芝居に徹底している。
作品世界観はふわふわの甘ったるい感じ。
とにかく今までの日本映画にはなかった
センスの良さとオシャレ感が漂っていた。

遂に日本映画はここまできたか!
当時の自分は岩井俊二監督の大ファンになりました。

もちろんその後の日本映画の恋愛ものの
多くがこのスタイルの演出に影響されていきました。
いまだに邦画はこのスタイルの
二番煎じばかりといってもいいでしょう。

この『Love Letter』はポーランドの
クシシュトフ・キシェロフスキ監督の
『ふたりのベロニカ』から多大な影響を受けています。

そして『Love Letter』は中国や韓国で大ウケ。
韓流ブームの火付け役となった伝説のドラマ
『冬のソナタ』にはものすごい影響を与えてもいます。

ヨーロッパから日本を通し、
アジアへ影響を与え合った。

近年岩井俊二監督は、中国韓国を擁護する
政治的発言をしたことで、大騒ぎになった事もあります。

自作のファンの多い国だからこそ、
仲良くして欲しいと願っているのでしょう。

岩井監督がこういった政治的発言ができるのも、
彼が今活動拠点を日本国外としているからこそ。

やはりいち著名人でも、
日本国内で政治的発言を発信するのは
難しいことなのでしょうね。

様々な意見が気軽に交わせる世の中が、
本当に住みやすい成熟した世の中へと
繋がっていくと思うのですがね~。

しかし映画監督や作家、音楽家には
左翼系の人が多いのは昔から常々ですが、
その受け手であるファンのオタクには
ネトウヨ系が多いのはなぜでしょう?

作品の発信者と受け手、
どうしてこうも思想がちがうのか?

これでは意見が対立して炎上も
ままならないでしょうね。

作家の思想は、大なり小なり作品には
反映されてしまうものだと思うのに。

関連記事

『ルックバック』 荒ぶるクリエーター職

自分はアニメの『チェンソーマン』が好きだ。ホラー映画がダメな自分ではあるが、たまたまSNSで

記事を読む

『ブレードランナー2049』 映画への接し方の分岐点

日本のテレビドラマで『結婚できない男』という名作コメディがある。仕事ができてハンサムな建築家

記事を読む

no image

『あさが来た』 はるがきた⁉︎

NHK『連続テレビ小説』の『あさが来た』に遅ればせながらハマってしまった。 放送当初より自分の

記事を読む

『不適切にもほどがある!』 断罪しちゃダメですか?

クドカンこと宮藤官九郎さん脚本によるドラマ『不適切にもほどがある!』が、放送開始とともに大き

記事を読む

no image

『まれ』劇伴作曲家の新しい才能・澤野弘之氏

  NHK朝の連続テレビ小説の 春の新番組『まれ』。 はやくも好評ですね。

記事を読む

『SHOGUN 将軍』 アイデンティティを超えていけ

それとなしにチラッと観てしまったドラマ『将軍』。思いのほか面白くて困っている。ディズニープラ

記事を読む

『アンという名の少女』 戦慄の赤毛のアン

NetflixとカナダCBCで制作されたドラマシリーズ『アンという名の少女』が、NHKで放送

記事を読む

no image

『ラストサムライ』渡辺謙の作品選び

  トム・クルーズ主演の日本を舞台にした時代物ハリウッド映画『ラストサムライ』。渡辺

記事を読む

『レオン』 美少女は殺し屋も殺す

リュック・ベッソン監督作品、ジャン・レノ主演のフランス映画のスタッフ・キャストがハリウッド進

記事を読む

no image

Someone to watch over me!!『LIFE!』

  自分が20代のはじめの頃、 正社員で勤めた時の会社の上司に こう言われました

記事を読む

『ケナは韓国が嫌いで』 幸せの青い鳥はどこ?

日本と韓国は似ているところが多い。反目しているような印象は、歴

『LAZARUS ラザロ』 The 外資系国産アニメ

この数年自分は、SNSでエンタメ情報を得ることが多くなってきた

『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』 みんな良い人でいて欲しい

『牯嶺街少年殺人事件』という台湾映画が公開されたのは90年初期

『パスト ライブス 再会』 歩んだ道を確かめる

なんとも行間の多い映画。24年にわたる話を2時間弱で描いていく

『ロボット・ドリームズ』 幸せは執着を越えて

『ロボット・ドリームズ』というアニメがSNSで評判だった。フラ

→もっと見る

PAGE TOP ↑