*

『すーちゃん』女性の社会進出、それは良かったのだけれど……。

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 映画:サ行,

 

益田ミリさん作の4コママンガ
『すーちゃん』シリーズ。

益田ミリさんとも自分は同年代。

身の回りをみても、
自分と同じ40代になって
結婚しない人が多いし、
もちろん子持ちはなおさら少ない。
こうなると社会問題。

男性の場合の多くは、
行動してないだけの場合が多いので、
壁はそんなに大きくないように思えるが、
女性にとっては深刻な問題。

男女雇用均等法が成立して、
女性がどんどん社会進出して行くのは
とても良いこと。

しかしその弊害で、仕事が急がし過ぎて、
プライベートにパワーをさく
余裕がなくなってしまう。

まだまだ日本は男性優位の社会。
女性が男性並の仕事に就くなら、
男性の倍以上のパワーが必要。

すーちゃんは別にそこまで上昇思考ではないけれど、
日常はやはり職場と家の往復だけで終わってしまう。

頑張って生きているのにうまくいかない。

男性が恋愛に踏み出せないのは、
自分自身の責任のような気がするけど、
女性の場合はもっと根深い問題がありそう。

マンガは独身女性の気持ちを
細やかにに伝えている。
笑えそうでいて笑えない。

共感できてしまう女性が多いのも
それはそれで問題かも。

このマンガは映画化もされました。

柴咲コウさんがすーちゃんを演じているので、
ちょっと美人すぎやしないか?
もっと普通っぽい人の方が
感情移入しやすいんじゃないか?
と思いましたが、美人が独り身というのが
余計問題の深刻さを感じさせました。

エッセイマンガは、深刻な状況を
オブラートにくるむ作用があります。
それで同じ問題を抱えている人にも
共感を得るのだと思います。

これをまた実際の役者さんで映像化すると、
またまた深刻な話に戻ってしまいます。

劇中ではクライマックスで矢野顕子さんと
パット・メセニーさん共作の曲、
『Prayer』がかかったりします。
そうなると、もう救われない感じまでしてしまいます。

女性の話なのに男性が演出したのも
問題だったのかもしれません。

せめて映画版ではもっと救いが欲しかったな。

関連記事

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』 たどりつけばフェミニズム

先日、日本の政治家が、国際的な会見で女性蔑視的な発言をした。その政治家は以前からも同じような

記事を読む

no image

『オール・ユー・ニード・イズ・キル 』日本原作、萌え要素を捨てれば世界標準

  じつに面白いSF映画。 トム・クルーズのSF映画では 最高傑作でしょう。

記事を読む

『ノマドランド』 求ム 深入りしない人間関係

アメリカ映画『ノマドランド』が、第93回アカデミー賞を受賞した。日本では3月からこの映画は公

記事を読む

『白洲次郎(テレビドラマ)』自分に正直になること、ズルイと妬まれること

白洲次郎・白洲正子夫妻ってどんな人? 東京郊外ではゆかりの人として有名だけど、恥ずかしながら

記事を読む

『ドライブ・マイ・カー』 綺麗な精神疾患

映画『ドライブ・マイ・カー』が、カンヌ国際映画祭やアカデミー賞で評価されているニュースは興味

記事を読む

『窓ぎわのトットちゃん』 他を思うとき自由になれる

黒柳徹子さんの自伝小説『窓ぎわのトットちゃん』がアニメ化されると聞いたとき、自分には地雷臭し

記事を読む

『花束みたいな恋をした』 恋愛映画と思っていたら社会派だった件

菅田将暉さんと有村架純さん主演の恋愛映画『花束みたいな恋をした』。普段なら自分は絶対観ないよ

記事を読む

no image

男は泣き、女は勇気をもらう『ジョゼと虎と魚たち』

  この映画『ジョゼと虎と魚たち』。 公開当時、ミニシアター渋谷シネクイントに

記事を読む

『日の名残り』 自分で考えない生き方

『日の名残り』の著者カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞した。最近、この映画版の話をしてい

記事を読む

no image

『赤ちゃん教育』涙もろくなったのは年齢のせいじゃない?

  フランス文学の東大の先生・野崎歓氏が書いた育児エッセイ『赤ちゃん教育』。自分の子

記事を読む

『ウェンズデー』  モノトーンの10代

気になっていたNetflixのドラマシリーズ『ウェンズデー』を

『坂の上の雲』 明治時代から昭和を読み解く

NHKドラマ『坂の上の雲』の再放送が始まった。海外のドラマだと

『ビートルジュース』 ゴシック少女リーパー(R(L)eaper)!

『ビートルジュース』の続編新作が36年ぶりに制作された。正直自

『ボーはおそれている』 被害者意識の加害者

なんじゃこりゃ、と鑑賞後になるトンデモ映画。前作『ミッドサマー

『夜明けのすべて』 嫌な奴の理由

三宅唱監督の『夜明けのすべて』が、自分のSNSのTLでよく話題

→もっと見る

PAGE TOP ↑