*

『タナカヒロシのすべて』 鳥肌実のアヤシい存在感とまっとうな人生観

公開日: : 最終更新日:2022/01/02 映画:タ行

昨日は8月15日。終戦記念日。

この日で自分がすぐ
イメージするのは靖国神社。

毎年マスコミから伝わるイメージでは
ものものしい過激な雰囲気の
場所に感じてしまうが、
実際に行った人の話を聞くと、
普通に戦没者に黙祷して、
普通にお参りして、
清々しい気持ちになると聞きます。

確かにエキセントリックな人も
来るかもしれない。
けれどもそれも大勢の中の少数派。

マスコミはセンセーショナルに
騒ぎ立てるのが仕事。
面白おかしくして、
視聴率や部数をあげなくてはならない
シビアな現実がある。

情報を正しく伝えることより、
目先の話題性や金儲けが
前面にきてしまうのは
悲しいことです。

ずっと敬遠していた
終戦記念日の靖国神社。
来年は参拝してみようかしら?

そして終戦記念日の
靖国神社といえば
鳥肌実氏のパフォーマンス。

テレビで放送できない
軍国主義のパフォーマンスは有名。

放送コードギリギリの存在感の彼が
主演している映画『タナカヒロシのすべて』。

この映画のアヤシイポスターをみて、
妻が「キモチ悪い!」とすぐ食いついた。

この映画の内容というと、
これといって趣味も友達も彼女もいない30独身男が、
どんどん不幸になっていくと言う話。

かつら製造工場でつまらなそうに働いて、
駅前のたこやき屋台の親父に睨まれビクビクし、
犬に吠えられ、弁当で割り込みされ文句も言えず……。

淡々とこの行動しない男の姿を描いていきます。
度重なる不幸で、動かざるを得なくなり、
なにもなくなったところで
やっと人生のスタートラインに立つと言う話。

「これはあなたと同じじゃないか」と妻の指摘。

妻からするととても笑える映画で、
自分からすると不愉快だったこの映画。
意識しなかった自分の生態。

演出はフィンランドの
カウリスマキ兄弟のような
人生のおかしみと哀しみの世界観。

まっとうな物語なのに、
鳥肌実の存在感でアヤシイ感じに仕上がってる。

ゲテモノあつかってるのに、
正当な人生観を描いている。
なにげに深い映画です。

関連記事

『DUNE デューン 砂の惑星』 時流を超えたオシャレなオタク映画

コロナ禍で何度も公開延期になっていたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のSF超大作『DUNE』がやっと

記事を読む

『透明なゆりかご』 優しい誤解を選んでいく

NHKで放送していたドラマ『透明なゆりかご』。産婦人科が舞台の医療もの。これは御涙頂戴の典型

記事を読む

『デッド・ドント・ダイ』 思えば遠くへ来たもんだ

エンターテイメント作品でネタに困った時、とりあえずゾンビものを作れば、それなりにヒットする。

記事を読む

『タイタニック』 猫も杓子も観てたの?

ジェームズ・キャメロン監督で誰もが知っている『タイタニック』の音楽家ジェームズ・ホーナーが飛

記事を読む

no image

原作への愛を感じる『ドラえもん のび太の恐竜2006』

  今年は『ドラえもん』映画化の 35周年だそうです。 3歳になる息子のお気

記事を読む

『トイ・ストーリー・オブ・テラー』 続々発表の新作短編、実は大人向け?

BSのDlifeで『トイストーリー』の 新作短編が放送された。 なんでも本邦初公開とのこ

記事を読む

『トップガン』カッコいいと思ってたけど?

「♪ハーイウェイ・トゥ・ザ・デンジャゾーン」風にのって歌が聴こえてくる。これは……、映画『ト

記事を読む

『ダンダダン』 古いサブカルネタで新感覚の萌えアニメ?

『ダンダダン』というタイトルのマンガがあると聞いて、昭和生まれの自分は、真っ先に演歌歌手の段

記事を読む

『チ。 ー地球の運動についてー』 夢に殉ずる夢をみる

マンガの『チ。』の存在を知ったのは、電車の吊り広告だった。『チ。』というへんなタイトルがキャ

記事を読む

『トニー滝谷』 坂本龍一の即興演奏が光る

先日、自身のがんを公表し、 演奏活動はしばらく休止すると 発表した坂本龍一氏。 反

記事を読む

『侍タイムスリッパー』 日本映画の未来はいずこへ

昨年2024年の夏、自分のSNSは映画『侍タイムスリッパー』の

『ホットスポット』 特殊能力、だから何?

2025年1月、自分のSNSがテレビドラマ『ホットスポット』で

『チ。 ー地球の運動についてー』 夢に殉ずる夢をみる

マンガの『チ。』の存在を知ったのは、電車の吊り広告だった。『チ

『ブータン 山の教室』 世界一幸せな国から、ここではないどこかへ

世の中が殺伐としている。映画やアニメなどの創作作品も、エキセン

『関心領域』 怪物たちの宴、見ない聞かない絶対言わない

昨年のアカデミー賞の外国語映画部門で、国際長編映画優秀賞を獲っ

→もっと見る

PAGE TOP ↑