『葉加瀬太郎』と子どもの習い事
公開日:
:
最終更新日:2019/06/13
音楽
何でも今年は葉加瀬太郎さんのデビュー25周年らしいです。まだ『クライズラー&カンパニー』がそれほど有名ではなかった頃、自主映画の撮影で新宿都庁ビルで無料ライブに出くわしたことがあります。クラシック曲をポップス調にアレンジした斬新なアイディアだ。何も踊って演奏しなくてもいいのではないか? そこまでお客さんを迎合しなくてもいいのでは? と思っておりましたが、その後どんどんスターダムに上がっていく葉加瀬太郎さんの姿をみて、あれは大衆に分かりやすくするために上手に演出していたんだな〜と気づかせてくれました。
葉加瀬太郎さんはラジオのMCも勤めるくらいトークが面白く、とても魅力的な好人物。なんでも子ども時代は一週間ぶっ通しで習い事をしていたそうです。その中でホントに自分が面白いものはどれかと残ったのがバイオリンだったそうです。だから子ども時代、色々と習い事をさせてくれた親に今でも感謝しているとのこと。その話を聞いて、葉加瀬さんの家はさぞ裕福だったのだろうな、ウチの子にはそんな習い事はさせられないな〜とやっかんでいたら、さにあらず。葉加瀬太郎さんはバリバリの団地っ子。そこで習い事ブームがあったそうです。きっとそこの団地には子どもが多く、安価で受講できる習い事が多かったのでしょうね。
色々やってみて、本当に自分が好きなもの、得意なものをみつけていく。子どもの才能を見極めるのには理想的な将来の職業選択の方法でしょうが、如何せんそんなこと今の世の中では難しい。今は何を習わせても高額だ。子どもが好きなものや得意なものを早く発見して、集中して勉強していった方が良いに決まっている。大きな仕事を成す人は大概ハイティーンにはその仕事を始めているものだ。職業訓練に早いということはない。ウチの子は絵を描くのが好きだが、絵の仕事で食っていけるのはとても大変。音楽も然り。芸術的な仕事で日本でやっていくのはいばらの道。葉加瀬さんは芸大出身だから、一介の団地っ子がそこまでいくというのは、本人の努力もさながら、ご両親の苦労も想像できてしまいます。
身内で芸術的な仕事に就いている方もいますが、習い事をさせるより本をたくさん読ませなさいと言われました。本を読むことで世の中の道理が分かってくるとのこと。それなら図書館へ行けばいいのだから、お金はかからない。自分も子どもが小学校へ入ったので、さてこの人は何の職業が向いているのか、親も一緒に考えていかなければ間に合わなくなってしまう。少なくとも自分のように人生出遅れることのないようにしてあげたいものです。
関連記事
-
-
『ドリーム』あれもこれも反知性主義?
近年、洋画の日本公開での邦題の劣悪なセンスが話題になっている。このアメリカ映画『
-
-
『鑑定士と顔のない依頼人』 人生の忘れものは少ない方がいい
映画音楽家で有名なエンニオ・モリコーネが、先日引退表明した。御歳89歳。セルジオ・レオーネや
-
-
『ロッキー』ここぞという瞬間はそう度々訪れない
『ロッキー』のジョン・G・アヴィルドセン監督が亡くなった。人生長く生きていると、かつて自分が影響を受
-
-
『スノーマン』ファンタジーは死の匂いと共に
4歳になる息子が観たいと選んだのが、レイモンド・ブリッグスの絵本が原作の短編アニメーション『スノーマ
-
-
『男はつらいよ お帰り 寅さん』 渡世ばかりが悪いのか
パンデミック直前の2019年12月に、シリーズ50周年50作目にあたる『男はつらいよ』の新作
-
-
『沈黙 -サイレンス-』 閉じている世界にて
「♪ひとつ山越しゃホンダラホダラダホ〜イホイ」とは、クレイジー・キャッツの『ホンダラ行進曲』
-
-
『タイタニック』 猫も杓子も観てたの?
ジェームズ・キャメロン監督で誰もが知っている『タイタニック』の音楽家ジェームズ・ホーナーが飛
-
-
『Ryuichi Sakamoto | Opus』 グリーフケア終章と芸術表現新章
坂本龍一さんが亡くなって、1年が過ぎた。自分は小学生の頃、YMOの散会ライブを、NHKの中継
-
-
『LAZARUS ラザロ』 The 外資系国産アニメ
この数年自分は、SNSでエンタメ情報を得ることが多くなってきた。自分は基本的に洋画が好き。日
-
-
『ルックバック』 荒ぶるクリエーター職
自分はアニメの『チェンソーマン』が好きだ。ホラー映画がダメな自分ではあるが、たまたまSNSで
