*

『天使のたまご』 アート映画風日本のアニメ

公開日: : 最終更新日:2021/05/10 アニメ, 映画:タ行

最新作の実写版『パトレイバー』も話題の世界的評価の高い押井守監督の異色作『天使のたまご』。スペイン映画『パンズ・ラビリンス』のようなダークファンタジーの系譜にあたるヘンテコな作品である。

なんでもこの『天使のたまご』、ワケわからなすぎて、押井監督がその後5年間仕事を干されてしまったとか?

この前後の作品が『うる星やつら』から『パトレイバー』なので、かなり脂ののってる頃の作品でしょう。日本ではこういったアート映画や実験映画は今も昔も理解されないでしょうね。むしろよく作らせてもらえたなと思います。

自分がはじめてこの作品を観たのは中学生の頃。ワケわからなさに衝撃を受けました。

この作品に大きな影響を与えたタルコフスキーやジャン・コクトーもポーランド映画も知らなかった頃なので、非常にショックを受けた記憶があります。チューボーなりに名作だと感じてました。

だからこそ効果音とかが、日本のアニメ的なのに違和感を感じていました。

モチーフになっているのも聖書のノアの方舟の後の世界だったりして、とても悪夢的。というより当時、この映画のせいで悪夢みたと思います。(笑)

ここでの聖書の引用は信仰心からくるものではなく、学問としてキリスト教を研究してしまった人のひとつの解釈。

結局、後の押井監督の『攻殻機動隊』や『イノセンス』みたいな世界的に人気のある作品のルーツが『天使のたまご』にはたくさん隠れています。

この不気味さはクセになるんだけどな。まあ人にはあまり勧められない作品ではあるけれど。

関連記事

『RRR』 歴史的伝統芸能、爆誕!

ちょっと前に話題になったインド映画『RRR』をやっと観た。噂どおり凄かった。S・S・ラージャ

記事を読む

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』 長い話は聞いちゃダメ‼︎

2024年2月11日、Amazonプライム・ビデオで『うる星やつら2 ビューティフル・ドリー

記事を読む

no image

『おさるのジョージ』嗚呼、黄色い帽子のおじさん……。

  もうすぐ3歳になろうとするウチの息子は イヤイヤ期真っ最中。 なにをするにも

記事を読む

no image

『ドクター・ストレンジ』アメコミとユダヤ人

流転の民族ユダヤ人は、どこの社会に行っても成功していくらしい。商売上手だったり、仕事ができるのはもち

記事を読む

『トーチソング・トリロジー』 ただ幸せになりたいだけなのにね

最近日本でもようやく意識が高まりつつあるジェンダー問題。オリンピック関係者の女性蔑視発言で、

記事を読む

『太陽』 アートかコメディか? ロシア人が見た昭和天皇

今日は終戦記念日。 この作品はロシアの アレクサンドル・ソクーロフ監督が描く、 第

記事を読む

『ゴーストバスターズ』ファミリー向け映画求む!

ずっと頓挫し続けてた『ゴーストバスターズ』の新作が、今年の夏公開される。ものごとって決まった

記事を読む

no image

逆境も笑い飛ばせ! 日本人のユーモアセンスは!?『団地ともお』

  『団地ともお』は小学生。 母親と中学生になる姉と 三人で団地暮らし。 父親

記事を読む

『誰も知らない』とネグレクト

父親のネグレクト(育児放棄)で 5歳男児が餓死したという事件。 嫌なニュースです。考えち

記事を読む

『レクイエム・フォー・ドリーム』 めくるめく幻覚の世界

「シェシェシェのシェー」と叫びながら隣人女性に危害を加えて捕まった男がいましたね。危険ドラッ

記事を読む

『トクサツガガガ』 みんなで普通の人のフリをする

ずっと気になっていたNHKドラマ『トクサツガガガ』を観た。今や

『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ』 黒歴史を乗り越えて

カナダ映画の『アイ・ライク・ムービーズ』がSNSで話題になって

『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』 映画鑑賞という祭り

アニメ版の『鬼滅の刃』がやっと最終段階に入ってきた。コロナ禍の

『ひとりでしにたい』 面倒なことに蓋をしない

カレー沢薫さん原作のマンガ『ひとりでしにたい』は、ネットでよく

『舟を編む』 生きづらさのその先

三浦しをんさんの小説『舟を編む』は、ときどき日常でも話題にあが

→もっと見る

PAGE TOP ↑