『ベルリン・天使の詩』 憧れのドイツカルチャー
昨年倒産したフランス映画社の代表的な作品。
東西の壁がまだあった頃のドイツ。ヴィム・ヴェンダースの名作です。
自分はリアルタイムでハイティーンの頃、この映画を観ましたが、とにかく雰囲気が大好きでした。この映画で紹介されるドイツカルチャーがとてもクールに感じました。ドイツ人は一般の人もこんなにカッコいい音楽を普通に聞いてるのかしらと思ったら、とても羨ましく感じました。ニック・ケイブのライブシーンとかめちゃくちゃカッコいいんです!!
この映画はハリウッドで『シティ・オブ・エンジェル』としてリメイクされたけど、こちらはどうもよろしくなかった。ヴェンダース監督で続編『時の翼にのって』がつくられたが、ハリウッドを意識しすぎて、それも中途半端な作品になってしまっていた。こちらもよろしくない。U2をはじめとするサントラの豪華さも悲しさを増した。
ヴェンダースは『ベルリン・天使の詩』ぐらいの頃がもっとも絶好調だったみたい。最近もダンサーの映画『Pina』をつくったけど、もうアート映画の時代じゃない。
ドイツは老成した国だと聞きました。とにかく子どもがいないといいます。子どもがいても、なんだか大人びていて、無邪気さがないと感じるらしいです。日本が大の大人がアニメやマンガ、ゲームに夢中になったり、アイドル追いかけたりする幼稚な国だとするならば、全くの逆で老人しかいない。
極端に幼稚なのも老成してるのも感心できるものではない。多分自分は、この幼稚な文化の日本に辟易していたからこそ、ドイツ文化に新鮮な魅力を感じたのかもしれません。
まあ無い物ねだりですけどね。
関連記事
-
『007 スペクター』シリアスとギャグの狭間で
評判の良かった『007 スペクター』をやっと観た。 前作『スカイフォール』から監督は続
-
『DUNE デューン 砂の惑星』 時流を超えたオシャレなオタク映画
コロナ禍で何度も公開延期になっていたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のSF超大作『DUNE』がやっと
-
『日の名残り』 自分で考えない生き方
『日の名残り』の著者カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞した。最近、この映画版の話をしてい
-
『アニー(1982年版)』 子どもから見た大人たちの世界
かつてタレントのタモリさんが、テレビでさんざっぱら自身のミュージカル嫌いを語っていた。まだ小
-
『東のエデン』事実は小説よりも奇なりか?
『東のエデン』というテレビアニメ作品は 2009年に発表され、舞台は2011年
-
『ニュー・シネマ・パラダイス』 昨日のこと明日のこと
『ニュー・シネマ・パラダイス』を初めて観たのは、自分がまだ10代の頃。当時開館したばかりのシ
-
『TAR ター』 天才やらかしあるある
賛否両論話題となっている映画『ター』。世界的な最高の地位を得た天才指揮者リディア・ターの目を
-
『ペンタゴン・ペーパーズ』ガス抜きと発達障害
スティーヴン・スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ』。ベトナム戦争は失策だったスクープ
-
『TENET テネット』 テクノのライブみたいな映画。所謂メタドラえもん!
ストーリーはさっぱり理解できないんだけど、カッコいいからいい! クリストファー・ノーランの新
-
『ブラックパンサー』伝統文化とサブカルチャー、そしてハリウッドの限界?
♪ブラックパンサー、ブラックパンサー、ときどきピンクだよ〜♫ 映画『ブラックパンサー』
- PREV
- 『天使のたまご』 アート映画風日本のアニメ
- NEXT
- それを言っちゃおしまいよ『ザ・エージェント』