*

『3S政策』というパラノイア

公開日: : 最終更新日:2019/06/13 ドラマ, 映画,

 

3S政策』という言葉をご存知でしょうか? これはネットなどから誕生した陰謀説で都市伝説のようなもの。とても信憑性がなく出所もはっきりとせず、パラノイアになった人が被害妄想で発した狂言とも言える、ちょっとトンデモナイ話。だからこの話は鵜呑みにせず、あくまで参考として欲しいです。

『3S』とはスクリーン(映画)、スポーツ、セックス(性産業)のこと。映画やエンタメ、スポーツや恋愛ドラマ、要するにメディアを通して人々を興奮させてぼーっと腑抜けにさせて、政治に目を向けさせまいという、ホントかいなという政策。実在は明らかではないので、本気で受け止めてしまうとビョーキと思われてしまうので要注意。でもそんな発想が出てくるのも、日本の偏ったオタク文化をみるとあながちズレた妄想とは言えない。

エンターテイメントとは、観客を興奮させて夢中にさせることで商売が成り立っている。だからあんまりエンタメの世界にどっぷりハマってしまうとオタク化して人生を踏み外してしまうのは周知のこと。文学や古典、音楽や芸術作品は人の心を豊かにする反面、商業作品の悪質なものは人間性をダメにしてしまう。いまや情報過多な現代社会、清濁一緒くた玉石混合。良いものも悪いものも似たような顔をして目の前に現れてくる。もうかんたんに分別がつかない。本当にエンターテイメントとの適切な距離感が必要な世の中となってきた。

エンタメ大国アメリカは移民でできた国なので人種も文化も宗教も様々。十人十色の価値観が交錯するため、エンタメでガス抜きをさせているというのはまことしやかなウワサ。たとえばスピルバーグやフランク・ダラボンなんかは共産主義的な作品が多かったりするのも意味があるのかも知れない。政治的危機感を国民が感じたときに、そのうっぷんばらしをするような作品が生まれやすい。そして社会のバランスを保っていく。

日本のメジャーマスメディアは、ほとんど一社独占のようなものだから、そういったコントロールはしやすい。ただ独占業界なので、多種多様な作品がでてくることはない。むしろ情報統一化をめざしているようにも思える。似たような作品がはびこるのは、流行もあるだろうし、自主規制もあるだろうし、守りにはいってしまっているのはたしか。

昨今はテレビ離れの世の中。不安材料が多い今の日本社会では、エンターテイメントを観るような精神的余裕がみんなになくなってしまったような気がする。今テレビで炎上やらワイワイ騒いでるのは、若者かニートぐらいなのではないだろうか? それよりも生活に密着した情報の方がみんな欲しい。病気のことやら年金のこと、原発やら集団自衛権やら、そっちの方が興味深い。仕事も拘束時間が長く、エンタメを欲している人は少くなった。そもそも日本人事態がエンタメに興味がないので、コントロールの余地がなくなりつつある。それが良いことなのか悪いことなのか?

最近では著名人や芸能人も政治的発言をするようになってきた。日本のメディアでは政治発言はある意味タブーだったから、これはとてもいい動き。新国立競技場の件や、集団的自衛権賛成の人も反対の人も、対立ではなく意見を交わし合うのはとてもいい。最近の不安な日本の風潮は、メディアでぼーっとしてた日本人をハッとさせる荒療治になったのかもしれない。

関連記事

『イカゲーム』 社会風刺と娯楽性

いま韓国サブカルチャーが世界を席巻している。ポン・ジュノ監督の『パラサイト』が韓国語で制作さ

記事を読む

『グッド・ドクター』明るい未来は、多様性を受け入れること

コロナ禍において、あらゆる産業がストップした。エンターテイメント業界はいちばん最初に被害を受

記事を読む

no image

高田純次さんに学ぶ処世術『適当教典』

  日本人は「きまじめ」だけど「ふまじめ」。 決められたことや、過酷な仕事でも

記事を読む

『不適切にもほどがある!』 断罪しちゃダメですか?

クドカンこと宮藤官九郎さん脚本によるドラマ『不適切にもほどがある!』が、放送開始とともに大き

記事を読む

no image

『はだしのゲン』残酷だから隠せばいいの?

  明日8月6日は広島の原爆の日ということで、『はだしのゲン』ドラマ版の話。

記事を読む

『T・Pぼん』 マンスプレイニングはほどほどに

Netflixで藤子・F・不二雄原作の『T・Pぼん』がアニメ化された。Netflix製作とな

記事を読む

『バンカー・パレス・ホテル』 ホントは似てる?日仏文化

ダメよ~、ダメダメ。 日本エレキテル連合という 女性二人の芸人さんがいます。 白塗

記事を読む

『藤子・F・不二雄ミュージアム』 仕事の奴隷になること

先日、『藤子・F・不二雄ミュージアム』へ子どもたちと一緒に行った。子どもの誕生日記念の我が家

記事を読む

no image

『マルモのおきて』育児は楽しい事ばかりじゃない

  先日も新作スペシャル版が放送されていた 『マルモのおきて』。 芦田愛菜ち

記事を読む

『あしたのジョー』は死んだのか?

先日『あしたのジョー』の主人公矢吹丈の ライバル・力石徹役の仲村秀生氏が亡くなりました。

記事を読む

『侍タイムスリッパー』 日本映画の未来はいずこへ

昨年2024年の夏、自分のSNSは映画『侍タイムスリッパー』の

『ホットスポット』 特殊能力、だから何?

2025年1月、自分のSNSがテレビドラマ『ホットスポット』で

『チ。 ー地球の運動についてー』 夢に殉ずる夢をみる

マンガの『チ。』の存在を知ったのは、電車の吊り広告だった。『チ

『ブータン 山の教室』 世界一幸せな国から、ここではないどこかへ

世の中が殺伐としている。映画やアニメなどの創作作品も、エキセン

『関心領域』 怪物たちの宴、見ない聞かない絶対言わない

昨年のアカデミー賞の外国語映画部門で、国際長編映画優秀賞を獲っ

→もっと見る

PAGE TOP ↑