*

『花とアリス』男が描く少女マンガの世界

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 アニメ, 映画:ハ行

 

岩井俊二監督作品『花とアリス』が
アニメ化されるというニュースが来ましたね。

女の子が好きで好きで、
作者自身が女の子になってしまえといった、
いわゆる「男が描く少女マンガ」の世界。

この映画はもう10年前の作品。
続編を作るのにやっぱり
蒼井優さんと鈴木杏さんが
主役でなくてはいけないらしく、
もう大人になった彼女たちは
みたくないからアニメ化なのか?

個人的には「大人になった花とアリス」
のほうが観たいのだが……。

岩井俊二監督の映像は、
今までの日本映画とは異なって
ヨーロッパの映画のような美しい絵作り。
「岩井美学」とまで言われた。
要するに泥臭くないんですね。

彼の作品には陰惨な映画もあるけれど、
本作のようなコメディタッチの作風なのに、
映像美でつくっているので珍しい。

名カメラマン篠田昇氏が作品の美学に
ものすごく力を発揮していたと感じます。

その篠田カメラマンがこの作品の後、
『世界の中心で、愛をさけぶ』を最後に亡くなります。
『花とアリス』が岩井&篠田の黄金コラボの最終作。

篠田カメラマン死後から岩井作品は変化したと感じます。
パワーもなくなったし、ペースも遅くなった。
喪失感が伝わります。

『花とアリス』が発表された10年前、
自分も若く、女学生の話を楽しくもみれたのでしょうが、
この10年で自分も結婚し、娘も生まれると、
女学生は女性の対象ではなくなり、
娘にしかみえず、すっかり憧れの対象ではなくなった。

近年の岩井作品には、
あまり興味が湧かなくなったのは事実なんですね。

はっきり言っちゃうと、
女学生の物語なんてどうでもよくなっちゃった。

果たして自分の感性がかわったのか?
はたまた岩井監督の作風が変わったのか?

これってただ客層の新陳代謝で、
自分はターゲットから外れたってことだけかしら?

関連記事

no image

『王と鳥』パクリじゃなくてインスパイア

  先日テレビで放送された 『ルパン三世・カリオストロの城』(以下『カリ城』)、

記事を読む

『ボヘミアン・ラプソディ』 共感性と流行と

昨年はロックバンド・クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットが社会現象となった

記事を読む

『ハウルの動く城』 おばさまに好評のアニメ

スタジオジブリ作品『ハウルの動く城』。 公開当時、大勢から「わけがわからない」と声があがっ

記事を読む

no image

『ルパン三世 カリオストロの城』これって番外編だよね?

  『ルパン三世』が30年ぶりに テレビシリーズになるとのことで。 数年前か

記事を読む

『トイ・ストーリー・オブ・テラー』 続々発表の新作短編、実は大人向け?

BSのDlifeで『トイストーリー』の 新作短編が放送された。 なんでも本邦初公開とのこ

記事を読む

no image

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』虐待がつくりだす歪んだ社会

ウチの子どもたちも大好きな『ハリー・ポッター』シリーズ。こわいこわいと言いながらも、「エクスペクト・

記事を読む

no image

『ヴァンパイア』お耽美キワもの映画

  映画「ヴァンパイア」録画で観ました。岩井俊二がカナダで撮った映画です。ものすごく

記事を読む

『レディ・プレイヤー1』やり残しの多い賢者

御歳71歳になるスティーブン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』は、日本公開時

記事を読む

no image

『裸足の季節』あなたのためという罠

  トルコの女流監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンが撮ったガーリームービー。一見した

記事を読む

『星の王子さま』 競争社会から逃げたくなったら

テレビでサン=テグジュペリの『星の王子さま』の特集をしていた。子どもたちと一緒にその番組を観

記事を読む

『世にも怪奇な物語』 怪奇現象と幻覚

『世にも怪奇な物語』と聞くと、フジテレビで不定期に放送している

『大長編 タローマン 万博大爆発』 脳がバグる本気の厨二病悪夢

『タローマン』の映画を観に行ってしまった。そもそも『タローマン

『cocoon』 くだらなくてかわいくてきれいなもの

自分は電子音楽が好き。最近では牛尾憲輔さんの音楽をよく聴いてい

『僕らの世界が交わるまで』 自分の正しいは誰のもの

SNSで話題になっていた『僕らの世界が交わるまで』。ハートウォ

『アフリカン・カンフー・ナチス』 世界を股にかけた厨二病

2025年の今年は第二次世界大戦から終戦80周年で節目の年。そ

→もっと見る

PAGE TOP ↑