『花とアリス』男が描く少女マンガの世界
岩井俊二監督作品『花とアリス』が
アニメ化されるというニュースが来ましたね。
女の子が好きで好きで、
作者自身が女の子になってしまえといった、
いわゆる「男が描く少女マンガ」の世界。
この映画はもう10年前の作品。
続編を作るのにやっぱり
蒼井優さんと鈴木杏さんが
主役でなくてはいけないらしく、
もう大人になった彼女たちは
みたくないからアニメ化なのか?
個人的には「大人になった花とアリス」
のほうが観たいのだが……。
岩井俊二監督の映像は、
今までの日本映画とは異なって
ヨーロッパの映画のような美しい絵作り。
「岩井美学」とまで言われた。
要するに泥臭くないんですね。
彼の作品には陰惨な映画もあるけれど、
本作のようなコメディタッチの作風なのに、
映像美でつくっているので珍しい。
名カメラマン篠田昇氏が作品の美学に
ものすごく力を発揮していたと感じます。
その篠田カメラマンがこの作品の後、
『世界の中心で、愛をさけぶ』を最後に亡くなります。
『花とアリス』が岩井&篠田の黄金コラボの最終作。
篠田カメラマン死後から岩井作品は変化したと感じます。
パワーもなくなったし、ペースも遅くなった。
喪失感が伝わります。
『花とアリス』が発表された10年前、
自分も若く、女学生の話を楽しくもみれたのでしょうが、
この10年で自分も結婚し、娘も生まれると、
女学生は女性の対象ではなくなり、
娘にしかみえず、すっかり憧れの対象ではなくなった。
近年の岩井作品には、
あまり興味が湧かなくなったのは事実なんですね。
はっきり言っちゃうと、
女学生の物語なんてどうでもよくなっちゃった。
果たして自分の感性がかわったのか?
はたまた岩井監督の作風が変わったのか?
これってただ客層の新陳代謝で、
自分はターゲットから外れたってことだけかしら?
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