*

『ハリー・ポッター』シングルマザーの邂逅

公開日: : 最終更新日:2019/06/15

 

昨日USJの『ハリー・ポッター』のアトラクションが
オープンしたと言う事で話題になってます。

この暑さにもかかわらず、
作品のコスプレで挑むファンの姿もチラホラ。
真夏にコートなんて、熱中症にならないのかしら?

さて、自分とこの作品との出会いは結構古くて、
まだ映像化される前に原作を手にしていました。

当時勤めいていた印刷会社が
『ハリー・ポッター』の専属印刷会社だったため、
無料で本を分けてもらったものです。

翻訳者の松岡祐子氏も、
工場視察で現場に来られた事もありました。

「ハリーのことで何かありましたら、私に聞いてくださいね」
熱烈なファンの同僚に話していたのを覚えています。

この松岡氏、ご主人が作った出版社静山社の現社長さん。

ご主人が亡くなられて、
会社存続の危機に陥ったときに『ハリー・ポッター』に出会い、
作者のJ・K・ローリング氏に直談判しにいったと聞きます。

ローリング氏はあまたある翻訳権の依頼にシビアで、
なかなかオーケーを出さないと有名だったらしいのですが、
松岡氏のことはすぐ気に入って、
「あなたになら」と翻訳権を譲ってくれたらしいです。

ただ、翻訳権を獲得したからと言っても
それで成功を確約された訳ではありません。

なにがしらの確信というか信念があったからこそ、
現在があるのでしょう。

J・K・ローリング氏といえば、
第一巻『ハリー・ポッターと賢者の石』を書いた当時、
シングルマザーで生活保護を受け、
子どもを幼稚園におくったあと、
カフェに入り浸って執筆したと言う苦労話が有名です。

意外だったのは、彼女は今まだ40代と若く、
第一巻の頃は20代だったかもしれません。

そんな彼女を突き進めさせる推進力とは
いったい何だったのでしょうか?

夢に向かって活動している人は星の数ほどいます。
ただ、本当に夢をつかむのはひとにぎり。

どんなに努力しても、
正しい場所で正しい方向で
正しくエネルギーを使わなければ、
ひとりよがりな夢で終わってしまいます。

ローリング氏が松岡氏を一目で共感したものとは?

一見無力にみえる存在の中の強さ。

きっと分かる人にしか分からない部分で
共感し合えたのでしょう。

『ハリー・ポッター』の印刷会社には
第三巻のころまで在籍していたのですが、
発売日が近く、スケジュール的にギリギリになっても
松岡氏が海外に飛んでいてつかまらないと、
制作進行がぼやいていました。

その頃、松岡氏は事業の成功で、
そんなに働かなくても稼げていたはずです。

上司がぼやいていました。
「やはり成功する人は、じっとしていないんだなあ」って。

関連記事

『パブリック 図書館の奇跡』 それは「騒ぎを起こしている」のではなく、「声をあげている」ということ

自分は読書が好き。かつて本を読むときは、書店へ行って、平積みされている新刊や話題作の中から、

記事を読む

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』 問題を乗り越えるテクニック

映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、日本公開当時に劇場で観た。アメリカの91

記事を読む

no image

育児ママを励ます詩『今日』

  今SNSで拡散されている 『今日』という詩をご存知でしょうか。 10年程

記事を読む

no image

『一九八四年』大事なことはおばちゃんに聞け!

『一九八四年』はジョージ・オーウェルの1949年に発表された、近未来の完全管理社会を描いたディストピ

記事を読む

『推しの子』 キレイな嘘と地獄な現実

アニメ『推しの子』が2023年の春期のアニメで話題になっいるのは知っていた。我が子たちの学校

記事を読む

『君の名前で僕を呼んで』 知性はやさしさにあらわれる

SF超大作『DUNE』の公開も間近なティモシー・シャラメの出世作『君の名前で僕を呼んで』。イ

記事を読む

『MEGザ・モンスター』 映画ビジネスなら世界は協調できるか

現在パート2が公開されている『MEGザ・モンスター』。このシリーズ第1弾を観てみた。それとい

記事を読む

no image

『総員玉砕せよ!』と現代社会

  夏になると毎年戦争と平和について考えてしまう。いま世の中ではキナくさいニュースば

記事を読む

『あしたのジョー2』 破滅を背負ってくれた…あいつ

Amazon primeでテレビアニメの『あしたのジョー』と『あしたのジョー2』が配信された

記事を読む

『私をくいとめて』 繊細さんの人間関係

綿矢りささんの小説『私をくいとめて』は以前に読んでいた。この作品が大九明子監督によって映画化

記事を読む

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』 普通に生きるという特殊能力

リチャード・カーティス監督の『アバウト・タイム』は、ときどき話

『ヒックとドラゴン(2025年)』 自分の居場所をつくる方法

アメリカのアニメスタジオ・ドリームワークス制作の『ヒックとドラ

『世にも怪奇な物語』 怪奇現象と幻覚

『世にも怪奇な物語』と聞くと、フジテレビで不定期に放送している

『大長編 タローマン 万博大爆発』 脳がバグる本気の厨二病悪夢

『タローマン』の映画を観に行ってしまった。そもそも『タローマン

『cocoon』 くだらなくてかわいくてきれいなもの

自分は電子音楽が好き。最近では牛尾憲輔さんの音楽をよく聴いてい

→もっと見る

PAGE TOP ↑