『思い出のマーニー』 好きと伝える誇らしさと因縁

ジブリ映画の最新作である『思い出のマーニー』。
自分の周りでは、女性の評判はあまり良くなく、
男性の方が好評価なので、百聞は一見に如かず。
男性には新鮮で、女性にとっては
当たり前すぎることを何でわざわざ映画で
観なくちゃいけないのといったところかな。
果たしてローティーンの
少女同士の恋愛ものなんて、
どこに感情移入したら良いのかと
戸惑いながら見始める。
上映数分もしないうちに主人公である
12歳の少女・杏奈に
かつての自分の姿を見いだした。
自分は小学生くらいの頃、
色白で小柄、ヒョロッとしてたので、
よく女の子と間違えられていました。
性別不詳を楽しんでいたフシもある。
あの頃は男の子とか女の子とか、
性別なんて関係なかったと思う。
そんな自分との類似。
杏奈は「良い子」を演じることに疲れ切っていて、
どこにも居場所を見つけられずにうんざりしている。
自分もこの世界も大嫌い。
そんな中、金髪の少女マーニーと出会う。
瞬く間に二人は親友になり、
恋愛にも近い感情を抱く。
二人が密着する場面が何度も登場する。
丁寧な描写。
それはエロティックな意味合いもあるけれど、
「これは空想ではないんだよ。現実なんだよ」
と確かめ合っているようにもみえる。
杏奈はマーニーのことを好きと認めること、
言葉にして発することによって自信をつけていく。
世界と自分の折り合いがついてくる。
そしてこの映画のもう一つのテーマは、
親子の絆と言うか、代々くりかえされる因縁の話。
親が人生に失敗すると、その子もまた同じ失敗をする。
気づいていたら親と同じ轍を踏んでいた、なんてよく聞く話。
杏奈はマーニーとの出会いで、その過ちに気づく。
原作は児童文学。
原作未読なのでどこまで同じなのか分からない。
しかし子どもに向けても、
親の代の人生の話を赤裸々に描いている。
親の事情をしっかり描いても、
子どもは分かってくれるだろうと
侮っていないところがとてもいい。
子どもはなにが原因で傷つくかわからない。
ましてや思春期ならばなおのこと。
それは大人にとっては些細なことであっても、
当事者の子どもには
世界がひっくり返るくらいの事件だったりする。
一生の傷にもなりかねない。
自分は自分の子どもたちのその傷に気づき、
ちゃんと摘み取ってあげられるか?
責任重大だと感じた。
10代の頃の忘れていた感覚を
思い出させてくれるこの映画。
スタジオジブリならではの
丁寧な描写だったからこそ、
こんなおじさんでも
じっくり鑑賞できたのでしょう。
;
関連記事
-
-
『クラフトワーク』テクノはドイツ発祥、日本が広めた?
ドイツのテクノグループ『クラフトワーク』が 先日幕張で行われた『ソニックマニア
-
-
『her』ネットに繋がっている時間、私の人生は停まっている
スパイク・ジョーンズ監督作品『her/世界でひとつの彼女』は、本格的なSF作品としてとても興味深い。
-
-
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』 そこに自己治癒力はあるのか?
自分はどストライクのガンダム世代。作家の福井晴敏さんの言葉にもあるが、あの頃の小学生男子にと
-
-
『おさるのジョージ』嗚呼、黄色い帽子のおじさん……。
もうすぐ3歳になろうとするウチの息子は イヤイヤ期真っ最中。 なにをするにも
-
-
『機動戦士ガンダム』とホモソーシャル
『ガンダム』といえば、我々アラフォー世代男子には、 小学校の義務教育の一環といってもいいコ
-
-
『アントマン』ちっちゃくなってどう闘うの?
マーベルのスーパーヒーロー集団『アベンジャーズ』が集結する『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』が
-
-
『真田丸』 歴史の隙間にある笑い
NHK大河ドラマは近年不評で、視聴率も低迷と言われていた。自分も日曜の夜は大河ドラマを観ると
-
-
関根勤さんのまじめな性格が伝わる『バカポジティブ』
いい歳をした大人なのに、 きちんとあいさつできない人っていますよね。 あ
-
-
『カールじいさんの空飛ぶ家』憐憫の情を脱せなければ、ドラマは始まらない。
ディズニーアニメの最新作『ベイマックス』が 予告編とあまりに内容が違うと話題に
-
-
『スノーデン』オタクが偉人になるまで
スノーデン事件のずっと前、当時勤めていた会社の上司やら同僚がみな、パソコンに付属されているカメラを付
