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『マイティ・ソー バトルロイヤル』儲け主義時代を楽しむには?

公開日: : 最終更新日:2018/03/12 メディア, 映画:マ行, 音楽

http://marvel.disney.co.jp/movie/thor-br.html

ポップコーン・ムービーの王道、今ノリにノってるディズニー・マーベルの人気キャラクター・ソーの最新作『マイティ・ソー バトルロイヤル』。またもや日本公開でローカライズ改題されてる。原題は『Thor: Ragnarok』。ラグナロクって言葉が日本には馴染みがないから改題したらしいが、映画を通して言葉を覚えたりすることもあるわけで。映画の内容からは『ソー:ラグナロク』の方がしっくりくる。

映画本編は本当に楽しい。観客は何も考えず、ポップなビジュアルとコテコテなコメディセンスに笑いながら、音楽のセンスの良さに身を任せればいい。誰でも楽しめる敷居が低くて間口の広い、豪華なエンターテイメント作品。まさにディズニーの王道!

バトルシーンでレッド・ツェッペリンの『移民の歌』がかかる。胸アツのカッコ良さ。曲の内容も映画のストーリーとリンクしてる。ただ音楽をかければいいなんて野暮なセンスではない。実際に肩身の低い思いをしている移民の人たちにソーの姿をかぶらせ、誇り讃えるなんて、なんともしたたか。

演出はマーベルの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の演出の成功を踏襲してる。なんでも監督のタイカ・ワイティティは、コメディ俳優出身だとか。

マーベル・シネマティック・ユニバースの新作公開は、3か月置きに1本くらいのハイペースになった。映画大国アメリカでの公開は、このペースでもいいのかもしれないが、日本では仕事や家事、育児に忙しい人ばかり。映画館の入場料も、世界でトップの高さだし、なかなかシリーズ新作を消化するのは至難の技。

マーベル映画は、なんとなくかつての寅さん映画『男はつらいよ』を彷彿させる。寅さんは昭和日本の正月映画には欠かせなかった。全盛期には夏休みも公開されてたから、年に二本新作が公開される。もうどの映画を観たか観逃したかわからなくなる。どの作品から観ても観客にストーリーが理解できるような工夫がされている。だから「ああ、寅さん相変わらずだね〜」とか「またタコ社長、あんなこと言わなきゃいいのに」、「いつも、さくらさん大変だな〜」などが記憶に残る。映画を観に行ったというよりは登場人物たちに会いに行った気分。それはまだ日本が高度成長期のバブル真っ盛りの時代。

マーベル映画も3か月置きに、友だちに会いに行くような感覚になってきた。ひとえに作品を売り出すマーケティングの企業努力あってのことだろう。

でも最近、ディズニーの利権の傍若無人ぶりが報道されている。この『マイティ・ソー バトルロイヤル』も、アメリカで批評家たちが試写会をボイコットしたとか。ディズニーの次回作の『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』では、劇場の利益65%徴収するとか発表してる。ハリウッドで独り勝ちしてるディズニーは強気だ。

リリースする作品がほとんど成功しているディズニー。鉄は熱いうちに打てではないけど、これではせっかく面白い作品を作っても、会社の評判はガタ落ちだ。「最近の映画はアメコミばかりだ」なんて歎きの声もよく聞くようになった。

自分が子どもの頃、ディズニー・グッズは高級品だった。親にせがんでも「ディズニーは高いから、別のにして!」と言われたものだ。高すぎるマージン料。幼な心に「子どもを食い物にして、嫌らしい会社だな〜」と思っていた。そしてそのすぐ後にディズニーは衰退した。

儲け主義の企業は信用されない。自分や自社の利益しか考えていないので、どうしても顧客の要望などお構いなしになる。カネに目が眩めば、人は何をするかわからない。

ここのところのヒット続きで、以前のディズニー大帝国主義の商魂が疼きだしたのだろう。搾取に頼るのは、ちょっと危うい。

ディズニーの映画ソフトは価格据置き、買い控えを抑えるため廉価版は出さないらしい。他社作品が、発売から半年くらいで廉価版を出すから、ディズニーは古い作品でも他社の2〜3倍の価格でソフトを売ってることになる。オンリーワンの自信なんだろうけど、消費者には厳しい。どんなに好きな作品でも、買い揃えるには躊躇する。マニアックなコレクターなら糸目はつけないだろうけど、一般的にはハードルが高い。これでは半永久的に買い控えしてしまう。

でも日本の芸能界だって、まるっきりこの手法を流用してる。先日のJASRACが映画館から洋画の音楽使用料を徴収する発表をしたのもそんなところか。被害はエンドユーザーの観客と映画館。潰れてしまう映画館もでてくるだろう。

映画は映画館で観るのがベスト。でもこれ以上映画館の入場料が高くなるなら、映画館にこだわるのも難しい。いかにお金をかけずに楽しむか? これは映画鑑賞に限らず、あらゆる娯楽に言えること。

物価が高騰すれば、それを受容するのはマニアに絞られてくる。無制限に趣味に投資はできない。生活を維持しながら、お金をかけずに楽しめる工夫する。その方法は探せばいくらでもありそうだ。

これから物価や税金も上がりそうだ。いろいろなものが淘汰されていくだろう。現実を忘れられる映画鑑賞も、現実の世の流れを見ながら楽しむ。フレキシブルさが求められる時代ではあるが、考えようによっては、それはそれで楽しめそうだ。来るべき乱世をいかに泳ぐか?

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