*

『耳をすませば』 リアリティのあるリア充アニメ

公開日: : 最終更新日:2021/06/05 アニメ, 映画:マ行

ジブリアニメ『耳をすませば』は
ネット民たちの間では「リア充映画」と
言われているらしい。

そもそも自分は「リア充」という言葉が苦手。
リアル(現実)が充実していると言う意味で、
夢があるとか恋人がいるとかいう人への妬みの言葉。
人を妬んでいるヒマがあったら、
自分の人生と向き合えばいいのに。

実はウチの小さな子どもたちには
この『耳をすませば』は
ジブリ映画ではかなり人気がある。
殆どのジブリ作品はちょっと怖いみたい。

この作品の原作は柊あおいさんによるもの。
少女マンガ雑誌『りぼん』に掲載されていたが
不人気で当時連載中止になっている。

少女マンガと言えば、ホレタハレタの世界。
恋人たちが見つめ合って、
ふたりだけの世界へ没入して行く
閉ざされて行く世界観のものが多い。

柊あおいさんはそれに違和感を感じ、
恋愛だけじゃない、もっと世界には
打ち込むべきものがたくさんあると、
本作の着想していった。

マンガ雑誌の担当者もいぶかり、
マンガファンたちも今までの
ホレタハレタが読みたいと不評だった。

だが宮崎駿監督はこの作品の精神を汲み取り、
映画にしたいと、柊さんにオファーした。

宮崎監督はこの地味だけれども
現実的なテーマに共感した。

主人公の住む家も団地暮らしという、
当時アニメにあったような憧れの家では決してない。

「リア充映画」などと言われるが、
映画自体は静かで、
ほとんど何も起こらないといってもいい。

10代の頃の将来への期待と不安。
思春期の気持ちを丁寧に描いている。

これがリア充映画?
ちょっと人生の忘れ物多すぎない?

いくつになっても青春は出来るはず。
他人のリア充を妬んでるヒマはホントはない筈。
まったく呆れてしまう。

二人だけの世界に埋没していくのではなく、
二人で広い世界をみていこうとする物語。

この映画が発表されたのは1995年。
主人公たちは中学三年生なので、
いま30代半ばになっている。

主人公たちの人生は、
いまどのようなものになっているのだろうか?

関連記事

『鬼滅の刃 無限列車編』 映画が日本を変えた。世界はどうみてる?

『鬼滅の刃』の存在を初めて知ったのは仕事先。同年代のお子さんがいる方から、いま子どもたちの間

記事を読む

『ゴジラ-1.0』 人生はモヤりと共に

ゴジラシリーズの最新作『ゴジラ-1.0』が公開されるとともに、自分のSNSのTLは絶賛の嵐と

記事を読む

『茶の味』かつてオタクが優しかった頃

もうすぐ桜の季節。桜が出てくる作品で名作はたくさんある。でも桜ってどうしても死のメタファーと

記事を読む

no image

『CASSHERN』本心はしくじってないっしょ

  先日、テレビ朝日の『しくじり先生』とい番組に紀里谷和明監督が出演していた。演題は

記事を読む

『チェンソーマン』 サブカル永劫回帰で見えたもの

マンガ『チェンソーマン』は、映画好きにはグッとくる内容だとは以前から聞いていた。絵柄からして

記事を読む

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 これぞうつ発生装置

90年代のテレビシリーズから 最近の『新劇場版』まで根強い人気が続く 『エヴァンゲリオン

記事を読む

『シン・ゴジラ』まだ日本(映画)も捨てたもんじゃない!

映画公開前、ほとんどの人がこの映画『シン・ゴジラ』に興味がわかなかったはず。かく言う自分もこ

記事を読む

no image

『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』夢を現実にした最低で最高の男

芸能界は怖いところだよ。よく聞く言葉。 本書は『宇宙戦艦ヤマト』のプロデューサーで、実質的な生みの

記事を読む

『アリオン』 伝説になれない英雄

安彦良和監督のアニメ映画『アリオン』。ギリシャ神話をモチーフにした冒険活劇。いまアリオンとい

記事を読む

『ルパン三世 ルパンvs複製人間』カワイイものは好きですか?

先日『ルパン三世』の原作者であるモンキー・パンチさんが亡くなられた。平成が終わりに近づいて、

記事を読む

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』 普通に生きるという特殊能力

リチャード・カーティス監督の『アバウト・タイム』は、ときどき話

『ヒックとドラゴン(2025年)』 自分の居場所をつくる方法

アメリカのアニメスタジオ・ドリームワークス制作の『ヒックとドラ

『世にも怪奇な物語』 怪奇現象と幻覚

『世にも怪奇な物語』と聞くと、フジテレビで不定期に放送している

『大長編 タローマン 万博大爆発』 脳がバグる本気の厨二病悪夢

『タローマン』の映画を観に行ってしまった。そもそも『タローマン

『cocoon』 くだらなくてかわいくてきれいなもの

自分は電子音楽が好き。最近では牛尾憲輔さんの音楽をよく聴いてい

→もっと見る

PAGE TOP ↑