マイケル・ジャクソン、ポップスターの孤独『スリラー』
去る6月25日はキング・オブ・ポップことマイケル・ジャクソンの命日でした。早いことでもう6年も前のことだったんですね。自分がマイケル・ジャクソンの存在を知ったのは『スリラー』のミュージックビデオの大ヒットから。テレ朝の土曜の夜にやっていた『ベストヒットUSA』で13分あるドラマ仕立ての本作をノーカットで流したり、輸入版や遅れて発売の字幕付日本版両方とも観たりした。ホラー仕立ての内容がとにかく斬新で、小学生だった自分にも分かりやすく楽しい作品だった。普段映画や洋楽を聴かない親でさえマイケルは認めていたのは嬉しい限りだった。
当時は知る由もなかったジョン・ランディス監督作品。『狼男アメリカン』はもとより、あの『ブルースブラザーズ』の監督さん。ホラーも音楽ものもいける人なので起用されたのでしょう。特殊メイクは『スターウォーズ』のリック・ベイカーだ。
マイケル・ジャクソンというと、カッコいいダンスや創られたキャラクターの面白さが特徴。モノマネする人が世界中ごまんといる、完全に偶像化された存在。でも自分はマイケルのカリスマ性というよりも、彼からにじみでる哀しみに魅力を感じる。幼少の時から天才としてアメリカポップシーンの頂点にいたマイケル・ジャクソン。世界中どこへ行っても歓声を浴びる。ちょっとどこかへ行けば一瞬にして人だかり。一人で買い物や、どこかをぶらついたりすることもできない。巨万の富は得たかも知れない。豪邸を通り越して城に住んでいたかも知れない。それでも孤独。カネをもっているということは、それに群がる汚いヤツも多勢集まってくるということ。魅力あるアーティストというものは心が綺麗な人が多い。彼の歌には社会的メッセージ性が高い曲が多い。重いテーマもポップミュージックにのせている。生真面目さが伺える。そんな人が世間の好奇の目に晒されたら、壊れてしまうのは当然のこと。結局それがオーバードーズで亡くなってしまったのだからやるせない。
マイケルは亡くなって後にまた新たにファンも誕生したと思う。未完成のステージ『THIS IS IT』のメイキング映画が死後大ヒットしたが、正直自分はこれは面白くなかった。マイケルだってこんな未完成の状態のステージを、世の人の目には触れさせたくなかっただろう。この映画『THIS IS IT』の様子はあくまでリハーサル風景。マイケルが全力投球しているパフォーマンスではない。制作途中の作品を、いっぱしの作品として世に発表されてしまうほどアーティストにとってつらいものではない。完璧主義のマイケルにとっては無念の一言につきるだろう。映画『THIS IS IT』の公開は果たしてマイケルにとって良かったのかどうか?
心が美しいアーティストが、カネの亡者たちによって壊されていく様はとても不愉快。まったくこういった世の中、どうにかならんのかな。
関連記事
-
-
アーティストは「神」じゃない。あなたと同じ「人間」。
ちょっとした現代の「偶像崇拝」について。 と言っても宗教の話ではありません。
-
-
『1987、ある闘いの真実』 関係ないなんて言えないよ
2024年12月3日の夜、韓国で戒厳令が発令され、すぐさま野党によってそれが撤回された。日本
-
-
『うる星やつら 完結編』 非モテ男のとほほな詭弁
2022年の元日に『うる星やつら』のアニメのリメイク版制作の発表があった。主人公のラムが鬼族
-
-
『一九八四年』大事なことはおばちゃんに聞け!
『一九八四年』はジョージ・オーウェルの1949年に発表された、近未来の完全管理社会を描いたディストピ
-
-
『さらば、我が愛 覇王別姫』 眩すぎる地獄
2025年の4月、SNSを通して中国の俳優レスリー・チャンが亡くなっていたことを初めて知った
-
-
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 僕だけが知らない
『エヴァンゲリオン』の新劇場版シリーズが完結してしばらく経つ。すっかりブームもおさまって、『
-
-
『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022 +(プラス)』 推しは推せるときに推せ!
新宿に『東急歌舞伎町タワー』という新しい商業施設ができた。そこに東急系の
-
-
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』 刷り込み世代との世代交代
今度の新作のガンダムは、『エヴァンゲリオン』のスタッフで制作されるらしい。自分のような古参の
-
-
『スターウォーズ展』 新作公開というお祭り
いよいよ『スターウォーズ』の新作公開まで一週間! 街に出れば、どこもかしこもスターウォーズの
-
-
『PERFECT DAYS』 俗世は捨てたはずなのに
ドイツの監督ヴィム・ヴェンダースが日本で撮った『PERFECT DAYS』。なんとなくこれは
